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2021年1月号記事 vol.200

今からできる春のアレルギー対策

WHR202102 (2)今年も、花粉症の季節が近づいてきました。そろそろ病院を受診したり、薬の服用や点眼薬を始めたり、対策を始めている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、花粉症やアレルギーについて、国内・国外のレポートをご紹介します。

花粉飛散量が多いと慢性骨盤痛の症状が悪化する?

花粉飛散量が増えると肺に悪影響を及ぼすことはよく知られていますが、一部の人では骨盤痛が悪化し得ることが、新たな研究で示唆されました。米ワシントン大学医学部のSiobhan Sutcliffe氏らによるこの研究結果は、「Journal of Urology」に2021年12月21日掲載されました。

この試験の結果では、花粉飛散量が中等量または大量の閾値を超えた場合には、泌尿器科慢性骨盤痛症候群(UCPPS)症状再燃が有意に増加したことが明らかになりました。こうした結果を受けてSutcliffe氏は、「今回の研究から、花粉飛散量の増加により、UCPPSの症状再燃が引き起こされる可能性を示唆するエビデンスが得られた。花粉飛散量との関連が証明されれば、UCPPS患者の症状再燃がどのような機序で生じるのかだけでなく、予測不能な痛みの発作の治療と予防についての理解につながるだろう」と述べています。

前向きな気持ちがアレルギーを改善するメカニズム

また、アレルギーは様々な身体症状だけではなく、心の状態とも関係するようです。アレルギー疾患の症状は、気持ちが前向きなときは軽快することが、その詳しいメカニズムとともに明らかになりました。脳内の「ドパミン報酬系」が活性化すると、アレルギー反応が抑制されるということです。これは山梨大学医学部免疫学講座の中尾篤人氏らの研究によるもので、詳細は「Allergy」2020年6月13日オンライン版に掲載されました。

花粉症や気管支喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患は、精神的なストレスにより症状が悪化することが知られています。しかし、なぜ精神的状態によって症状が変わるのかは明らかにされていませんでした。中尾氏らは、さまざまな精神的状態の中でもプラセボ効果との関係が深い「前向きな感情(やる気)」を司る脳内の特定部位が、アレルギーに与える影響について検討しました。

前向きな感情は、脳内のドパミン報酬系という神経ネットワークが司っています。そこで、マウスを用いてこのドパミン報酬系を活性化し、アレルギー反応への影響を検討しました。

その結果、以下の結果が得られました。
① 蕁麻疹様の皮膚症状が現れた面積を比較したところ、中脳腹側被蓋野を活性化させたマウスでは、対照群に比べて有意にその面積が小さかった。
② 人工甘味料のサッカリンを用いて、マウスの脳内報酬系を自然なかたちで活性化したうえで蕁麻疹様症状の範囲を比較したところ、サッカリンを混ぜた水で飼育したマウスは、対照群に比べて有意にその面積が小さかった。
③ 最後は薬(ドパミンの前駆体のL-ドパ)によってマウスの脳内報酬系を活性化させる方法を試みました。蕁麻疹様症状の範囲を比較したところ、L-ドパを注射したマウスは、対照群と比べて有意にその面積が小さかった。

この結果について研究グループは、「前向きな精神状態を生み出す特定の脳内ネットワークが、アレルギーを生じる免疫のしくみと密接にリンクしていることを直接的に証明した世界で初めての知見」としています。そして「脳内ドパミン報酬系の活性化にアレルギー反応を抑える効果のあることが示された」と結論づけるとともに、「現在のアレルギー疾患の治療は投薬が中心だが、患者に前向きな気持ちを保ち続けてもらうよう、コミュニケーションを図ることも大切であることが示唆された」と付け加えています。

今からできる春のアレルギー対策

「春の主なアレルゲンは、樹木の花粉とカビである」と、米ローワン大学オステオパシー学部(ニュージャージー州)のJennifer Caudle氏は指摘しています(2017年3月9日)。これらのアレルゲンを吸入すると、鼻粘膜の腫れ、目のかゆみ、喉の炎症、過剰な粘膜産生を引き起こす化学物質が放出されますが、「症状は市販のアレルギー薬で十分抑えられる可能性があり、症状の徴候が出始めたときに服用すると良い。最も良いのは、アレルギーが始まる前に服用を開始することだ」と、同氏は話し、これらのアレルギーの予防策を以下のように紹介しています。

・樹木が花粉を放出している早朝の時間帯は屋外に出ず、家や車の窓を閉めたままにし、車の換気口も閉めておく。
・枕に花粉がつかないよう、帰宅後、特に夕方には髪を洗うことを検討する。
・外に出たペットをベッドに入れない。
・花粉が室内に広がらないように、人が家に入るときには靴を脱いでもらう。
・洋服を外に干さない。
・カーペットに掃除機を週2回かける。
・空調システムのフィルタを頻繁に取り換える。

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