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腎臓を守って、認知症を予防!(3)

脳梗塞、認知症、フレイルがあると健康寿命が短くなるため、認知症の予防には生活習慣病の予防が大切であることが知られています。慢性腎臓病(CKD)は高齢者に多いありふれた病気ですが、糖尿病や高血圧が原因になります。今回は、第157回老年学・老年医学公開講座「腎臓を守って、認知症を予防!」に基づき、3回にわたって慢性腎臓病の観点から脳梗塞や認知症を防いで健康寿命を延ばすことについて考えます。第3回の今回は、原田和昌氏(東京都健康長寿医療センター 副院長)の講演「心房細動と認知症」に基づいてお話します。

2013年にイギリスでは75歳以上の全ての年代で認知症が2~3割減少したことが報告されましたが、これは国を挙げて減塩や喫煙防止などに取り組んだ結果と言われています。禁煙によって脳卒中を減らすことができ、認知症も減少させることができる一方、減塩によって認知症の原因の一つである高血圧と慢性腎臓病(CKD)を予防することができるのです。

CKDがあると心房細動になりやすく、心房細動があると脳梗塞や認知症が起こりやすいという一連の流れがあります。したがって、まずCKDを予防する、腎臓を守るということが認知症予防にはとても大切です。

心房細動は脳梗塞の原因

ふつう心臓は規則正しく打っていますが、心臓の中の心房という部屋の動きがバラバラになることによって、脈がバラバラになる心房細動という不整脈があります。心房細動があると、脈が速すぎたり遅すぎたりすることで心不全になりやすくなります。また、心房内で停滞した心臓に血栓が生じやすく、それが脳の血管へ流れ着いて詰まる「心原生脳塞栓症」になりやすくなります(図1)。心房細動になりやすい人は、高齢、男性、高血圧、糖尿病、CKD、心臓病、肥満などのリスクを持っています。したがって、これらのリスクを下げるためには、食塩の摂取を減らし、食べ過ぎ、肥満、運動不足などの生活習慣病のリスクを下げることが大切です(図2)。

心房細動(1) 心房細動(2)

心房細動は認知症の原因

心房細動があると、ない場合に比べて血管性認知症やアルツハイマー型認知症などあらゆる種類の認知症が増えることが知られています(図3)。心房細動では血管が詰まるだけでなく、心拍が乱れて血流が悪くなるため、血圧の変動で脳の血流が悪くなることでラクナ脳梗塞を起こし、脳にダメージを与えます。脳の一過性の血圧変動(低下)によって、脳の一部が低灌流となって起こり、認知症に関わると言われています。また、心房細動では、心拍が乱れるだけでなく、しばしば一回心拍出量が低下するため、アミロイドを脳から取り除くことができないために認知症が多いのかもしれません、と原田氏は指摘します。

心房細動(3)

心房細動の治療

心房細動では、先程述べたように脳梗塞を発症しやすくなります。したがって、脳梗塞を防ぐために飲み薬による抗血栓療法が行われています。これによって、停滞した血液に血栓ができることを防ぎ、脳梗塞を減らすことができます。

一方、バラバラになった心房の動きを元に戻す、カテーテルアブレーション治療が最近しばしば行われています。この治療の有効性は明らかではありませんが、これによって腎機能低下を予防できるという報告もあるため、心房細動の患者さんにカテーテルアブレーション治療を行うことで、CKDが進行して認知症が進行する、という一連の流れを断ち切ることができるかもしれません。

海外の論文では、塩分を過剰に摂取させたマウスの脳には、アルツハイマー病とかかわりの深い変異型タウたんぱく質が溜まっていることが報告されました。塩分が過剰であるとそれだけでアルツハイマー病になる可能性があるということです。減塩は、高血圧とCKDの予防につながり、心房細動を減らすことで認知症を予防できるのかもしれません。