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腎臓を守って、認知症を予防!(2)

脳梗塞、認知症、フレイルがあると健康寿命が短くなるため、認知症の予防には生活習慣病の予防が大切であることが知られています。慢性腎臓病(CKD)は高齢者に多いありふれた病気ですが、糖尿病や高血圧が原因になります。今回は、第157回老年学・老年医学公開講座「腎臓を守って、認知症を予防!」に基づき、3回にわたって慢性腎臓病の観点から脳梗塞や認知症を防いで健康寿命を延ばすことについて考えます。

第2回の今回は、仙石錬平氏(東京都健康長寿医療センター 神経内科 専門部長)の講演「微小血管と認知症」に基づいてお話します。

腎臓と脳卒中

腎臓は背中側に左右ひとつずつ一対あり、わずか数百グラムの臓器ですが、「体液の量と組成の制御を一手に担う」という大きな役割を果たしています。腎臓はそら豆のような形と言われますが、握りこぶし大の大きさで、腎動脈、腎静脈、そして尿管の三本が出入りしており、血液をろ過して老廃物や塩分を「尿」として体の外に追い出す役割を主に担っています。それだけではなく、体に必要な要素は再吸収し、体内にとどめておく働きも同時に行っています。

しかしながら、腎臓のトラブルを抱えている人は多く、慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease: CKD)の患者は1300万人いると言われ、成人の8人に1人にも上ります。

それでは、腎臓が悪くなることは認知症発症にどのようにつながるのでしょうか。脳と腎臓の共通点は、ともに加齢や生活習慣病の影響で機能が低下し、結果的に高血圧という環境によって障害を受けやすくなるということです。透析の患者さんが、脳梗塞をはじめとするいわゆる脳卒中を高率に発症することは広く認識されていますが、透析導入前の段階でも、脳卒中のリスクがあることが最近報告されています。このように、腎臓は脳と非常に密接に関係しているのです。

CKDと認知症

維持透析の患者さんでは、認知症を発症する頻度が高いことが明らかになっていますが、CKDの段階でも、すでに認知機能低下例が増加していることが報告されています。また、尿蛋白の出現が、認知症発症における強力な危険因子であることも明らかにされています。これらの事から、CKDは認知症の危険因子に挙げることができると考えられます。CKDによる認知症は、CKDそのものが認知機能低下に関与していることが推察されています。腎臓は不要物(尿毒素)を尿中へ排出する役割を果たしていますが、この機能が低下すると尿毒素が体内に溜まります。尿毒素は現在いくつか同定されており、その中でもどの物質が認知機能低下を起こし得る可能性があるかという研究も進められています。

腎臓機能の確認と日常生活

このように、腎臓から起こりうる病気として、脳血管障害と認知症が挙げられます。日頃より腎臓の存在を意識して定期的な腎臓機能の確認を行うことが大切ですが、これと併せて日常生活で注意することも大切です。まず、脳や心臓に対しての危険因子を改善する食事を心がけましょう。高血圧であるならば塩分摂取を控える、アルコールの過剰摂取を控える、糖尿病であるならば糖質の多い菓子類、甘味料、果物を控えて、大豆製品や野菜、内臓、皮の摂取を控え、魚類の摂取を増やすように心掛けましょう。

また、運動を継続することも非常に大切です。有酸素運動(ウォーキング、水泳や自転車運動など)には体脂肪の減少や血圧低下、善玉コレステロールの改善効果が示されています。また、柔軟性を高める運動も有用で、日常生活の中で座ってじっとしている時間を極力減らすことも重要です。

このように食生活と運動を見直したうえで、定期的に腎機能の検査を受けることが大切であると仙谷氏は指摘しています。