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高齢者のサルコペニア、フレイル、コモビディティと、栄養の役割を考える

高齢者のサルコペニア、フレイル、コモビディティと、栄養の役割を考える

サルコペニア、フレイルについて前号でお話ししましたが、今回も引き続き、これらの疾患と栄養についてお話します。2021年8月に実施されたメディケアフーズ展「高齢者の食と栄養 オンラインセミナー」から「2021年、高齢者のサルコペニアとフレイル、コモビディティと、栄養の役割を考える」(吉田貞夫氏 ちゅうざん病院 副院長/金城大学 客員教授)の講演をご紹介します。

サルコペニアとは

それでは、よく聞くサルコペニアとは何でしょうか。サルコペニアとは骨格筋減少症のことで骨格筋が減少することによって立ったり歩いたりすることが難しくなることで、①筋力低下、②骨格筋量の低下、③身体機能の低下の3つの要素で定義づけられます。サルコペニアの原因は、栄養不足、加齢、動かないこと、ホルモンの変化、炎症が挙げられます。サルコペニアになると、転倒・骨折のリスク、日常生活動作(ADL)のリスク、肺炎のリスク、術後合併症のリスクなど、様々な弊害が心配されます。サルコペニアによって肺炎、というと意外に思われる方も多いかもしれませんが、喉・舌・口腔などの筋力が低下することによって、嚥下機能が低下して誤嚥を起こし、誤嚥性肺炎を発症してしまうことも少なくありません。

フレイルとは

フレイルとは、高齢者で運動能力が低下してしまい、転倒・骨折のリスクが高い状態であることを言います。フレイルになるとそれだけではなく、合併症のリスクや認知機能・社会生活能力の低下も心配されます。フレイルの改善のためには、通所ケアやリハビリによって運動量や歩行速度、握力低下を改善するとともに、栄養をしっかり取ることも大切です。2型糖尿病や慢性腎臓病といった生活習慣病も、フレイル発症のリスクとなるため、しっかりケアするようにしましょう。フレイルの防止のための栄養には、地中海ダイエット(魚介と野菜、オリーブオイルを中心とした食事)、食物繊維の摂取、肥満の防止などが効果的だと言われます。栄養摂取不足はフレイルだけでなく、認知症、動脈硬化などとも密接に関係しています(図1)。

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不足しがちな栄養

栄養摂取不足はサルコペニア、フレイル、認知症や2型糖尿病など、様々な疾患に密接に関係しています。栄養の不足を補いつつ、炭水化物の過剰摂取を控え、良質なたんぱく質をたくさん摂取するようにしましょう。

① 亜鉛
不足しがちな栄養の一つとして、亜鉛が挙げられます。亜鉛欠乏症は、皮膚炎、口内炎、脱毛症、食欲低下、易感染性、味覚障害、貧血などの症状が見られ、検査所見としてALPが低値であることとされます。これらの症状は、亜鉛を補充することによって改善すると考えられます。

② ビタミンD
亜鉛に続いて不足しがちな栄養として、ビタミンDが挙げられます。ビタミンDが欠乏すると、低カルシウム血症、骨粗しょう症の進行、う歯・歯周病の増加、サルコペニア、免疫能の低下、癌との関連が指摘されます。

③ 中鎖脂肪酸
高齢になると脂物は健康によくない、というイメージがあり、控える傾向が強く見られますが、健康のために脂は重要な役割を果たしています(図2)。特に、食事の量が減少して、あまり多くは食べられない高齢者にとって、脂は重要なエネルギー源としても活用できます。
また、近年、サルコペニアの予防にグレリンという消化管ホルモンが有効であることが指摘されています。グレリンは、単独では機能しにくく、中鎖脂肪酸によって活性化することが近年明らかにされました。また、中鎖脂肪酸は、アルツハイマーの症状を和らげることも期待されています。毎日の食事の中で、効率的に摂取するようにするといいでしょう。

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食事は生きていくために必要であり、最も自然な栄養摂取の手段で、「カラダを維持する」「内臓の機能を維持する」「筋肉や骨を維持する」ためにとても大切です。食べることは、人としての尊厳、人としての在り方として非常に重要なことである、と吉田氏は指摘しています。