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高血圧の治療は認知症を予防する(2)

高血圧が認知症のリスクを高めることが、近年指摘されています。今回は、2020年11月10日に実施された「認知症-超高齢社会を見据えて、今から始める予防策 第3回 認知症と高血圧」(一般財団法人 東京顕微鏡院)の講演を、2回にわたってご紹介します。
2回目の今回は、朝田 隆先生(東京医科歯科大学医学部付属病院 客員教授、筑波大学名誉教授、医療法人社団創知会 理事長)の講演「Withコロナ時代の認知症の予防と共生」をご紹介します。

高齢者の運動、知的活動、社会交流は、いずれもアルツハイマー病の予防に有用だと考えられ、反対に、糖尿病、中年期の高脂血症はリスクを高める危険因子とされます。日本では、認知症患者の8割を80歳以上が占めていますが、より高齢になって発症する認知症は、遺伝の影響が少なく、むしろ、これまでに生活の総決算という面が強くなります。したがって、それだけに予防の効果が期待できると朝田氏は指摘します。

多数派の認知症(80歳以上)の予防策

これまでの研究で、認知症の危険因子は発症年齢により異なり、高血圧、糖尿病などの危険因子、および運動や知的活動という防御因子が持つ意義は80歳以上と以下とでは異なり、このことを認識することが、予防対策において不可欠であると朝田氏は指摘します。多くの場合、認知症は80歳以上で発症しますが、これに対しては生活習慣病、うつ病にきちんと対応すること、食事、運動、知的刺激、社会交流などの望ましいライフスタイルを確立することが大切です。

運動の種類

それでは、どのような運動が良いのでしょうか。運動には、ウォーキングなどの有酸素運動、ウェイトトレーニングなどの無酸素運動、バスケットボールなどの混合運動がありますが、いずれも一定の効果があると期待されます。その中でも、有酸素運動は脳の司令部ともいわれる前頭葉が活性化されるため、脳の働き全体が向上すると期待されます。現在推奨されている有酸素運動は、最大心拍数の60~90%(だんだんスピードを速めていって、おしゃべりができなくなる程度の速度)で、1回に20~60分、週に3~5回がポイントとされています。

認知症からのリカバリー

認知症に絶対にならないことはできませんが、ある程度リカバリーを目指したり、進行を遅らせることはできます。朝田氏は、そのために必要な要素として①認知症があっても前向きに生きている人に会う、②場の力、集団のきずなで元気を得る、③本当に効く認知トレーニング場の開発を挙げています。グループで活動することによって、頑張っている人から刺激を受けたりみんなで一緒に頑張ることができます。そのためにも運動だけでなく、文化活動、地域活動など、様々な活動を上手に組み合わせることが望ましいでしょう。
ただ、現在のコロナ渦の中で、これらの交流が大幅に制限せざるを得ない状況が続いています。そのため、従来のように会場に大勢で集まって活動する、という形式から、オンラインでの交流、個別の自主トレーニング、オンラインを活用した認知症予防トレーニングの活用などを取り入れた、新しい生活様式にそって新たな健康づくりが求められています。