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お口の健康が支える健康人生100年時代の戦略

日本人の平均寿命は伸び続け、「人生100年時代の到来」と言われます。今回は2020年9月2日に実施された「ヘルスSHIFT100 日本発!世界へ広げるレジリエンスな健康社会」から、「お口の健康が支える健康人生100年時代の戦略」(日本歯科医師会会長 堀憲郎氏)の講演をご紹介します。

8020運動

口腔の健康が全身の健康に影響を与えることが近年明らかになり、お口の健康の維持が、近年注目を集めています。平成元年に始まった「8020運動」についても、ご存知の方も多いのではないでしょうか。これは、「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という運動ですが、この「20」は「自分の歯で食べられる」ために必要な歯の数を意味します。今までの歯の本数と食品を噛む能力に関する調査によれば、20本以上の歯が残っていれば。固い食品でもほぼ満足に噛めることが明らかになっています。この運動の効果もあり、「8020」の達成者数が昭和62年にはわずか7%でしたが、その後平成17年には24%、平成28年には51%に到達し、大きな効果を上げています。

口腔健康管理と健康寿命

日本歯科総合研究機構の調査では、230万件の医科、歯科のレセプト統合分析の結果、男女を問わず、あらゆる年齢層で、歯の数が20本以上のグループは19本以下のグループより、医科医療費が低いことが明らかになりました。また、別の試験では、口腔管理機能の徹底により、在院日数が10%以上削減されたり、癌治療の医療が15%低く抑えられたという報告もされています。それだけでなく、65歳以上の健常者を対象とした調査では、年齢、疾患の有無や生活習慣等に関わらず、①歯がほとんどなく、義歯を使用していない人、②あまり噛めない人、②かかりつけ歯科医院のない人は、認知症発症のリスクが高くなることが示されています。この調査では、歯を失って義歯を使用しないと認知症のリスクが最大1.9倍になることも明らかになっています。

また、高齢者だけでなく、口腔健康は、出産にも影響を与えます。「歯周病と全身の健康 2015」(日本歯周病学会編纂)では、歯周病の早産に対する危険率は1.78倍、低体重児出産に対する危険率は1.82倍、早産および低体重児出産に対する危険率は3.00倍であることも指摘されています。

このように、口腔の健康は、全身の健康にもつながります。そのため、生涯を通して歯科検診を受診し、日常生活において口腔の状態(歯数、口腔衛生、口腔機能)を管理することが大切です。