(2007年6月記事)
オーガニック果物・野菜で体内浄化、ゲルソン療法  

米国でマクロビオティックとともに、がん予防や治療の食事療法として知られるゲルソン療法。オーガニック果物・野菜のジュースやサプリメントを用い、体内浄化に努め、自然治癒力を高める。がん治療に効果的なケースもみられるものの、一方で、権威ある医療機関から有効性の科学的検証を求められている。ゲルソン療法の現況を報告する。
がんの治療や再発防止の食事療法として広まる

 ゲルソン療法は、ドイツからアメリカに移住したマックス・ゲルソン医学博士が1930年代に開発した食事療法。当初、ゲルソン氏が自身の偏頭痛治療に用いていたといわれる。後に、結核治療にも利用、さらに、がんの治療や再発防止の療法として広まっていく。

 ゲルソン療法では、体内に毒素が溜まることで、細胞のメタボリズムに障害が生じ、がんが発症するとしている。解毒を担う肝臓も負担が高まる。そのため、がんの誘発に関わると思われる食品を排除し、栄養素をバランスよく摂って免疫機能を高め、

体内毒素の排泄に努める。肝機能を整え、全身の代謝を良くし、がんなどの疾患の改善を試みる。

 ゲルソン療法は、食事やサプリメントによる栄養療法および排泄を重視する。食事では、オーガニックの果物・野菜ジュースを大量に飲用。1時間おきにグラス1杯、1日に計13杯を飲むなど「食」の管理がかなり厳しい。

 食材はオーガニック果物・野菜や全穀を使用し、塩の禁止、脂肪およびタンパク質の制限など行なう。サプリメントは、カリウム、補酵素Q10、ビタミンB12、ビタミンA、C、B3、acidol pepsin、Pancreatinなどを摂る。排泄は、コーヒーによる浣腸を行なう。

 ゲルソン氏が1959年に亡くなると、娘のシャーロット氏が引き継ぎ、70年代後半にメキシコにゲルソン・インスティテュートを設立、ゲルソン療法の普及に努める。

がん患者ケーススタディーで効用を確認

 Integrative Cancer Therapies誌3月号にゲルソン療法を行ったがん患者6人のケーススタディーが掲載されている。イギリスの研究報告で、データに基づく科学的な効能評価を行なっている。

 そのうちの1人のケーススタディを要約すると次のようになる。54歳の乳がん患者の場合、96年9月に44歳で乳がんと診断、5年生存率は20%と宣告される。同年10月に化学療法を始めるが、副作用のため97年2月に中止。同年3月から経口の投薬とホメオパシー療法を開始。4月のレントゲン検査で肺転移の疑いがあり、化学療法の効果がなかったことが示唆、ホメオパシー治療の投薬量を増やす。

 5月にゲルソン療法を始め、ホメオパシー療法を中止。8月のレントゲン検査で肺に見られた小さな瘤が消え、転移の疑いなしと判断。2000年と2002年の検査ともに再発の兆候なし。2006年現在、患者はゲルソン療法を継続し、健康を保っている。

 この患者を含め6人ともがんと診断され、現代医療の治療を受けたうえで、ゲルソン療法を試みている。研究者らは、患者6人のデータを西洋医学的見地から検証し、さらに科学的な治療効果の裏づけが必要としながらも、身体および精神の両面においてゲルソン療法のがん治療効果が確認されると結論付けている。 

FDAや米がん協会で、より科学的な検証が必要と主張

 上記のような治療データが出ているものの、米国医学界をはじめ、FDA(米食品医薬品局)、米がん協会、全米がん研究所(NCI)といった権威ある医療機関はゲルソン療法の有効性を正式に認めてはいない。

 NCIは1947年と59年、ゲルソン氏が治療した患者60人の報告書を検証したが、がんの治療効果を裏付ける証拠はないと結論付けている。また、1983年から1984年にかけ、ゲルソン治療を受けた患者38人を対象にインタビュー調査を行ったが、医療データの不足から、研究者たちの科学的評価は得られなかった。

 現代医学の立場から検証された研究報告としては、唯一、黒色腫の患者153人を対象にしたものがある。同研究では、ゲルソン療法を受けた153人の5年生存率と、既存(現代医療のみ)のデータを比較。その結果、ステージIIでは、ゲルソン療法を受けた患者の生存率が100%なのに対し、現代医療のみは79%、ステージIIIaでは、82%対39%、ステージIIIbでは70%対41%、ステージIVでは39%対6%と、いずれもゲルソン療法を受けた患者の生存率の方が高かったという。

 権威ある医療機関からお墨付きが得られなくとも、ゲルソン療法を試みるがん患者は多い。オーストリアの医療センターで行われた臨床研究では、ゲルソン療法をかなり修正した食事療法でのがんの治療効果も報告されている。
 代替医療が見直される中、自然治癒力の賦活を目指す食事療法に人々の関心が集まっているのは確かだ。






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