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2017年12月号記事 vol.163

若者の「スマホ依存症」に注意

S近年、中高生や若者の「スマホ依存症」が深刻な社会問題となっています。それでは、スマホの使い過ぎにはどのような問題があるのでしょうか。韓国、米国からの報告を紹介します。

スマートフォン(スマホ)から離れられない若者に脳画像検査を実施したところ、脳内の神経伝達物質の活性のバランスに異常が認められたとする研究結果が北米放射線学会(RSNA 2017、11月26日~12月1日、米シカゴ)で発表されました。この研究は高麗大学(韓国)のHyung Suk Seo氏らが、インターネット依存症またはスマホ依存症と診断された10歳代の男女19人(平均年齢15.5歳)と、年齢および性をマッチさせた依存症のない健康な男女19人(対照群)を対象として実施しました。

その結果、インターネットまたはスマホの依存症患者では、対照群と比べてグルタミン酸-グルタミン(Glx)に対するγアミノ酪酸(GABA)の活性レベルの比率が高いことが示されました。GlxとGABAはいずれも脳内の神経伝達物質ですが、Glxは興奮性、GABAは抑制性の物質とされています。同氏らによると、これまでの研究でGABAは視機能や運動調節、不安などさまざまな脳機能の制御に関与することが明らかにされているということです。また、今回の研究ではクレアチンおよびグルタミン酸に対するGABAの活性レベルの比率が、インターネットまたはスマホへの依存レベルや抑うつ、不安と有意に関連することも示されました。

この研究結果を受け、米コーエン小児医療センターのSanjeev Kothare氏は10歳代の子どもを持つ親に対し、同氏は「もしわが子がスマホ中毒ではないかと心配ならスマホやコンピュータの使用を制限すべきだ」と助言しています。

また一方で、米国でスマートフォン(スマホ)が一気に普及した2012年を境に、米国の中高生で抑うつ症状や自殺念慮の経験者、自殺者が急増したことが、米サンディエゴ州立大学心理学教授のJean Twenge氏らによる研究で明らかになりました。スマホやパソコンなどの1日当たりの使用時間が平均で5時間以上の中高生では自殺念慮や自殺企図などのリスクが上昇することも明らかになったということです。同氏らは「中高生でスマホなどの端末の使用時間が増えていることが、自殺者の増加につながっている可能性がある」と警鐘を鳴らしています。詳細は「Clinical Psychological Science」11月14日オンライン版に掲載されました。

Twenge氏らは今回、米国の中学2年生~高校3年生の男女計50万人超を対象に、抑うつ症状や自殺念慮の経験、インターネットでのソーシャルメディアの使用状況を含む生活や行動について尋ねた2件の調査データと、13~18歳の男女の自殺に関する米疾病対策センター(CDC)の統計データを分析しました。その結果、2010年から2015年までに中高生の自殺率は31%上昇しており、特に女子では65%上昇したことが分かりました。また、抑うつ症状を経験したことがある中高生の割合も、女子では2010年の16.7%から2015年には26.4%へと58%上昇していたほか、自殺念慮や自殺企図といった自殺につながりうる経験(自殺関連アウトカムの経験)がある女子中高生の割合も同期間に12%上昇していました。

さらに、自殺関連アウトカムの経験者の割合は、スマホやパソコンなどの端末を使用する時間が1日当たり1時間未満の中高生では29%でしたが、2時間の者では33%、5時間以上の者では48%を占めていました。また、端末の使用時間が1日1時間未満の中高生と比べて5時間以上の中高生では自殺関連アウトカムのリスクが66%上昇することが示されました。抑うつ症状の経験者の割合も端末の使用時間が長くなるほど高まることが明らかになりました。

今回の報告を受け、専門家は「さほど驚くべきものではない」と口をそろえています。米ミシガン大学のScott Campbell氏は「食べ物やアルコール、セックス、買い物などと同様に、インターネットの使用も過剰になると有害だ」と指摘。一方、米ワシントン大学のAnne Glowinski氏は「インターネットの長時間使用は特に夜間に多くみられるが、それによって睡眠の質が低下し、抑うつ症状や自殺のリスクを高める可能性があります。さらに対面での人との交流や家族と過ごす時間も奪い、精神的な問題を引き起こしうる」と説明し、親は子どもにスマホを与える前に十分話し合い、明確に使い方のルールを決めるべきだと助言しています。

スマートフォン、パソコンは便利ですが、過剰な使用は身体、精神ともに様々な問題を引き起こします。使用の際は家族でルールを決め、適切な利用を心掛けることが大切でしょう。

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