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2017年9月号記事 vol.160

学校の始業時間を遅らせれば830億ドルの経済効果に?

Sleeping student米国内の中学校や高校の始業時間を午前8時30分以降に遅らせれば、10年以内に830億ドル(約8兆9640億円)の経済的な利益がもたらされる―。米国のシンクタンク、ランド研究所がこのような分析結果をまとめた報告書を発表しました。始業時間が遅くなることで中高生の睡眠時間が増え、学業成績が向上し、仕事でも成功しやすくなるため、長期的に見て経済に好影響を与えることになるということです。

米国小児科学会(AAP)などの専門家団体は、思春期の若者の就寝や起床の生体リズムに合わせ、健康を保つのに必要な睡眠時間を確保するため、中学や高校の始業時間を午前8時30分以降とすることを推奨していますが、実際にはそれよりも早い始業時間の中学・高校が82%を占めています。また、中高生で望ましい睡眠時間は8~10時間とされていますが、7時間未満の中高生が最大で60%に上るとの報告もあります。思春期の若者の睡眠不足は精神的にも身体的にも健康に悪影響を及ぼすだけでなく、集中力の低下や学業成績の悪化をもたらし、さらには自殺念慮を引き起こす可能性もあることが指摘されています。

しかし、経済的な影響について検討されたことはなかったため、同研究所は今回、中学や高校の始業時間を午前8時30分以降に遅らせ、中高生の睡眠時間が増えることによる経済的な影響について分析しました。その結果、米国47州の中学や高校の始業時間を午前8時30分以降に遅らせることで得られる経済的な利益は、2年後までに86億ドル(約9288億円)、15年後までに1400億ドル(約15兆1200億円)と推定されました。報告書の著者の1人で行動・社会学の上級研究者であるWendy Troxel氏は「長年にわたって、われわれはティーンエージャーの睡眠の問題について公衆衛生上の課題として議論してきた。しかし、経済的な側面からみても、この問題は極めて重要であることが分かった」と説明。過去の研究では睡眠時間が平均で1時間長くなると、高校の卒業率が13.3%、大学への進学率が9.6%上昇すると推定されており、これらは学生が就く職業や収入などにも影響します。

近年、日本でも受験やテレビゲーム、スマホの普及などによる子供、青少年の睡眠不足が大きな社会問題となっています。睡眠不足は、精神と身体に対して深刻な影響を与えることが懸念されていますが、今回の研究で経済的にも悪影響を引き起こすことが明らかになりました。多忙な現代社会では大人も子供も睡眠時間を確保することが難しくなりつつありますが、睡眠の大切さを改めて見直す必要があると言えるでしょう。

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