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2008年10月記事 vol.53

ADHD(注意欠陥多動性障害)やアレルギー疾患 危ぶまれる子供達の健康 

kaigai52 子供達の健康が危ぶまれている。特に、ここ数年問題視されているのがADHD児童の増加。食品や環境の悪化が影響しているとみられているが、アレルギー疾患と同様に対策が急がれている。ADHD発症の背景や対策を報告する。

子供の注意欠陥多動性障害に、15%の親が心労

9月5日付けのUSA TODAYで、子供の健康問題でADHD(注意欠陥多動性障害)を挙げる親が15%にのぼることが分かったと報じている。
米国立健康統計センターが、4-17歳の男女1万7000人を対象に行った調査で、ADHD児童が男児で5人に1人、女児で10人に1人の割合でいることが明らかになったという。

ADHDは、不注意、多動性、衝動性といった気質が際立つ障害で、幼児期より落ち着きの無さやかんしゃくなど情緒不安定な言動が目立ち、12-13歳頃まで集中力の欠如といった性向が見受けられる。

原因については、食品や大気に含まれる化学物質、遺伝や脳内の神経伝達物質の関与が指摘されているが、いまだ明らかになっていない。

ADHDは、1900年代初頭に英国の小児科医が発見。1937年には、食欲抑制剤のアンフェタミンを医学的治療に使うなど、以後、治療に刺激剤が用いられる。 2002年には、ADHDの医科向けの治療基準が確立される。

ちなみに、同時期のNIH(米国立衛生研究所)の2000-2001年調査では、過去10年間で、ADHDの児童が500%増、また、耳の炎症が 136%増、喘息が200%増で、全米の児童の約16%がなんらかのアレルギー症状を訴えていると報告している。こうしたことからも、ADHDの発症に、 食品や環境汚染などが複雑にからんでいることが推測されている。

アメリカでは2000年に入って、子供向けのサプリメントの売上げが伸びている。健康食品専門店ではチルドレンサプリメントのコーナーを設け、錠剤以外に、ゼリーや液体など味付けや形態に工夫を凝らし、さまざまな商品を品揃えする。

「ニュートリション・ビジネス・ジャーナル」によると、2001年の段階で子供向けサプリメントの売り上げは推定5億1千万ドルで、サプリメント総売り 上げ178億ドルの2.9%を占めている。子供達の免疫力が落ち、ADHDやアレルギーなどの症状が増え、子供向けサプリメントのニーズが高まっていることがうかがえる。

オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸、ADHD対策に有用

ADHD対策にサプリメントは有用か。期待されているのが、オメガ3脂肪酸およびオメガ6脂肪酸。University of South Australia and CCIRO Nutrition研究者グループが、ADHD関連の行動障害を持つ子供145人に、魚オイル(オメガ3脂肪酸)とプリムローズオイル(オメガ6脂肪酸) を配合したカプセルを与えたところ、15週間で注意力が増し、多動や落ち着きの無さ、衝動性の低下が見られたという。一方、プラセボグループではそうした改善は見られなかったという(2005年)。

また、Pediatrics誌05/5月号に掲載された記事によると、オックスフォード大学の研究者グループが、5~12歳の注意欠陥障害の患者117 人を対象に6ヶ月間の対照研究を実施。被験者に、オメガ3脂肪酸およびオメガ6脂肪酸(6カプセル/日=エイコサペンタエン酸558g、ドコサヘキサエン 酸174mg、γ-リノレン酸60mg)か、プラセボのどちらかを与えたところ、サプリメントグループは最初の3ヶ月で、行動、読み書きに目立った向上が 見られたという。ただし、運動機能ではとくに変化は見られなかったという。

ADHDが鉄分の不足と関連しているという報告もある。パリの研究グループが、子供のADHD患者53人と一般の子供27人(対照グループ)を対象に、 体内の鉄分濃度を調べる検査法、フェリチン測定を行ったところ、フェリチン値に異常が見られたのは、ADHD患者グループの84%、対照グループの18% で、フェリチン値が低いほどADHDの症状が深刻なことが分かったという(Archives of Pediatric and Adolescent Medicine’04/12月号)。

年々増える小児アレルギー、遺伝子組み換え(GM)食品との関連も懸念

また、今後さらに子供達の健康で懸念されているのがアレルギー疾患。
米国アレルギー・喘息・免疫学アカデミーによると、アメリカで食物アレルギーに悩む人は少なくとも推定で1100万人という。中でも、乳幼児のアレルギーが増えており、9歳以下の食物アレルギー患者は500万人を超えるといわれている。

遺伝子組み換え(GM)作物が年々食卓に浸透しているが、こうした食品との関与も懸念されている。アメリカの遺伝子組み換え作物の2007年の作付面積は5770万ha。2003年は4280万haで、この5年間をみても、拡大の一途を辿っている。
遺伝子組み換えのトウモロコシがバイオ燃料として投機の対象になり、モンサント社では利益が2倍になるなどGM作物関連企業は活況を呈している。欧州で はGM作物フリーゾーン(栽培拒否地域)宣言をおこなう国も増えているが、アメリカでは今後もGM作物の栽培が促進されることが予想される。

その一方で、アメリカではここ数年、健康を重視し持続可能な社会を目指す「LOHAS(ロハス):Lifestyle Of Health And Sustainability」と呼ばれるライフスタイルを志向する消費者が増えている。環境破壊や食物汚染がより考慮され、自然食品やオーガニック商品、栄養補助食品へのニーズが高まることが期待される。

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