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認知症と糖尿病・メタボ ‐糖尿病と認知症-その危険な関係を知る-

2019年10月2日に有楽町朝日ホールにおいて、一般財団法人 東京顕微鏡院の主催で「認知症と糖尿病・メタボ」と題してセミナーを実施しました。今回は、このセミナーに基づいて、認知症の予防における生活習慣病の克服について2回シリーズで考えます。

コホート研究からみた認知症予防

セミナーの中で、島田裕之氏(国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター センター長)が「生活習慣と認知症予防の関係」と題して講演しました。

令和元年6月に「認知症施策推進大綱」が閣議決定されましたが、その中で「認知症になっても希望をもって日常生活を過ごせる社会」と「認知症の予防」を推進することとされています。それでは、認知症の「予防」、つまり発症を遅延させるためにはどうすればよいか、また、すでに発症してしまっている場合、進行を遅らせるためにはどのようなことができるのでしょうか。

早期ケアの重要性

認知症の危険性を早期に発見することは、非常に重要であると島田氏は指摘します。高齢者の約20%が記憶力や注意力が低下しているMCI(初期の認知症)と推定されていますが、そのうち30%は、正常な状態に回復する可能性があることが示されました。その一方、重度まで進行してしまうと、回復が非常に難しいことも明らかになりました。MCIの段階で適切なケアをして発症を2年間遅延させることで、認知症の有病者数を20%、5年遅延させることで40%減らすことができると推定されます。MCIから正常な認知機能へ回復する人の特徴、WHO認知症予防ガイドラインを、島田氏は以下のように紹介しています。

WHO認知症予防ガイドライン  MCIから回復する人の特徴

(講習会資料より)

アメリカにおけるアルツハイマー病の予防では、身体的不活動が危険因子の一つとして非常に大きな影響を持っていることが分かります。では、なぜ運動をするとアルツハイマーになりにくくなるのでしょうか。島田氏は、運動することによって、脳の栄養素が増加し、それによって脳の構造が変化したり、神経細胞のネットワークの構築にも望ましい効果があると指摘しています。また、脳の海馬は、記憶や学習能力の機能を担っていますが、一般的には加齢とともに縮小します。しかし、運動を継続することによって海馬が増大することが明らかになりました。調査によると、1年間ストレッチを行った群では、年間2%前後海馬が縮小していましたが、ウォーキングを継続した群では、年間2%近く増大していました。

ただ、運動をする場合、一人で黙々とするよりも、誰かと楽しく、話をしたり、頭を使いながら運動した方が効果的であることも分かりました。そのため、ゴルフ、ダンス、または、地域のコミュニティセンターでの運動教室やクラブなどを活用することも良いでしょう。歩数計をつけて、日常生活での自分の運動量を把握して管理することも有効だと考えられます。

認知症には、現時点では決定的な予防方法や治療方法はありません。そのため、趣味や生きがいを持つ、運動を継続する、生活習慣病を適切に予防/治療するなど、複数の活動を併せて実践してゆくことが大切であると、島田氏は指摘しています。