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今、筋肉が熱い!? ~あなたの知らない筋肉の世界~ ②

運動というと、足腰を鍛えて転ばない体づくり(転倒予防)をイメージする方が多いのではないでしょうか。しかし、これまでの研究から、日々の運動不足や、それに伴う歩行機能の低下が認知症の発症に強く関連していることが明らかになってきました。今回は、桜井良太氏(東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム)の講演「運動不足解消で認知症予防―日々の生活で気を付けたいこと―」に基づいてお話いたします。

身体活動が我々の健康に与える影響 

運動不足は、心疾患・糖尿病・癌といった生活習慣病発症の危険因子として、位置づけされていますが、最近では、認知症の発症にも強く関連していることが知られています。例えば、福岡県糟屋郡久山町を対象に、800名以上の高齢者を最大17年間追跡した研究からは、運動習慣がない人(運動習慣が週1回未満)に比べて、週に1回以上の運動習慣がある人では、認知症の発症率が顕著に低かったことが報告されています。

運動不足解消で防げる認知症患者数

(講演資料より)

どのような運動が認知症予防に効果的なのか?

では、どのような身体活動が認知症予防に有効なのでしょうか?認知症予防の効果が多く報告されている身体活動の一つに、ウォーキングがあります。1年間ウォーキングを行った人達は、簡単な体操を1年間行った人達に比べて、記憶機能を司る脳の海馬という領域が大きくなっていたことを示す報告があります。また、近年の研究で、何かをしながら歩く、すなわち「二重課題歩行」の能力低下が認知機能低下と関連していることが明らかになってきました。100から1ずつ引いた数を口にしながら歩いただけで、途端に足がもつれてしまう、こんな症状が出たら、認知機能の低下のサインかもしれません。二重課題歩行を行うことが認知症発症の予防になるかは分かっていませんが、「何かをしながら何かする」といった能力は、社会生活上重要な認知機能です。家事や趣味活動といった日常のなかで、2つの事を同時に行えるような活動を意識して取り入れることは認知機能低下を予防するうえで重要であると言えます。

 日々の生活での身体活動も重要

ウォーキングは認知症予防に効果的ですが、このような特定の身体活動だけが認知症予防につながるわけではありません。「1日の総活動量」が少ない高齢者は、多い高齢者に比べて5年後の認知症発症率がおよそ2.3倍高かったことも報告されています。したがって、特別な運動をしなくても、日常的に1駅歩く、エレベーターやエスカレーターよりも階段を使う、家事をしっかり行うなどを心がけることが、認知症予防をはじめとした健康維持のための生活習慣であると言えるでしょう。