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お口のケアが全身を守る-歯周病と糖尿病の不思議な関係―

歯周病は、糖尿病だけではなく心血管系疾患、呼吸器感染症、早産・低体重児出産、骨粗鬆症など、さまざまな全身疾患と関連性があるといわれています。最近ではメタボリックシンドロームとの関連性も指摘されており、口腔ケアの必要性に注目が集まっています。今回は、2017年11月8日に健康保険組合連合会東京連合会主催で実施された近藤郁子氏(医療法人社団郁進会 理事長)「歯と糖尿病対策セミナー お口のケアが全身を守る‐歯周病と糖尿病の不思議な関係‐」をもとにお話しします。

日本人と糖尿病

日本人の5人に1人が糖尿病と言われていますが、糖尿病とは血糖値の高い状態が続き、それによって全身のさまざまな器官に異常が現れる病気です。すい臓で分泌されるインスリンというホルモンは血液を介して肝臓、筋肉、脂肪組織に運ばれ、血液中のブドウ糖を細胞内に取り込むのを手助けし、血糖値を下げる働きを持っています。インスリンがすい臓で分泌されなかったり、うまく作用しなくなると血液中にブドウ糖が溜まり、高血糖の状態になります。これが糖尿病です。糖尿病になると、口渇、頻尿、疲労、昏睡などの症状がみられ、治療せずに放置すると神経障害、網膜症、腎不全など合併症を発症してしまうこともあります。

高血糖と歯周病

糖尿病の人は、糖尿病でない人に比べて中等度あるいは高度の歯周病になる頻度が2~3倍高く、また歯周病の進行が早く、治るのも遅くなります。糖尿病があると糖化たんぱくが増加し、マクロファージ(体内に侵入した細菌やウィルスを捕食・消化し、その情報をリンパ球に伝えます)が活性化されて特定のサイトカイン(細胞同士の情報伝達を担うタンパク質ですが、過剰に分泌されると自らの組織を破壊してしまうこともあります)の分泌量が増え、歯周組織の炎症が悪化してしまうことが原因と考えられています。この場合、歯肉炎が歯周病に発展して歯槽骨が吸収され、ついには歯が抜けてしまうこともあります。現在、成人の8割が歯周病だと言われています。

また、糖尿病で歯周病が増える理由として、原因となる食生活習慣が共通していることも原因の一つとして挙げられます。糖分の多い食事、間食、ストレス、喫煙、飲酒は歯周病を起こす生活習慣であると考えられます。特に歯周病の場合は1回で食べる量よりも食べる回数、時間の長さが病気の発症と進行に大きな影響を与えると近藤氏は指摘します。食事と間食はなるべく規則正しくし、頻繁な間食は避けるようにしましょう。

糖尿病と歯周病を防ぐ生活習慣

歯周病を放置すると歯を失うことになってしまいますが、そのことによってよく嚙むことが難しくなります。よく嚙むことは非常に大切で、肥満防止、唾液の分泌、脳の活性化など様々なメリットがあります。特に唾液には細菌を洗い流して歯周病を予防し、一方で消化酵素のアミラーゼがでんぷんを分解して消化吸収を助けます。唾液は1日に1.5~2リットル分泌されていますが、糖尿病になると唾液の分泌量も減ってしまうことが明らかになっています。

糖尿病と歯周病は相互に関連しており、そしてどちらも生活習慣から引き起こされることがほとんどです。健康な歯でバランス良い食事を摂り、十分に睡眠をとって適度な運動を行い、ストレスをためない生活を送ることにより、歯周病や糖尿病だけではなく、様々な病気の予防につながります。生活習慣を整え、健康を管理しながらしっかり糖尿病と歯周病を予防するように心掛けたいですね。