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がんと共に生きる

近年、医学の進歩によって平均寿命が伸長する一方で、疾患の罹患実態やその頻度も大きく変化しました。特にがんは、多くの人が直面するより身近な病気となってきています。今回は、2017年9月12日に練馬区民・産業プラザで実施された「敬老の日講演会 がんと共に生きる」(練馬区総合病院)の講演に基づき、がんについて考えます。

がんと診断されると、誰もが不安になるでしょう。その不安を和らげるためには、がんについてよく知ることが大切であると栗原直人氏(練馬総合病院副院長・外科医師)は述べています。がんをよく知って、自分の状態をよく知れば、自分や家族がより納得して治療を受けることができるからです。

がんの特徴

がん細胞はヒトの正常な新陳代謝を続けて止まることがなく、細胞分裂を制御することができません(自律性増殖)。そして本来の組織内とどまらず、周囲に広がり(浸潤)、体のあちこちに飛び火(転移)します。がんの組織は、他の正常組織が摂取する栄養を奪ってしまうため、がんになると身体が衰弱します。それでは、どうしてがんになるのでしょうか?がんになる原因には、外的要因と内的要因があります。外的要因は①化学的な因子(発がん物質)、②物理的な因子(放射線、紫外線)、生物学的な因子(ウィルス、細菌)、内的要因は遺伝的な要因、遺伝子異常、個人差が挙げられます。

がんの診断

がんの進行度は、①がんがどのくらいの大きさになっているか(T因子)、②周辺のリンパ節に転移しているか(N因子)、③別の臓器への転移はあるか(M因子)の3要素を組み合わせて決め、これによって病気を大きく0~IV期の5つに分類します。がんは、自覚症状がなく、健診や人間ドックなどで偶然見つかる場合もありますし、食欲がない、体重減少、血痰や血尿などの自覚症状があって見つかる場合もあります。様々な検査によって診断したり病気を決めますが、がんを最初に診断した時の病気が予後に影響すると栗原氏は指摘します。がんは早期であれば治る可能性も高く、進行するほど根治が困難な場合があります。そのため、がんは早期に発見することが重要で、健診を積極的に受け、なにか症状があれば主治医に相談するようにしましょう。

治療と治療をはじめる前の心構え

がんの治療は外科的治療、化学療法、放射線治療が中心ですが、近年ではこれらと並行してがんやがんの痛みを和らげるための緩和ケアを組み合わせることが増えています。栗原氏は、診断や治療などの医学的なことについて、病状をもっともよく理解しているのは担当医や看護師、薬剤師であり、納得しながら治療を勧めて行けるように自分自身の状態について率直に伝えて信頼関係を築くことが大切であると指摘しています。がんの治療は長期戦であるため、信頼できる医師、病院、通院しやすさなど、様々な要素を考えて決定すること、また、治療については充分に説明をうけ、理解し、納得したうえで受けることが大切ということです。

痛みを緩和するために

がんの治療は外科的、化学療法、放射線治療が中心ですが、がんにかかると痛みもあり、また、治療に関連した痛みが生じることも多くあります。そのため、近年では痛みを緩和するための緩和ケアや療養生活の改善も治療と同じようにも重要であると考えられています。渡邊輝子氏(練馬総合病院 看護部病棟副師長)は、がん情報を探すときのポイントとして、日本緩和医療学会のホームページ(https://www.jspm.ne.jp)が有効であると紹介しています。また、緩和ケアでは痛みの段階に合わせて痛み止めや副作用対策の鎮痛剤を選ぶことが大切ですが、同時に薬以外の方法も大切であると指摘しています、気分転換すること、アロマテラピーやマッサージなどのリラックス方法も上手に活用できるといいでしょう。また、日常生活の中で、痛みを感じないように姿勢に気をつけたり、休息と活動のバランスを取ることも大切です。また、一人で抱え込まない、誰かに相談することによって心の痛みを緩和することも必要だということです。