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感染症を媒介する蚊対策

日に日に蒸し暑さが増し、草むらや公園などで蚊を見かけるようになりました。デング熱、ジカウイルス感染症など、蚊を媒介とした病気が近年大きな問題となっています。2017年6月15日(木)に東京都健康安全研究センターが「感染症を媒介する蚊対策講習会」と題して講演をしました。

蚊が媒介する感染症

最初に、「蚊が媒介する感染症について」と題して忽那賢志氏(国立国際医療研究センター病院)が講演しました。忽那氏は、デング熱が日本で流行した背景について、ワクチンの普及によって日本脳炎の発症者が低く抑えられていることもあり、蚊による感染症に対する意識が希薄になっていることと、海外から日本/日本から海外への旅行者の増加にともなって輸入デング熱症例も増加傾向にあったことが挙げられると指摘しています。媒介するヒトスジシマカは、デング熱発熱者を吸血することによりデングウイルスを獲得し、他のヒトを刺すことによりデングウイルスを感染させます。そのため、海外渡航歴はなくても感染する場合があるため、今後も注意が必要です。また、デング熱の他に蚊が媒介する病気は、日本脳炎、マラリア、ジカウイルス感染症などがあります。これらの病気の流行地域に渡航する場合は、防蚊対策を徹底し、帰国後に発熱などがみられたらすぐに受診するようにしましょう。日常生活の中では、外出の際に肌の露出が少ない服装にする、防虫剤を使用する、蚊が多いところで寝る際は蚊帳や蚊取り線香などを使用するなど、蚊に刺されないための工夫が必要です。

ヒトスジシマカの生態

次に、武藤敦彦氏(日本環境衛生センター東日本支局)が「蚊(ヒトスジシマカ)の生態」と題して講演しました。武藤氏は、ヒトスジシマカは卵で越冬し、春になって水がたまると孵化して成長すると述べています。そのため、水を溜めないことが蚊の発生予防には非常に重要です。また、飛翔距離は数mで、一日でも最大で100m程度であまり長距離の移動はしないため、発生源の近辺で刺されることが多いと考えられます。そのため、蚊の発生源となる場所を作らないことが大切です。

身近でできる蚊の対策

それでは、蚊の発生を防ぐためにはどのようなことを実施すればよいのでしょうか。講演「身近でできる蚊の対策」(日本防疫殺虫剤協会・足立雅也氏)からご紹介します。

➣幼虫の発生源と対策

        • 数を減らすことで、刺される機会を減らす
        • 移動範囲の小さい幼虫(ボウフラ)なら飛び回る成虫よりも駆除しやすい
        • 対策を日常習慣化させる

幼虫の発生源は水であるため、たまり水を作らないことが大切です。水受け皿がある場合は水を捨て、その際にスポンジなどで皿の側面を掃除しましょう。蚊は側面に卵を産むため、側面を掃除することによって卵を落とすことができます。また、古タイヤや溝などのように水を捨てることが難しい場合は、殺虫剤を入れることも有効です。水生植物の育成鉢等の、水を捨てることも殺虫剤の使用も難しい場合は、ボウフラの天敵であるメダカを飼ってもいいでしょう。メダカがボウフラを食べてくれるため、蚊の発生防止になります。庭に放置してある鉢やジョウロなどの水がたまりやすいものは、水が溜まらないように伏せて置くように習慣づけましょう。穴、くぼみなどは砂や土で埋めるようにするといいでしょう。また、竹藪には蚊が多く発生しますが、これは竹を切った節の筒状の部分に水が溜まり、これが発生源となることが大きな原因です。竹を切った節に水が溜まり、ここに蚊が産卵して発生の原因となります。そのため、竹は根元から切る、もしくは縦に割る、もしくは砂を入れて埋めて水が溜まらないようにすると蚊の発生減らすことができます。

➣成虫対策

  • 蚊に刺されないようにする
  • 建物周囲の潜伏匹数を減らす
  • 屋内侵入の対策

蚊に刺されないように防虫剤、蚊取り線香、長そで長ズボンの着用は有効ですが、庭や玄関先に水たまりや植え込みがあると、ここに潜伏した蚊が人について家の中に侵入する可能性が高くなります。そのため、剪定や下草刈りで通気性をよくしたり、やぶ蚊用の殺虫剤や忌避剤を噴射して蚊の建物内への侵入を防ぐようにしましょう。蚊を媒介とした感染症の拡大を阻止するためには、媒介者である蚊を駆除するしかありません。感染症の発生や蔓延を防ぐために、蚊の発生を防ぎ、また、蚊に刺されない工夫を習慣にして継続的に行っていくようにしましょう。