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ヒアルロン酸の科学から健康長寿を考える

日本では平均寿命が伸び続けていますが、その一方で依然として健康寿命(自立した生活ができる期間)とは10歳近い開きがあります。今後、いかにして平均寿命と健康寿命の差を縮めるかは、重要な課題であると言えるでしょう。

 平成28729日に一橋講堂において、「ヒアルロン酸の科学から健康長寿を考える~糖鎖と健康」と題して、板野直樹氏(京都産業大学総合生命科学部抗老化医学研究室)が講演しました。

 板野氏は、健康寿命を阻害する3大因子として、メタボリックシンドローム、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)、認知症を挙げています。これらは相互に密接に関連しながら健康寿命を縮めてゆきます。例えば、ロコモティブシンドロームによって運動器に衰えや障害が起きると外出の機会が減り、それによって会話の機会も少なくなり、その結果認知症が悪化する等の悪循環が指摘されます。運動器の健康を保つことは非常に重要で、足腰は健康を支える基盤であるとも言えるでしょう。

運動器の障害の1つとして、関節炎・変形性膝関節症が挙げられます。加齢によって関節液が減少し、軟骨がすり減ることによって関節炎を発症するというものです。これが慢性炎症となると、骨が動かなくなってしまうこともあります。治療方法としては、注射で関節液としてヒアルロン酸を補います。ヒアルロン酸とは糖鎖の一種であり、非常に粘性、弾力性、保水性に優れており、肌や皮膚に多く含まれています。ヒアルロン酸は加齢によって合成量が低下します。関節炎を防ぐためにヒアルロン酸の減少を補う方法として、ヒアルロン酸もしくはその材料となる成分をサプリメントで補う、ストレッチによって分泌を促進するなど、様々な研究が進められていますが、現時点ではいずれもその効果について科学的な根拠は明らかにされていません。サプリメントの摂取も、ある程度の効果は期待できるかもしれませんが、過剰摂取には注意が必要です。

板野氏は、適切な栄養と適切な運動で健康的な生活を心がけることが最も重要であると述べています。また、今後、ウォーキングとヒアルロン酸量の関係等も検討する必要があると指摘しました。