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疫学研究でわかった「粗食」と「過食」の善と悪

現代の日本では、高齢化社会を背景に健康に関する関心が高まっています。しかしその一方で、あまりに健康情報があふれており、中には科学的な裏付けがないものも少なくなく、人種や年齢の違いを考慮していない情報も多くあります。今回は、「日本の一般的な高齢者が健康長寿を目指すうえでどんな食生活が望ましいのか」についてお話しします。

健康長寿の疫学研究 

2016年5月31日に第142回老年学・老年医学公開講座が練馬文化センターで開催されました。この中で、新開省二氏(東京都健康長寿医療センター研究所 副所長)が「疫学兼研究でわかった『粗食』と『過食』の善と悪」と題して講演しました。新開氏は講演の中で、これまでの研究から健康長寿であった高齢者は①栄養状態が良く、②体力があり、③仕事を含む何らかの社会活動をしていた、という特徴を持っていたと指摘しています。

栄養状態と健康余命の関係 

栄養状態がよいことは、健康長寿の三大条件の一つです。これまでに食事の影響を受けて変化する栄養指標(BMI、血清アルブミン値、総コレステロール値、ヘモグロビン値)を目印にして長期的な食事の影響について調べたところ、栄養状態が低い高齢者は、要介護の発生率が高く、また、死亡率が高く余命が短い傾向にあることがわかりました。新開氏は、一般の高齢者で見られる低栄養状態の主な原因は、普段の栄養の摂り方にあると指摘しています。高齢期は、普段から栄養の摂り方に注意して低栄養にならないようにすることが、元気で長生きする秘訣なのです。

高齢期の低栄養 

4つの栄養指標をそれぞれ調べたところ、高齢者の低栄養素は、特定の栄養素が不足するのではなく、様々な栄養素が不足するというのが特徴です。その原因としては、全体的に食べる量が少ないこと、あるいは栄養素密度が低い、いわゆる「粗食」にあると考えられます。「過食」に比べると「粗食」は良いイメージが持たれがちですが、高齢期に低カロリーの粗食を続けていると、低栄養状態が加速し、老化が促進されて健康寿命が短くなると新開氏は述べています。

健康長寿を達成するためには、低栄養の予防に努めることが大切です。そのためにはタンパク質等も敬遠せずに十分とるなど、多様な食品から様々な栄養素をまんべんなく摂り、栄養素密度の高い食事を心がけることが大切です。