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女性に多い骨粗鬆症の防ぎ方

超高齢化社会の到来で懸念されているのが、認知症や骨粗鬆症の増加です。こうした疾患に対して、日頃どのような予防をすればいいのか。今回は、とくに女性に多い骨粗鬆症対策についてご紹介します。

骨粗鬆症の発症者の80%が女性 

私たちの骨量は20歳までにピークに達し、その状態は40歳頃まで維持され、その後は加齢とともに徐々に低下するといわれます。特に女性の場合は骨と女性ホルモンが密接に関係していて、閉経を迎える50歳代頃より1年に約2%のペースで骨量が減少していきます。そのため、骨粗鬆症の発症者の80%は女性で、骨粗鬆症=女性の疾病とまでいわれています。

2015年11月13日(金)、東京大学伊藤謝恩ホールにて「食と生命のサイエンス・フォーラム2015 栄養とヘルシー・エイジング」が開催されました。この中で、石見佳子氏(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所)が「骨の健康づくりと栄養・運動」と題して講演しました。骨粗鬆症は「骨密度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」と定義されています。骨粗鬆症対策は、今や先進国共通の急務の課題となっています。現在、日本では骨密度測定部位を「腰椎」又は「大腿骨近位部」として、骨粗鬆症の診断基準を策定しています。この診断基準をもとに、40歳以上の日本人を対象に腰椎および大腿骨頸部の骨粗鬆症の有病率を調べたところ、日本の骨粗鬆症患者数は約1,280万人で、うち男性は300万人、女性は980万人であることが推定。また、男女ともに加齢に伴い骨粗鬆症の有病率が増加傾向にあることが分かりました。

「荷重」で骨が強くなる 

では、どうすれば骨粗鬆症を防ぐことができるのでしょか。そもそも骨は常に「骨吸収」が生じ、再構築が繰り返されています。この再構築はリモデリングといわれます。すべての女性が閉経後、骨吸収の抑制に関わる女性ホルモンのエストロゲンが急速に減少し、骨量が著しく減少していきます。さらに、骨量は遺伝や荷重(運動による負荷)、栄養やライフスタイルといった環境因子にも大きな影響を受けます。どちらかといえば、健康な骨を維持するためには後者のほうが重要で、骨に良い環境で生活することが大切であると石見氏はいいます。特に日常生活で大事なのは栄養と運動で、運動については、その人の骨格や性別、年代に応じた「荷重」で骨が強くなることも明らかになっています。

健常者も毎日60分歩くことを目標に 

ちなみに、宇宙飛行士は「荷重」にさらされることがないため、帰還すると性別や年齢を問わず骨粗鬆症になるといいます。それほど運動は健康な骨を保つために重要な要因になっています。では、どれくらいの運動が適度な「荷重」になるのでしょうか。まず健康な成人であれば、毎日60分は動く(毎日1万歩歩くことに加え、歩行以上の強度の運動を10分程度加える)のが目安と石見氏は指摘します。高齢者の場合は、1日40分の歩行を目安にすれば十分です。

この10年の調査で、日本人の運動量が1日に平均1,000歩程度減少していることが分かっています。この運動量の減少は、骨の問題だけでなく、あらゆる生活習慣病の原因と密接に関係していることも明らかになっています。特に、性別・世代別での調査で、若い女性の運動量の減少が著しいといわれます。骨量のピークは若い時期であるため、10代~20代でしっかり運動習慣をつけておくことは生涯の骨の状態に大きく関わります。また壮年期、老年期でも、毎日60分以上の歩行や運動は認知症や生活習慣病、がん、などの疾病予防になるという報告もあります。

日光浴や食事ももちろん大切 

健康な骨を作るためには、適度な「日光浴」も大切で、これによりビタミンDが体内合成されます。掌だけでも一日15分程度日光を浴びると骨の維持に有効であるという報告もあります。食事については、伝統的な和食が最適と石見氏は述べています。主菜は魚で、副菜2品のうち1品は干し椎茸などのキノコ類や豆製品、あるいは野菜や海藻類などをもう1品、そして味噌汁。

このような食事と運動の相乗効果により健康な骨が作られます。何歳であっても、日常的な努力で骨を丈夫にする習慣を心がけることが大切であると石見氏は指摘しています。