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糖尿病、まず腸内細菌を良好に

「腸内環境が良いか悪いか」—– そうしたことが健康管理の要になることがよく知られるようになってきました。腸内環境の悪化は、アレルギーや糖尿病の発症の引き金になるとも言われています。今回は腸と糖尿病との関係についてご紹介します。

ヒトは腸内細菌がなければ生きていけない 

近年、腸内の環境が悪いとさまざまな病気が生じ、逆に腸内の環境が良好になるといろいろな病気が好転するということが、健康の基礎知識として知られるようになってきました。腸内環境は、アレルギーなど健康に影響をおよぼすとされていますが、糖尿病にも関係することが指摘されています。

2015年9月19日(土)、「第4回 東京医科歯科大学 糖尿病・内分泌・代謝内科 市民公開講座」が東京医科歯科大学にて開催されました。この中で、坊内 良太郎氏(東京医科歯科大学 糖尿病・内分泌・代謝内科)が「糖尿病と食~腸は口ほどにものを言う」と題して講演しました。ヒトの腸内には1,000種類以上、100兆個以上の腸内細菌が棲んでいるといわれています。腸内細菌にはビフィズス菌などの善玉菌、大腸菌などの悪玉菌、環境によって善玉にも悪玉にも変化する日和見菌の3種類があります。この善玉菌・悪玉菌・日和見菌の理想的なバランスは2:1:7であり、健康管理のためには悪玉菌を増やさないようにすることが大切と言われています。

腸内細菌は、ヒトが体内では消化できない栄養素(主に食物繊維)を分解し、エネルギー源(短鎖脂肪酸)として供給します。また、ヒトが体内で作ることのできないビタミンの合成や、病原菌から人体を防御(免疫機能)する機能も果たします。このように、腸内では腸内細菌による摂取した食物の消化吸収や排泄、ホルモン分泌などが行われています。私たちの生存にホルモン分泌は欠かせません。つまり、ヒトは腸内細菌がなければ生きてはいけません。

悪玉菌過多で糖尿病発症(マウス実験) 

腸内細菌を崩す一番の原因はやはり食事です。とくに脂肪分の多い食事、食物繊維の不足した食事の影響は大きいといえます。食事以外には運動不足、抗生物質の投与、過度なストレス、そして加齢も腸内細菌を乱す要因となります。増え過ぎた悪玉菌からは毒素が発生しますが、この毒素は血液に乗って全身に行き渡り、体内の弱いところで悪さをします。例えば、血管を攻撃して生活習慣病を引き起したり、ホルモンバランスを崩して糖尿病や肥満を招くこともあります。

実際に、糖尿病になったマウスと健康なマウスの腸内細菌を比較すると、糖尿病型マウスの腸内細菌は明らかに悪玉菌過多になっています。逆に、悪玉菌過多の腸内細菌叢を正常マウスの腸内に移植すると、正常マウスも糖尿病を発症するという報告もあります。また、健康なマウスの良好な腸内細菌叢を糖尿病マウスに移植すると、糖尿病マウスは痩せたり糖尿病が良くなったりすることも分かっています。

4週間ほどで腸内環境は変わる 

現在、糖尿病の治療は食事と運動が中心となっています。腸内細菌を良好に保つためには、善玉菌のエサである食物繊維などのプレバイオティクスや乳酸菌やガセリ菌などのプロバイオティクスを積極的に摂ることが必要です。それに運動や規則正しい生活習慣が加わると、だいたい4週間ほどで腸内環境が改善されるということが明らかになっています。

腸内細菌を整えることは、大腸がんやアレルギー疾患、婦人科疾患、動脈硬化、自閉症などの予防にもつながります。お腹の健康こそ不老の秘訣であり、そのためには腸内環境を意識して日々の食事を摂ることが大切と言えるでしょう。