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高齢化で増加が懸念、前立腺がん

超高齢化社会の到来で、高齢者のがん罹患が危ぶまれていますが、なかでも懸念されているのが前立腺がんです。今回はこの前立腺がんの危険因子や予防法についてご紹介します。

50代以上の男性に増加 

近年、著名人の前立腺がんの発症が報じられることが多くなりました。前立腺がんは比較的治療効果が高く、克服して元の生活に戻る人も少なくありません。しかし、50代以上の男性の罹患者が急増しているため、男性にとっては楽観できない病気であることは確かです。

2015年7月4日(土)、日本医師会館大講堂で、「第18回 日本医学会公開フォーラム」が開催されました。この中で、大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学 泌尿器科の野々村 祝夫教授が「前立腺がん」の予防法などについて解説しました。

そもそも前立腺とはどのような臓器なのでしょうか?前立腺とは尿を溜める膀胱の真下に男性にだけある臓器で、サイズはくるみ程度です。この前立腺のなかを膀胱が通っています。前立腺は尿道をぐるりと囲み、尿道の通り道となっていて、葡萄の房のように小さい房がたくさん連なっています。

前立腺がんと前立腺肥大症 

この前立腺は内腺と外腺という二重構造になっていて、前立腺上皮細胞といわれる細胞からはたくさんの細い管が尿道に繋がり伸びています。前立腺からは精子の栄養となり、精液を液状化するのに不可欠な前立腺液が分泌され、尿道に向かっています。前立腺はみかんによく例えられます。前立腺障害はみかんの内側に問題があるというイメージで、問題のある部分を掻き出すような処置を行うことが多いそうです。

ところで、前立腺がんと同様に注目されているのが前立腺肥大症ですが、この2つは全く違うものです。前立腺の内腺に発生するのが前立腺肥大で、前立腺がんよりも症状が出やすいという特徴がありますが、こちらは基本的に良性です。一方、外腺に発生するのが前立腺がんで、みかんでいえば皮の部分(外側)に現れるため症状が出にくいという特徴があります。

前立腺肥大は50歳前後から誰にでも起こる 

前立腺肥大はイコールがん、ということではありません。ただ、前立腺肥大は男性の50歳前後から誰にでも起こり、年齢とともに肥大化することが報告されています。前立腺がんは外腺に発生するため、早期には症状もなく排尿にも影響がありません。しかし骨に転移しやすいということがあるため、早期発見が非常に重要です。

喫煙やカルシウムの過剰摂取が危険因子 

前立腺がんは典型的な高齢者のがんで、増加傾向にあります。男性ホルモンに依存して増殖し、進行が比較的緩慢であることが特徴です。また、前立腺がんは遺伝よりも生活習慣が原因となることが多く、食生活の欧米化が大きな原因と考えられます。特に加工肉の過剰摂取、喫煙習慣、カルシウムの過剰摂取が危険因子として挙げられます。また、大豆たんぱく質の十分な摂取、セレンの摂取(ごまや青魚、卵黄などに多く含まれる)、 ビタミンEの摂取などが、進行を抑制するために効果的であることが報告されています。

前立腺がんは、日本では泌尿器科の疾患で最も多く、がんの中でも特に増加傾向にあるもののひとつです。アジア人は罹りにくいといわれていますが、日系アメリカ人は罹患率が高く、やはり食生活ががんの発生に大きく関与しているということがいえそうです。早期発見すれば治療も速やかで術後の生活の質も保ちやすいため、正しい発見方法について知ることが大切だと言えるでしょう。