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肺の生活習慣病、COPDのリスク

風邪でもないのにせきやたんが続く。近年、こんな症状を訴える人々が増えています。こうした症状は喫煙や受動喫煙の影響による、いわゆる肺の生活習慣病といわれるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の疑いがあるといわれます。今回はCOPDの対策についてご紹介いたします。

近い将来、COPDが世界の死因の3位に 

日本人のがん死亡で男性のトップは肺がん、女性も肺がんは第2位です。肺がんの最大要因といえば「喫煙」であることは周知です。現在、日本人の20.1%、およそ2,200万人が喫煙をしており、年間の全死亡者数の約1割に相当する12万9,000人が喫煙で死亡、また受動喫煙により6,800人が死亡していると推計されています。これに加えて、近年問題視されているのが喫煙や受動喫煙が要因とされるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)です。COPDは日本では死因の第9位、男性では7位です。COPDは長年の喫煙が原因とされ、肺の生活習慣病ともいわれています。現在COPDは、世界的に増加傾向にあり、WHOでは近い将来COPDは世界の死因の3位になるであろうと警鐘を鳴らしています。

COPD、タバコへの感受性が強い人に起こりやすい 

2014年12月8日(月)、東医健保会館で公開講座「働きざかりから始める、人生80年時代の健康づくり」が開催されました。この中で、別役 智子氏(慶応義塾大学 医学部内科学教室呼吸器内科 教授)が、「働き世代から始める、禁煙とCOPD対策~COPD予防と治療の最前線」と題して講演しました。講演で別役氏は、私たちの体にとって肺は非常に重要な器官だが、多くの人があまり肺に興味を持っていないと述べ、COPDはタバコに対する感受性が強い人に起こりやすく、タバコを吸っていない人、喫煙者が周りにいない人でも環境汚染などで起こる場合があると指摘しました。

将来的に、日本でのCOPDの増加が懸念されますが、そもそも肺は私たちの体内でどのような働きをしているのでしょうか。まずは「呼吸によって酸素を取り込み、二酸化炭素を吐き出す」というガス交換の働き。これは肺にしかできません。

COPD、早期発見が非常に難しい 

また、肺は血液や血流とも密接に関係しています。肺には非常にたくさんの毛細血管があり、左右前後に枝分かれして迷路のようになっています。肺の気管支の先には肺胞と呼ばれるぶどうの房のようなものがあり、ここに1分間で約7リットルの酸素が取り込まれ、肺胞に張り付いている毛細血管によって酸素が全身に運ばれていきます。大人はだいたい3億個の肺胞を持っているといわれますが、この肺胞に穴があいてしまう病気が、COPD(慢性閉塞性肺疾患)で、早期発見が非常に難しいとされています。というのも、肺胞は面積換算するとテニスコート半面のサイズにもなり、多少穴が開いても気付かないことが多く、症状が分かりにくいからです。そのため、症状が現れて病院に行った時には、すでに重症化してしまっている場合も多くあります。

肺の老化度をチェックする 

また、人の体は加齢と共に老化しますが、「肺の老化」についても知る必要があると別役氏は指摘しています。肺の老化の検査の基準になるのが「一秒量」という数値です。一秒量とは、一秒間に思い切り息を吐いた時の呼気の量です。肺の老化の進度を調べるのにこの数値が使われます。人間は老化すると瞬発力が衰えますが、肺も同様で、吸うことはできても強くたくさん吐くことができなくなります。喫煙者と非喫煙者では一秒量に5~10歳近い差があると言われ、肺活量をチェックすると肺の年齢がほぼ分かります。COPDは初期には気付きにくいですが、健康診断で肺年齢をチェックする医療機関も増えています。その際、肺年齢が実年齢よりも高いと、COPDの可能性が考えられます。COPDは治療が困難といわれてきましたが、近年吸入薬などの方法によって治療の可能性も高まっています。そのため、諦めずに治療を継続することが大切です。