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オーソモレキュラー、医療サイドで栄養療法を活用

1990年代後半に、代替医療を現代医療に活用しようという潮流がアメリカで起こりました。日本では代替医療や統合医療という言葉が普及し始めて10年以上が経過しますが、近年、日本でも医師や医療従事者の間で、栄養療法を積極的に取り入れる動きが高まっています。今回は医療現場で注目されているオーソモレキュラーという栄養療法についてご紹介します。

海外では1960年代からオーソモレキュラーが話題に 

2014年8月31日(日)、有楽町朝日ホールで、オーソモレキュラー.jpのオープニング記念講演会が開催されました。オーソモレキュラー.jpは、オーソモレキュラー療法を実践する医師や医療従事者を主に構成された組織で、一般社団法人と株式会社からなります。

講演では、溝口 徹氏(新宿溝口クリニック院長)が「栄養療法は、医者と患者の関係を変える!」と題して、オーソモレキュラー療法について解説しました。オーソモレキュラーとは、「Ortho」=「(乱れたところを)整える、直す」、「Molecule」=「分子の濃度」、「Medicine」=「治療法、医療」の組み合わせで、ノーベル平和賞とノーベル化学賞を受賞した、アメリカの故・ライナス・ポーリング博士によって創られた言葉です。ポーリング博士は、ビタミンCが風邪に効果があることや免疫と関わることを最初に提唱した研究者としてよく知られます。ポーリング博士が1968年に科学情報雑誌『サイエンス』にオーソモレキュラーという言葉を初めて使い、以後欧米を中心にオーソモレキュラー療法が普及するようになります。

栄養療法を行う病院は全国に800施設ほど 

溝口氏が栄養療法を始めたきっかけは、重度のアトピー性皮膚炎の患者がなかなか薬物療法では治らなかったことでした。その後、栄養療法を研究するようになり、患者に負担が少なく、薬物療法より効果があることから2004年に栄養療法の専門クリニックを開院しました。アメリカでは、こうした栄養療法が始まった当初、医師はなかなか受け入れませんでした。それは日本も同様で、溝口氏が専門クリニックを開院して10年が経過しますが、現在栄養療法を行える病院は全国に800施設ほどで、1億人を超す日本の総人口から考えると、決して多いとはいえない状況です。

今や医師以上に患者や一般の人が栄養に興味を持ち、多くの情報を持っている時代ですから、ぜひオーソモレキュラーの考えを医師自身が広めてほしいと溝口氏は提唱しています。

医者と患者の関係を変える療法 

オーソモレキュラー療法は、低糖質、高タンパクを基本とし、加えてトランス脂肪酸やリノール酸などの悪い油を減らして良い油を摂ることなどを提唱しています。オーソモレキュラー療法の素晴らしい点は、医者と患者の関係を変えることにあると溝口氏は指摘しています。患者も人任せ、あるいは医師任せではなく、日々の生活を工夫することで症状を改善できる可能性があります。これまでのように「医者にかかって薬をもらえばいい」という安易な治療ではないため、患者も大変で、努力も必要です。しかし、その分自分で自分の体調を改善していくという手応えも得られます。

大リーガーのダルビッシュ投手は「今日の体は昨日までの食事でできている」という言葉を大切にしているそうです。これを逆にいうと、「今日の食事で未来の自分を変えることができる」ということであると溝口氏は述べています。またトーマス・エジソンは「未来の医者は薬を使わないで治療するだろう。患者の食事に注意し、病気の原因を探り、予防するだろう」という言葉を残しているそうです。患者が主体であり、医師や看護師、薬剤師といったヘルスエキスパートの人たちはあくまでアドバイザー、サポーターに徹する。これが医療の理想ではないでしょうか。