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食品の機能で健康寿命を延伸

「健康寿命」という言葉がよく聞かれるようになりました。健康な状態で長生きするということが、これからのテーマになりそうです。今回は、食品の機能と健康寿命の延伸の関係についてご紹介します。

人類は「火食」の技術で繁栄 

日本は超高齢化時代へと突入しつつあります。それに伴い、高齢者の生活の質を向上し、健康に長生きする「健康長寿」の重要性が指摘されています。このような状況を反映して、健康で活き活きと日々暮らすために、食品の機能をどのように有効活用するかということが関心を集めています。

2014年7月9日(水)、東京大学で、公益社団法人日本農芸化学会創立90周年記念 第40回農芸化学「化学と生物」シンポジウムが開催され、この中で、佐藤 隆一郎氏(東京大学大学院農学生命科学研究科)が、「食の機能による健康寿命延伸」と題して講演しました。人類は他の動物と異なり、およそ100万年以上前から食材を加工する「火食」の技術を習得しました。そして、これにより食糧の保存や消化吸収の効率を高めるなどして、地球上で最も繁栄することができました。

平均寿命と健康寿命の差をいかに縮めるか 

加熱調理により人類の脳は大型化し、寿命の延伸がもたらされました。このように、食が寿命の鍵を握ることは明らか、と佐藤氏は指摘しています。例えば、私たち日本人が食する日本食は世界でもトップクラスの平均寿命をもたらしたと高く評価され、世界無形文化遺産にも登録されています。しかし、近年「健康寿命」という言葉が登場し、単に長寿というより、介護を必要としない、健康で自立した生活を継続できることが重要視されるようになってきました。平均寿命と健康寿命の間には約10年の差があります。これを縮めることが、これからの超高齢化社会における重要なテーマと言えるでしょう。

日本の糖尿病ランキングは世界6位、「痩せ型糖尿病」 

この「健康寿命」を伸ばすのに必要なものは、健全な食生活と適度な運動習慣です。ただし日本人の場合、40代になると多くの人が生活習慣病予備軍になり、50代で発症、60代で通院というのが一般的にみられる状況となっています。

そのため、10~30代の間に正しい食生活や運動習慣を身につけることが非常に大切です。また40代以降はあらゆる生活習慣病の予防のために、とにかく「太らない」ことを心がける必要がある、と佐藤氏は述べています。日本人の肥満度は世界的には166位と非常に低く、どちらかというと「痩せ」の国です。しかしその一方で、糖尿病ランキングは6位で、「痩せ型の糖尿病」を招きがちという体質的特徴があります。これは日本人の多くが「倹約遺伝子」を持っているためです。また、日本人は欧米人に比べ、遺伝的にインスリンの分泌能力が低いこともあり、こうした「痩せ型の糖尿病」が急激に増加しています。

日本人の体質に働きかける機能性成分を研究 

そこで現在、佐藤氏の研究チームは日本人の特徴的な体質に効果的に働きかける機能性成分の研究を行っています。また、「健康寿命」を維持するために筋力の維持が不可欠で、そのためには適度な運動習慣が必須ですが、これも加齢とともにおろそかになりがちです。そのため、食品の中に、怠りがちな運動習慣を補填するような機能性成分がないかと、「運動機能性食品成分」についての研究を進めているということです。例えば、ポリフェノール類のような機能性成分は、運動した時と同じような遺伝子の変化が見られると考えられます。

現在、「運動機能性食品成分」として明確に定義できる食品や成分はありませんが、そうした食品成分を見出し、積極的かつ恒常的に摂取することで、骨格筋における遺伝子が発現し、健康寿命の延伸がもたらされる可能性が十分あるということです。