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日本人の長寿を支える和食とは

穀物や大豆などを中心とした日本の伝統的な食生活が、健康や長寿に有効であると海外で評価されています。今回は、日本人の長寿を支える和食についてご紹介します。

ユネスコ無形文化遺産に登録、世界から注目 

和食は日本の伝統的な食文化であり、平成25年12月にユネスコの無形文化遺産の登録を受けて以来、世界から注目を浴びています。それでは、和食の特徴とはどのようなものなのでしょうか。

平成26年4月7日(月)にヤクルトホールで、「第35回 健康づくり提唱のつどい 高血圧予防の健康な食事~美味しい減塩食のすすめ」が開催されました。この中で、中村 丁次氏(公益社団法人 日本栄養士会名誉会長)が、「日本人の長寿を支える健康な食事と和食の魅力」と題して講演しました。 

日本人の健康長寿を支えてきたのは、戦後に生まれた「日本食」 

和食とは、日本の伝統的な食文化のことを指します。和食は一汁三菜を基本に、多様で新鮮な食材が素材そのものの味を尊重して調理されていることから、栄養のバランスが非常に優れていると考えられます。また、食器の絵柄や盛り付けなどで自然の美しさや季節の移ろいを表現したり、食文化が年中行事と深く関わっているなど、自然を尊ぶ日本人の気質に基づいていると言えるでしょう。

しかしながら、伝統的な和食が食生活の中心であった時代、例えば江戸時代は脚気など各種の栄養欠乏症に悩まされ、今より短命であったことも事実です。つまり、伝統的な和食が長寿に貢献してきたと断言するのは難しいと考えられます。そこで中村氏は、私たち現代の日本人の健康長寿を支えてきたのは伝統的な和食ではなく、戦後に生まれた「日本食」ではないかと指摘します。

日本人の健康意識の高さが現在の「日本食」を育んだ 

終戦後、学校教育や給食による栄養教育など食生活に大きな改善と発展が生まれました。従来の和食に欧米の食事を適度に取り入れたことで、それまで日本人に不足していた栄養成分を補うことができました。また、給食が導入されたことで子どもたちの発育が見違えるほど良くなったことも事実です。さらに、食事の内容だけでなく運動や休息、食事の雰囲気や環境を大切にしなければならないという日本人の健康意識の高さと努力が現在の「日本食」を育んだのではないかと考えられます。そこで、あらためて「日本食」というものを定義すると、「和食を基本にして、さまざまな国や地域の食事を取り入れ、日本で独自に進化発展し、日本人に親しまれ一般化した食事」ということになります。

「日本食」は、穀物を中心に多種多様な食材と調理法を組み合わせています。植物性食品、魚介類、海藻類、発酵食品を豊富に含み、乳製品も適度に取り入れています。また、食物繊維が多く脂質が少ないことや、出汁の味付けを基本としていることも特徴として挙げられます。それだけでなく、食事の規則性や食習慣を重んじる姿勢も、「日本食」の長所と言えるでしょう。

厚労省が新たな「健康な食事」の定義を検討 

現在、厚労省は新たな「健康な食事」の定義を検討しています。そこで概ねまとめられている「健康な食事」とは、「それぞれのライフステージ(子供、成人、高齢者)において健康な心身の維持に必要とされる食生活が無理なく持続されている状態」のことです。特徴としては、①栄養バランスとおいしさや楽しみを構成する食材・調理の工夫、さらに食べ方、食の場面への配慮がされている、②「健康な食事」が広く社会に定着するために健康・栄養から食料生産・食文化に至る食をめぐる基本情報が共有されている、③すべての国民が適切な食物に日常的にアクセスできる社会的・経済的・文化的な条件が整っている、というもので、食事とは特定の食品や食べ物ではなく、「食べる状態」のことであると定める方針です。つまり「健康」だけでなく「食べる」「作る」「伝え合う」ことも、食事において重要なエッセンスであると考えられているのです。

戦後、進化を遂げて来た日本食で「健康を輸出」 

そもそも日本人は栄養の話が大好きな民族です。ビタミンCが多く含まれている食品は何ですか?と尋ねると、ほぼすべての人が間違いなく答えられるでしょう。こうした民族は世界的にみても非常に珍しく、日本の長寿の背景には国民全体の健康意識の高さや栄養学への親しみも大きく関係していると考えられます。戦後、こうした国民性を背景に育まれ、進化を遂げて来た「日本食」は非常に完成度が高い「健康な食事」と言えるでしょう。アベノミクスの成長戦略の中でも「健康を輸出する」という大きなテーマが掲げられています。日本が誇るこの食文化を今後も大切に育み、世界と共有できれば素晴らしいことではないでしょうか。