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長寿と発酵食品(2)

プロバイオティクス、宿主に有益な作用をもたらす生きた微生物

アメリカ・バーモント州は米国全土で最も病気に罹る率が低いといわれています。人々は日ごろからシードル(リンゴジュースを発酵させたもの)を飲む習慣があるそうです。さらにここではリンゴ酒を発酵させたアップルビネガーも好んで飲んでいると東京農業大学名誉教授の小泉氏はいいます。

日本では味噌や納豆といった発酵食品を伝統的に摂っています。これにより日本人の長寿体質の基礎が作られたともいわれています。大豆といえば、ジャワ島にも大豆を発酵させた「テンペ」という食品がありますが、やはりこれを摂っている人々はクモ膜下出血や脳溢血が少ないということです。

こうした発酵食品の摂食が長寿や健康維持に貢献しているという事例は世界各地で報告されています。バルカン半島の人々は長寿ですが、その要因がヨーグルトの摂食にあると提唱し、ノーベル生理学・医学賞を受賞した、ロシアのメチニコフ博士の学説はよく知られるところです。

なぜ、こうした発酵という工程を加えた食品が体に良いのでしょうか。それは、発酵食品が「生きている食べ物」だからです。

腸の中にあって、生体に有益な影響をもたらす生菌はプロバイオティクスと呼ばれています。プロバイオティクスとは、「宿主に有益な作用をもたらす生きた微生物」を意味します。発酵食品はそうしたプロバイオティクスを豊富に含んでいるため、腸内環境を改善し、免疫機能を高めることに寄与します。

腸に免疫系の50%以上が集まっている

腸の長さはおよそ7メートルといわれます。そこに免疫系の50%以上が集まっているといわれていますが、プロバイオティクスの摂取により、腸内での悪玉細菌による有害物質の産生が抑制され、感染防止や免疫調節がなされます。

例えば、肉は消化の過程でアミノ酸になります。アミノ酸は腸内で悪玉菌と結びつくと、酸化アミノ酸となり、酸化アミノ酸はニトロ化合物という発ガン性物質を発生させます。

これが大腸ガンになりやすい最大の要因であるといわれますが、ここに乳酸菌のような善玉菌が加わると、悪玉菌を抑制し、アミノ酸の酸化を防ぐことが分かっています。

世界中で人々の健康維持に貢献している発酵食品。その食品を棲家とし、そこで生き続けるさまざまな菌は、人の腸内でさらに発酵を促進させ、菌を増やし生き続けます。これこそがプロバイオティクスの本領であり、発酵食品の最大の魅力であると小泉氏はいいます。

こうしたプロバイオティクスに対し、プレバイオティクスという言葉もありますが、これは腸内細菌を増やす餌となるもので、食物繊維やオリゴ糖などがあります。こうしたプレバイオティクスもやはり腸内細菌叢の改善に欠かせない食品といえます。

腸を強くすることが病気予防の一番の近道

腸内の細菌のほとんどは大腸に棲息しています。その種類と数はおよそ1,000種類以上、100兆個。重量にして1.0~1.5kgにのぼるといわれます。

これらの腸内の共生菌の多くが、私たちの免疫系を維持し、病原細菌の侵入を防ぐなど重要な役割をはたします。しかし、その種類や数のバランスが崩れると免疫に悪影響を及ぼします。

病気の予防や治療のためにも、腸内共生菌のバランスを保つ発酵食品を摂取することは免疫力の維持のためにも非常に重要なことです。

生活習慣病や医療費高騰の問題が叫ばれていますが、まず日本人の腸を強くすることが病気予防や医療費削減対策の一番の近道ではないかと小泉氏はいいます。