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喫煙とメタボリック症候群との関係

前回に続き、今回も喫煙による弊害、喫煙でもたらされる動脈硬化や糖尿病などメタボリック症候群との関係についてご紹介いたします。

喫煙は生活習慣病と深く関係

最近の研究で、喫煙が動脈硬化を促進させることが明らかになっています。動脈硬化はさまざまな重篤な症状(心疾患、脳疾患)を引き起こすため、喫煙者は要注意です。喫煙が人体に有害な理由は幾つもありますが、一番わかりやすい例は血管の収縮による血流障害です。
タバコを吸うと頭がふらっとすることがありますが、これはまさに血流が阻害された時に起こる感覚です。タバコに含まれるニコチンには強力な血管収縮作用があり、血管内腔を狭窄させ血圧を上昇、血流を低下させます。

5月15日(水)、東京ビッグサイトで開催されたifia JAPAN 2013のセミナーで、村松弘康氏(中央内科クリニック 院長)が「喫煙による脂質の酸化変性~タバコとメタボの相乗効果」と題して講演しました。
タバコはガンの最たるリスク因子ですが、実は生活習慣病に深く関係していると村松氏はいいます。タバコの煙に含まれる一酸化炭素は、酸素の200~250倍ヘモグロビンと結合しやすく、全身組織の酸素欠乏状態を促します。これにより血液粘度が高まり、血液がいわゆるドロドロ状態になり、血栓が出来やすくなります。

喫煙は動脈硬化を促進させる

喫煙は、血管壁を傷つけ、血管を硬化させます。さらに活性酸素により酸化変性した脂質は、プラーク形成(血管内に出来るおできのようなもので、血流を阻害する)を促進し動脈硬化を進行させます。また悪玉コレステロール(LDL)の酸化によって生成される酸化LDLも、動脈硬化の発生・進展を促進させる要因となります。酸化LDLは内皮細胞や平滑筋細胞の機能を障害し、傷ついた内皮細胞や平滑筋細胞からは、さらなる活性酸素が産生され、これによりLDLの酸化がさらに亢進するという悪循環が生まれます。

喫煙と糖尿病の関連が明らかに

また、近年は動脈硬化だけでなく、喫煙と糖尿病の関連も明らかになっています。喫煙者はインスリン抵抗性(インスリンに対する組織の応答が低下していること)が認められ、血糖値が下がりにくいということが分かっています。メタボリックシンドローム研究で注目されている物質にアディポネクチンがあります。アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌される善玉ホルモンの一種で、インスリンの作用を助け、血糖値を下げる役目をします。しかし内臓脂肪が増加して脂肪細胞が肥大化すると、アディポネクチンの分泌が減少してしまうため、肥満者は十分なアディポネクチンが分泌されなくなり、血糖値が上昇したままの高血糖状態が続き糖尿病を発症します。

実は、喫煙がこのアディポネクチンに直接的な影響を与えることが明らかになっています。喫煙すると数時間でアディポネクチンの濃度が減少しはじめ、喫煙後6~12時間は低値のままという研究報告が出ています。喫煙者と非喫煙者を比較しても、アディポネクチン濃度に明らかに差があり、試験管内でも脂肪細胞にニコチンを曝露すると、ニコチンの量が多いほどアディポネクチンの分泌が低下することが確認されています。つまり、喫煙しただけでアディポネクチンの濃度が低下し、高血糖状態になりやすいということです。実際に、喫煙が糖尿病の発症を増加させるというデータもあります。

受動喫煙で非喫煙者もメタボリックシンドロームに

喫煙は血圧・糖代謝・脂質代謝に悪影響を及ぼし、メタボリックシンドロームによる合併症を増加させますが、問題は受動喫煙により周囲の非喫煙者もメタボリックシンドロームの合併率が上昇することです。メタボ対策は医療費削減という大目標の重要な課題ですが、それには何より禁煙が効果的です。「いまさら禁煙しても遅いのでは」という質問を松村氏はよく受けるそうですが、心血管病のリスクは禁煙をすると、速やかに減少するといいます。禁煙をしたその日から、血管内皮障害やニコチンによる血管収縮作用がなくなるのですから、何歳からでも禁煙する価値は多いにあるといえます。