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PM2.5、喫煙で吸引

 日本国内の自由喫煙の店舗、ほとんどが100μg/m3超えで危険レベル

大気汚染物質として問題視されているPM2.5は、髪の毛の太さの30分の1ほどの微小粒子です。呼気により肺の奥まで入り込むため、喘息や花粉症、肺ガンなどさまざまな疾病のリスクが高まることが指摘されています。
PM2.5は工場などで化石燃料を大量に燃やすと発生しますが、実は、タバコの煙の中にも多く含まれています。つまり、喫煙者も周囲で副流煙を吸っている人々もPM2.5を知らないうちにかなり取り込んでいることになります。
例えば、北京では、100~500μg/m3のPM2.5が観測され、「緊急事態レベル」とされましたが、日本国内の全面禁煙以外の飲食店では、ほぼ全てが100μg/m3を超えていることが明らかになっています。とくに居酒屋や喫煙室などでは北京の数値にも匹敵するといいます。
ちなみに、日本の厚労省は職場内のPM2.5の許容上限を100μg/m3と定めています。しかし、米国は大変厳しく、環境保護庁のガイドラインでは0~15μg/m3を「良好」、16~40μg/m3を「許容範囲」としています。

「タバコでストレス発散」は単なる思い込み

 2013年4月3日(水)、東京慈恵会医科大学附属病院で、「たばことPM2.5」と題して、医学博士の村松弘康氏が講演しました。
喫煙者は自身のみならず、副流煙に含まれるPM2.5により周囲の人々にも健康被害をもたらすことになります。しかし、現実は、現役の医師ですらタバコを止められない人が少なくないと村松氏はいいます。その理由として、「ストレス発散になる」「タバコでたいしたリスクはない」といった意見が挙がるそうです。この点について、村松氏は次のように指摘しています。

まず、「タバコでストレス発散」ですが、実は、喫煙者はこれを誤解しているといいます。タバコが吸いたくなる時間について喫煙者にアンケートを行ったところ、「起床時」「食後」「仕事後」「酒の席」が多く、ストレス時というよりリラックス時に吸いたくなるケースがほとんどであることが分かりました。つまり、「タバコでストレス発散」というのは、当人がそう思い込んでいるだけで、実は単なる「習慣」であり、ニコチンが切れるとストレスが溜まるという思考回路が出来上がっているにすぎないそうです。

また、「タバコでたいしてリスクがない」については、リスクを過小評価していて非常に危険だといいます。確かにタバコを1箱吸っても、あるいは数年吸ったとしても、すぐに体調の変化が感じられるわけではありません。しかし、例えば脳梗塞や心筋梗塞に罹った場合、それが喫煙による影響かどうかは患者の様態を見ればわかることが多く、喫煙が関係している場合は、その多くが「ぽっくり」ではなく「苦しむ」状態が続く、つまり、寝たきりの介護生活が長期に渡り、最終的には肺炎やインフルエンザで亡くなるケースが多く見受けられると村松氏はいいます。

喫煙、血管を収縮

タバコの問題はPM2.5だけではありません。あらゆるガンのリスクを高めます。発ガン物質は血液に乗って全身を巡ります。乳ガンや大腸ガンなど喫煙とは関係がないと思われる部位であってもタバコが要因となっていることが多く、とくに40~50代で若くしてガンになる場合は、その部位がどこであってもタバコや副流煙の影響が否めないと村松氏はいいます。
喫煙は副流煙にしろ、とにかく血管を収縮させるため、血流が阻害されます。タバコを吸うとクラッとしますが、これは血流が止まった瞬間に起きる感覚です。これにより脳細胞が死滅します。そのため、脳梗塞やくも膜下出血のリスクが高まるだけでなく、認知症のリスクも高まります。
日本人の4大死因はガン、心筋梗塞、脳梗塞、肺炎ですが、これらのすべてのリスクファクターに喫煙があります。また、日本人が寝たきりになる4大疾病は、脳卒中、認知症、老衰、骨折ですが、やはりこれらのリスクファクターも喫煙です。「タバコくらい…」という意見もありますが「タバコだけは絶対にいけない!」と考えてほしいと村松氏はいいます。

「幸せの王国」といわれるブータンはタバコの製造も販売も禁止しているそうです。それでも何ら問題なく経済は成り立っています。ブータン国民は「これが世界の規範になればいい」と考えているそうです。