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ノロウイルス、冬場の食中毒対策

今年7月、腸管出血性大腸菌による食中毒の懸念から牛肝臓の生肉の販売が禁止となりました。夏場は細菌やウイルスが繁殖しやすい時期ですが、冬場もやはり注意が必要です。今回は冬場の食中毒対策についてご紹介いたします。

都だけで毎年100件前後のノロウイルス食中毒

ノロウイルスとは11月から3月の冬場を中心に発生する感染性胃腸炎の原因になるウイルスです。感染力が非常に強く、ごく少量(100個以下)のウイルスでも口から体内に入るといわれています。とくに乳幼児や高齢者は重篤な症状になることがあり、意識的にノロウイルスの感染防止を心がけることが大切で す。

2012年9月19日(水)、東京都庁都民ホールで、「あなたも感染源に~ポイントをおさえて予防しよう!ノロウイルス食中毒」をテーマに第20回「食の安全都民フォーラム」が開催されました。

この中で、「ノロウイルスってどんなもの?」と題して、東京都健康安全研究センター ウイルス研究科の林志直氏がノロウイルスの特性について解説しました。

ノロウイルスによる食中毒はカキなど二枚貝の不十分な加熱調理や感染した人々からの二次感染が原因で発生します。ノロウイルスによる食中毒はサルモネラ菌や腸炎ビブリオ、カンピロバクターといったウイルスに比べ、圧倒的に多いといわれます。

1996年以降、ノロウイルスの特性や主にカキを食したときに発生することなどが明らかになりましたが、東京都だけで毎年100件前後のノロウイルスによる食中毒が報告されていると林氏はいいます。

ノロウイルス、症状は比較的軽い

ノロウイルスは集団感染の事例が少なくありません。2006年、東京の都市型ホテルでの披露宴で、436名がノロウイルスに集団感染したのは記憶に新しいところです。

一般的に、ノロウイルスに感染した場合、症状は比較的軽いといわれます。感染後24~48時間で、嘔吐、発熱、腹痛、下痢などの症状が現れ、早ければ2~3日で回復し、ウイルスそのものは1週間程で便とともに排出されます。

ただし、ノロウイルスは感染力が非常に強いため、とくに保育園、高齢者施設、学校など集団生活を行う場所では、介助や調理作業の際の手洗いの不備などで二次感染が発生し、被害が拡大することが多いといわれます。

近年、人から人への感染が増加

ノロウイルスの感染経路については、便や嘔吐物に含まれるノロウイルスが下水を経て川から海に運ばれ、カキなどの二枚貝の内臓に蓄積され、それを十分に加熱しないで食べて感染するというのがほとんどです。しかし、近年は食品の安全検査が厳しいこともあり、食品からの感染よりも、むしろ「人から人への感染」が増えています。

ノロウイルスは人の体内でしか増殖しません。感染した患者の便や嘔吐物には1グラムあたり100万から10億個ものウイルスが潜んでいるといわれます。そのため、目の前で嘔吐した人がいた場合、周囲の人々は極めて高い確率で感染していることが考えられます。

ノロウイルス対策、マニュアル化が必要

例えば、カキなどの食材を扱う業者がノロウイルスに感染し、それに気づかないまま調理をすると、別の食品が汚染され、それを食べた人が感染するということがあります。

また、幼稚園や高齢者施設で、ノロウイルスに感染した人の便や嘔吐物を不適切に処理し、ウイルスが口から取り込まれて感染するというケースもあります。

そのため集団施設ではノロウイルス対策をマニュアル化する必要があると林氏はいいます。例えば、学校や施設内で嘔吐があり、それを処理する場合は、以下のことが大切です。

  • 汚染場所を特定し、関係者以外は近づかないようにする。窓を開ける。
  • 処理の際は、使い捨ての手袋とマスク、エプロンを着用する。
  • 嘔吐物はペーパータオルで外側から内側に向け、拭き取り面を折り込みながら静かに拭き取る。
  • 使用したペーパータオルはすぐにビニール袋に入れ、封をして処分する(ビニール袋には0.1%次亜鉛酸ナトリウムを入れて消毒)。
  • 嘔吐物が付着した床などは周囲も含めて0.1%次亜鉛酸ナトリウムをしみ込ませたペーパータオルで浸すように拭く。使用したペーパータオルも消毒液を入れたビニール袋に入れ、しっかり封をして処分する。
  • 使用した手袋も同様に処理する。
  • 徹底した手洗いを行う。

ノロウイルス、1分、85℃の加熱で死滅

家庭での対策はやはり二枚貝の調理と調理場の衛生管理です。ノロウイルスについては、生のカキによる感染が多く報告されていますが、実は流通している二枚貝で最も多くノロウイルスが検出されているのがシジミです。しかしシジミを生で食べることはないため食中毒の発生はほとんどありません。生のカキの場合は、家庭に高齢者や乳幼児がいれば、やはり加熱調理をしたほうが無難です。ノロウイルスは熱に弱く、1分、85℃の加熱で死滅すると林氏はいいます。

手洗いは、あらゆる感染防止の基本

家族にノロウイルスによる下痢症状が見られた場合は、湯船の水を毎日変え、浴槽、床、洗面器、椅子を清潔にし、タオルやバスタオルを共有しないことなどを徹底することが大切です。

また、調理では、調理器具、シンク、ふきん、スポンジなども熱湯で1分以上消毒するか、0.02%の次亜塩素酸ナトリウムで消毒すると感染の防止になります。

手洗いはノロウイルスだけではなく、あらゆる感染防止の基本となります。石鹸で30秒を目安にしたこすり洗いと、流水による十分なすすぎが有効です。ノロウイルスの感染防止のために、家庭でできることが多いため日頃から気をつけてほしいと林氏はまとめました。