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健康寿命の延長、「喫煙」から

今年5月31日は世界禁煙デーで、その後1週間が禁煙週間でした。男性は肺ガンがガン死亡のトップですが、喫煙がその最大要因とされています。今回は健康寿命とも深く関わる「喫煙の弊害」について取り上げます。

日本人の健康寿命、平均寿命ともに世界でトップ

今年6月、厚生労働省研究班が日本人の2010年の健康寿命を発表しました。それによると、男性が70.42歳、女性が73.62歳で、9年前のデータと比べると約1年延びたといいます。

健康寿命とは2000年にWHO(世界保健機構)が提唱した概念で、「日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間」のことです。ちなみに、WHOのデータでは、(健康寿命の定義の違いにより数値が異なりますが)2010年の日本人の健康寿命は男性73歳、女性78歳、全体では76歳で、世界一であるといいます。

いつまでも健康でいたい、というのが万人の願いですが、やはり加齢に伴い、さまざまな疾患で要介護ということも避けられません。日本人は平均寿命でも世界一ですが、日本人の男女の平均寿命の83歳から健康寿命の76歳を引くと7歳、これがいわゆる要介護の年数ということになります。この期間をできるだけ 短くしたいもので、それにはやはり、健康寿命を延ばすライフスタイルを日頃から心がけることが大切です。

厚労省で健康寿命を延ばすプロジェクト「Smart Life Project」が始動

以前にもこのコーナーで取り上げましたが、2011年2月に、厚生労働省で、健康寿命を延ばすためのプロジェクト「Smart Life Project(スマート ライフ プロジェクト)」を立ち上げました。

この中で、健康寿命を延ばすためにはまず「生活習慣の改善」が大切であるとし、3つのアクションを提案しました。すなわち、Smart Walk「適度な運動」、Smart Eat「適切な食生活」、Smart Breath「禁煙」です。

その後、東日本大震災の発生で、国民の関心が放射能へと向かい、プロジェクトの始動もスムーズにはいきませんでしたが、2011年9月以降、東京、千葉、福岡、広島などで「Smart Life Projectフェア」を開催、本格的にPR活動に乗り出しました。

「ガン対策推進基本計画」、2022年に喫煙率を12%へと削減

今回は「Smart Life Project」で提案している「禁煙」について取り上げます。
毎年5月31日が世界禁煙デーで、その後1週間が禁煙週間となります。6月2日には津田ホール(東京都渋谷区)で、「2012年世界禁煙デー記念シンポジウム」が開催されました。

今年は「命を守る政策を!」が禁煙週間のテーマとして掲げられ、とくに、「未成年者の喫煙をなくす」、「受動喫煙による健康被害を防ぐ」が啓発の優先事項として挙げられました。

シンポジウムでは、厚生労働大臣の小宮山氏が、日本では毎年約12万人が喫煙が原因で亡くなっているとし、2013年からの第2次「健康日本21」の中に、成人の喫煙率の低下や受動喫煙の防止に関する具体的な数値目標を設定したいとしました。

2010年の調査では、日本人の喫煙率は男性32.2%、女性8.4%、平均で19.5%ですが、「ガン対策推進基本計画」の中に、2022年には12%に削減するという数値目標を盛り込む予定といいます。

タバコの煙に約4000種類の化学物質、約40~50種類の発ガン物質

喫煙の弊害については、すでに周知ですが、男性のガン死原因のトップは肺ガンで、1993年以降、胃ガンを抜き第1位になっていいます。女性は大腸ガンに次いで肺ガンが第2位です。

厚生労働省研究班の研究によると、40-79歳の男女約29万7千人の喫煙習慣を調査したところ、喫煙者の疾患死亡リスクは、男性では肺ガン、喉頭ガン、消化性潰瘍、くも膜下出血などでした。また、女性では、肺ガン、慢性閉塞性肺疾患、心筋梗塞、子宮頸ガンなどでした。

タバコの煙には約4000種類の化学物質が含まれ、そのうちの約200種類以上が有害物質、約40~50種類が発ガン物質といわれています。有害物質の中で最も毒性が強いのがニコチンです。成人の致死量は約40mgで、タバコ2~3本に含まれる分量であるといわれています。

ニコチンは血管を収縮させるため、血流が悪くなり、心疾患や脳疾患を招く原因となります。また、中枢神経や末梢神経のアセチルコリン受容体に作用して、ドーパミンの分泌を促し、神経細胞を興奮させます。タバコへの強い依存性はこのドーパミンがもたらす快感によるものです。

妊婦の喫煙、子どもの注意欠陥・多動性障害(ADHD)の発症原因に

また、妊婦の場合、タバコのニコチンが胎児の脳神経系に作用し、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の発症原因の一つになると考えられています。

ニコチンはすぐに分解され、羊水でのニコチン濃度は血中濃度の約1.5倍高くなります。また、胎児の脳内のニコチン濃度は母親の血液中に比べて2.5倍高いことも報告されています。つまり、ニコチンの有害作用は母親よりも子どもの方が深刻で、妊娠中に喫煙した母親から生まれた子どもはADHDやうつ病、薬物依存症の発症率が高いことが指摘されています。

また、妊婦と喫煙の関係で近年問題になっているのが低出生体重児の増加です。低出生体重児とは、いわゆる未熟児、2,500gに満たない新生児をいいます。日本では、赤ちゃんの出生時の平均体重が年々減少傾向にあり、現在10人に1人の割合で低出生体重児が生まれているといわれています。これには、妊娠適齢期の女性の過度なダイエットや喫煙が関係していると考えられています。

ともあれ、健康寿命を延ばすためにはまず「禁煙」、喫煙による疾患リスクの軽減を日頃から心がけることが大切です。