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免疫力を高める、「笑い」の効用

「笑い」がストレスを解消し、病気を遠ざけることがさまざまな研究で明らかになりつつあります。生活習慣病の予防に「笑い」は大いに役立ちしそうです。今回は、「笑い」と免疫力の関係をご紹介します。

ユーモアや笑いが「生きる力」を与える

2010年に起きた、チリのサンホセ鉱山落盤事故。その救出劇は、今もなお感動的な出来事として世界中の人々の記憶に残っていることでしょう。33名の鉱山作業員が地下700メートルの避難所に閉じ込められ、17日間連絡が途絶えたものの、その後無事であることが確認され、事故から69日後に全員が救出されました。

後日、作業員のチームリーダーが朝日新聞のインタビューに対し、過酷な状況の中、生き抜いた理由について、「希望があったこと、楽観的であり続けたこと、そしてユーモアを忘れなかったこと」と答えました。このことは、ユーモアや「笑い」がいかに、「ヒトの生きる力」と密接に関わるかを物語っています。

赤ちゃんは大人の「笑い」を真似て育つ

2011年11月13日(日)、有楽町朝日ホールで、第32回朝日健康ゼミナール「笑いは元気の元!~笑いで健康づくり~」が開催され、大平哲也氏(大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学准教授)が笑いと健康の関係について最新の研究成果を報告しました。

米国で行われた調査では、大人は1日に平均17回笑うと報告されています。「笑い」といっても、単に笑顔になるだけでなく、「ハ、ハ、ハ」と声を発する「笑い」もあります。ほとんどの動物は笑顔ができますが、ヒト以外では知能の発達した猿以外、笑い声を発することができません。笑うことは、脳にとって非常に高度な作業であると大平氏はいいます。

人間の赤ちゃんには「天使の笑顔」といわれるような、寝入りばなに見せる笑顔があります。赤ちゃんをあやす時は、笑顔で接したり、褒めたりしないと、笑わない子どもに育ってしまいます。赤ちゃんは大人に笑顔を褒められることで、笑顔と「笑い」を学習していくのです。

年齢とともにストレスが増し、笑えなくなる

「笑い」に関する様々なデータが報告されています。「声を出してよく笑う」を性別でみると、男性40%、女性60%で、女性のほうがよく笑うことが分かっています。

世代別ではどうでしょうか。「よく笑う」は30代が65%、40代が50%、50代が45%です。やはり年齢が若いほうがよく笑うようです。ある調査報告によると、小学生は1日に平均300回笑うが、70代では1日に2回程度しか笑わないと報告されています。

なぜ年齢を重ねるにつれて笑わなくなるのか。これについては、ストレス説が有力です。年齢とともにストレスが増え、笑えなくなるということです。ただ、先の調査では、人生で最もストレスが多いのが30代、40代ですが、60代、70代のほうが「笑い」の回数が少ないことから、ストレス以外の要因も大きいのではないかとの見方もあります。

つまり、脳機能が「笑い」と密接に関係しているのではないか、ということです。ただ、「笑い」により脳機能が高まるのか、脳の認識機能が高いことから「笑い」が促されるのか、どちらが一体先なのかということは、今のところまだよく分かっていません。

「笑いの頻度と1年後の認知機能との関連」について調査したところ「ほぼ毎日笑う人」と「ほとんど笑わない人」では、後者のほうが1年後の認知機能の低下が大きいという調査結果が出ています。しかしこれも、「笑わなければ認知症になりやすい」ということまでは断言できないと大平氏はいいます。

「笑い」でNK細胞が活性化

旧約聖書には「笑いが病を治す」と記されています。笑うと痛みが軽減することは古くから経験的に知られていました。近年、このことについての報告も数多く出ています。

リウマチ患者と「笑い」の関係についての調査がありますが、リウマチ患者の集団に40分間リウマチに関する講義を聞いてもらった後と、同じ集団に40分間落語を聞いてもらった後で、それぞれ唾液検査を行ったところ、前者は、免疫を制御するインターロイキン6やコルチゾールなどのストレスホルモンの増加が見られたが、後者はそれらが減少し、減少量は鎮痛剤の1週間分に相当したことが分かったということが報告されています。

また、「がんと笑い」についての研究も進んでいます。笑うことでNK細胞が活性化し、進行の遅延や痛みが軽減することが報告されています。

1日100回の「笑い」、15分間のエアロバイクと同等の運動

1日100回笑うと15分間のエアロバイクをしたのと同等の運動効果があることが分かっています。1日15分笑うと40kcalの消費になります。これを毎日続けると、1年で2キロの脂肪が減る計算になります。

また、「微笑み」や「笑顔」は脳をリラックスさせますが、意識的に声を出して笑うほうが脳だけでなく全身に与える運動効果が高いといえます。

さらに、それが心からの「笑い」でなくても、心身に与える影響には大差ないことも分かっています。例えば、笑いながらと万歳すると、たとえ気持ちが沈んでいても体は「万歳する=嬉しいことがあった」と記憶しているため、瞬時に体に良い影響を与えることになります。
「笑い」は、ストレスを解消し、生活習慣病を予防し、病気を遠ざける「良薬」といえそうです。