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健康に良い「睡眠のとり方」

節電の夏。寝苦しい日々を過ごしていませんか。睡眠不足は仕事で思わぬミスを招きがちです。また、生活習慣病を引き起こす要因にもなります。ただ、睡眠は多くとればいいというわけでもありません。睡眠の質を高めることが大切です。今回は、健康に良い「睡眠のとり方」をご紹介します。

睡眠に至るメカニズム、体温と密接に関係

日本では、成人の4~5人に1人が何らかの睡眠障害で悩んでいるといわれています。たかが睡眠と侮ると、後で大きなツケを払わされることになるかも知れません。睡眠不足がうつ病や肥満、糖尿病を招くことも報告されています。

日中の仕事や運動でくたくたに疲れると、脳や身体は休息や睡眠を欲します。特に脳には睡眠が欠かせません。

仕事や運動で脳や筋肉の代謝が高まると体温が上昇します。体温は夕方近くに最も高くなりますが、上がった体温を下げるよう、脳が指令を出し、睡眠が誘導されます。反対に、目覚める時は下がっていた体温が次第に上昇していきます。
体温は夜10時頃から低下し始め、午前4時頃に最も低くなり、その後上昇し始め、目覚めへと向かうというのが一般的なパターンです。

1日6~7時間の睡眠が最も死亡率が低い

睡眠はとり過ぎても、頭がぼんやりとして、仕事に支障をきたすことがあります。睡眠はただ多くとればいいというものではないようです。実は、睡眠時間と長寿との関係が明らかになりつつあります。

米国カリフォルニア大学サンディエゴ校と日本の対がん協会が110万人(調査開始時30-104歳)を対象に、6年間にわたり睡眠調査を行いました。調査では年齢、食生活や運動、過去の病歴などを考慮に死亡率を算出。その結果、1日6~7時間眠る人が最も死亡率が低いことが分かりました。

一般的に8時間の睡眠が健康に良いといわれていましたが、この調査では、8時間の睡眠の人は、5時間の睡眠の人と比べて死亡率が高いことも分かりました。

また、名古屋大学医学部でも、北海道から九州までの全国45地区、11万人を対象に睡眠調査(1988年-1999年)を行っていますが、男女とも7時間の睡眠の人が最も死亡率が低いことが分かりました。

これらは統計的な解析ですが、どうやら健康や長寿には7時間の睡眠が最適といえそうです。

午前0時~午前6時、睡眠の質が高まる

7時間睡眠が良いことが分かりましたが、「睡眠の質」にも配慮することが大切です。7時間睡眠をどんな時間帯にとればいいかということです。

それには、メラトニンという睡眠を促すホルモンの働きを知ることが必要です。メラトニンは夕方から増え始め、深夜に最も多く分泌されます。

メラトニンは体温を下げ、睡眠を誘います。逆に、目覚める時は、コルチゾールというホルモンが多く分泌されます。メラトニンは午前0時頃、コルチゾールは午前6時頃に分泌が盛んになりますから、この時間帯に睡眠をとるのが理想的といえます。

メラトニンは時差ボケ解消など睡眠コントロールに欠かせないホルモンで、アミノ酸の一つであるトリプトファンが原料になります。トリプトファンは体内で合成できないため、食事で摂る必要があります。トリプトファンは魚、肉、鶏卵、納豆、乳製品、大豆などに多く含まれています。

昼寝は昼食後~午後3時頃までに30分未満で

適正な睡眠時間と睡眠の質を高める時間帯。これが分かっても、肝心の寝つきが悪いようではいけません。

では、どのようなものが寝つきを妨げるのでしょうか。
よく挙げられるのが昼寝です。昼食後、午後2時~午後4時が最も眠気の高まる時間帯です。短時間の昼寝は身体に活力を与え、仕事の能率を高めますから、むしろ積極的にとりたいものですが、夜の睡眠の妨げになるようではいけません。昼食後から午後3時までの30分未満の昼寝であれば、夜の睡眠の質の低下を招かないという報告も出ています。

夜遅い食事も寝つきを悪くする原因となります。眠気を誘うために体温を下げることが必要ですが、胃や腸などの消化活動で、体内深部の体温が上昇しますから、就寝の3時間前には食事をとらないほうがいいでしょう。

夜のコーヒーの多飲も避けたいものです。私たちは疲れると脳内に睡眠物質と呼ばれる疲労物質がたまり、これが睡眠中枢に作用して眠気が起きますが、コーヒーに含まれるカフェインは疲労物質の睡眠中枢への働きかけを妨げ、眠気を遠ざけます。

アルコール、交感神経が高まり快眠を妨げる

アルコールはどうでしょうか。寝酒と称してたしなむ人もいます。アルコールには体温を下げる働きがありますので、アルコールを飲んだ直後は眠くなります。しかし3時間ほどして、肝臓の代謝でアルデヒドに変わると、交感神経が高まって、体温が上がり、かえって眠りを妨げることにもなりかねません。

寝つきをよくするには、リラックスできる音楽を聴いたり、温めのお風呂に浸かったり、マッサージで筋肉をほぐしたりすることもいいでしょう。呼吸法やイメージトレーニングで眠気を誘うという方法もあります。また、アロマテラピーの香りやツボの刺激も効果的です。

健康に良い「睡眠のとり方」で、体調を整え、暑い夏を乗り越えましょう。