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森林浴効果の研究進む

前回、ウォーキングの効用をご紹介しましたが、今回はとくに緑の多い森林の中をゆったりと散策する森林浴の効果についてご紹介します。森の香り成分のフィトンチッドやマイナスイオンの作用でNK細胞が活性化し、免疫力が高まることが最近の研究でも明らかになっています。

フィトンチッドやマイナスイオンが疲れた現代人を癒す

森の中を散策するとなぜか気分がリフレッシュします。樹々の緑の揺らぎは、現代人の酷使しがちな目の緊張をやわらげます。深呼吸すると、体中に新鮮な酸素が行きわたり、爽快感が得られます。

森林浴の効用としてよく知られるのがフィトンチッドの効果です。フィトンチッドは樹木が自らを外敵から守るために発する香りの成分で、主な成分はテルペン類と呼ばれる有機化合物です。

フィトンチッドは揮発性が高く、抗菌、消臭、防虫などの効果があるとされていますが、特に私たちが体感するのが、爽やかさです。

森の中には悪臭の原因となる枯れ木や落ち葉、動物の死骸などがあります。しかし、新鮮な空気を辺り一面に感じるのもフィトンチッドの作用によるもので、フィトンチッドの消臭・脱臭効果は人の免疫系にも何らかの影響を与えているのではないかと考えられています。

医療分野で森林セラピーを導入

森の中に多く発生するマイナスイオン、目や脳にやすらぎを与える緑の色彩、柔らかな日の光、小鳥のさえずりや小川のせせらぎ、そうした環境から得られる健康の相乗効果について、医療分野でも研究が進められています。

2011年6月5日(日)、東京国際フォーラムで、「第60回 日本医学検査学会 東日本大震災復興支援市民公開講座」が開催され、地方独立行政法人 長野県立病院機構長野県立木曽病院の久米田茂喜院長が「森林セラピー」についての最新の研究成果を報告しました。

森林セラピーとは森林浴で得られる癒し効果を、医療やリハビリテーション、カウンセリングなどに活用する療法で、リラクゼーションやNK細胞の活性化による免疫力の向上などの効果が立証されています。

近年、森林浴が生活習慣病の予防や改善につながることが医学的にも解明され、海外でも森林浴療養を保健診療で認める国もあります。日本では、現在森林セラピーの施設が44カ所あり、森林をより有効に活用しようという気運が高まりつつある、と久米田院長はいいます。

2泊3日の森林浴滞在で、NK細胞の活性が確認

長野県立木曽病院でも2006年より森林セラピーを導入しています。赤沢自然休養林が森林セラピー施設として認定された事がきっかけで、「森林セラピーの医学的な効果の検証」と「地域活性を目指した森林セラピーサポート」の研究プロジェクトをスタートさせました。

同年、木曽病院では都会の疲労度の高いサラリーマンに、2泊3日の森林セラピーの実験を行いました。その結果、被験者全員のNK細胞の活性が高くなり、都会に戻った1週間後、さらに1ヶ月後も高い値を維持していたことが分かりました。

また森林浴後に、数名の被験者に3種類のがん抑制タンパク質が増加したことも明らかになっています。こうした効果は、都市部を同時期に同時間散歩するという実験での被験者からは見られなかった現象であるといいます。この他にも、森林浴を体験したグループのほうが、唾液中のアミラーゼ値(消化酵素)が有意に高かったことも報告されています。

森林浴を気軽に楽しみながら生活習慣病を予防

現在、木曽病院では滞在型の「森林セラピードッグ」を行っているといいます。これは初日に患者さんの体調を診断し、地域の森林ガイドが患者さんと森林コースを散策するというもので、いわば医療機関と地域が連携した健康増進のための処方箋です。平成19年に開始し、毎年20名前後の利用者がいるといいま す。

木曽病院では、森林セラピーの導入で、ストレス減少によるメンタルヘルスの改善や免疫機能の向上などを確認しています。気軽に楽しみながら生活習慣病を予防する。そんな現代人の癒しのツールとして森林浴は今後ますます注目されそうです。