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免疫が機能するために欠かせない要素

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「血が足りない」後編

前回の記事では、「血が足りない」状態および「寝不足による造血能の低下」と理想的な就寝時間について紹介しました。今回は、理想的な就寝時間と起床時間について、身体のしくみに沿った解説をしていきます。

「遅くとも日付が変わる前までに就寝」するのが理想的な理由は、寝ている間に新陳代謝を促す成長ホルモンと覚醒ホルモンであるコルチゾールの効果が最大限に発揮されるようにするためです。

成長ホルモンの分泌は、就寝後2~3時間に最大量になりますが、高血糖状態だと分泌は抑制されてしまいます。ですので、食事は就寝2~3時間前までに済ませるようにしましょう。一方で覚醒、つまり朝の目覚めを助けるコルチゾール(副腎から分泌されるホルモンの一種)は、日付が変わる頃から分泌が高まり、午前8時ごろ最大量に達します。このホルモンは、睡眠中に脂肪を燃焼させ、血糖を上げる働きもあるため、日付が変わってからの就寝になってしまうと、コルチゾールの分泌による高血糖状態が成長ホルモンの分泌を抑制してしまい、代謝が落ちてしまいます。

なお、覚醒を助けるコルチゾールの分泌のしかたを考慮すると、「朝は6~8時ごろに起きて朝日を浴びる」という習慣を身に付けるのが良さそうですね。

実は、この記事に関することで、ふと気付いたことがあります。それは、真実を導き出すためには、最低でもふたつ以上の方向や角度から物事を検証するのが科学的なはずなのに、「〇〇だから△△だ」という1対1の因果関係からしか結論を導き出していない情報が雑誌やテレビ、インターネット等で溢れかえってしまっている現状です。

確かに、「〇〇だから△△だ」というのはシンプルで理解しやすいですし、その情報のひとつひとつは概して正しいことが多いようです。ですが、人の身体は様々な要素が絡み合って成り立っているため、ひとつの情報だけで結論付けられる代物ではないと思います。現に、先ほど述べましたとおり、「成長ホルモンの分泌は就寝後2~3時間に最大量になる」という情報そのものは正しいでしょう。だからといって、この情報のみを用いて、「いつ寝ても成長ホルモンは出るから、夜遅くに寝ても睡眠時間が確保されてさえいれば問題ない」と結論付けてしまうのは、いかがなものでしょうか。もし、こういう結論を出してしまう人がコルチゾールとの関連、つまり「コルチゾール分泌による成長ホルモン分泌抑制の可能性」について知ったら、きっと大いに反省するでしょう。

【参考文献:血流がすべて解決する/堀江昭佳・著】

プロフィール
野口 勇人(のぐち はやと) 氏

野口基礎医療クリニック 院長
内科医・産業医

野口 勇人(のぐち はやと)

2003年に日本大学医学部を卒業。研修医時代にオーストラリアの薬物リハビリテーション施設へ留学。そこで病の真の原因と免疫、栄養の大切さを学ぶ。帰国後、首都圏内の民間病院・クリニックで総合的かつ根本的なケアに関する医療に従事する傍ら、予防医学やセルフ・ケアをテーマとした各種講演活動および動画出演、特別養護老人ホームの産業医活動、被災地ボランティア活動等を展開している。

バックナンバー

免疫が機能するために欠かせない要素

・掲載5 「血が足りない」後編

・掲載4 「血が足りない」前編

・掲載3 「血がつくれない」後編

・掲載2 「血がつくれない」前編

・掲載1 血流が悪くなる本当の理由

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