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光岡博士の乳酸菌のはなしシリーズ

掲載6

ケフィアに含まれるバイオジェニックス―ケフィラン

ケフィアの医学的効果 

ケフィアは世界を代表する長寿地域のコーカサス地方で飲まれてきた発酵乳で、数百年前から病院やサナトリウムの療養所で使われ、特に胃腸病、代謝病(糖尿病)、高血圧、心臓病、アレルギーなどの患者の食事療法として有効に利用されているほか、肥満患者の療法としても活用されています。

ケフィア粒がケフィアの種菌 

ケフィアをつくるうえで特徴的なのはなんといってもケフィア粒を利用して発酵させるということです。ケフィア粒は直径0.5ミリから3センチほどの大きさの、乳白色をした弾力性のある不整形の粒で、形はカリフラワーに似ています。これは複数の乳酸菌と酵母が一体となった混合菌塊です。このケフィア粒に、10~20倍量の牛乳を注ぎ、室温(20~25℃前後が望ましい)で12~48時間(通常24時間)培養し、発酵させます。ケフィア粒は複数の乳酸菌と酵母から構成されているため、他の発酵乳とは違い、乳酸発酵とアルコール発酵を同時に行うのです。こうしてできあがった凝乳をザルでこし、得られたものがケフィアです。

ケフィア粒の微生物 

ケフィア粒に含まれる微生物は、大別すると、乳酸球菌、乳酸桿菌、酢酸菌、酵母の4種類になります。これをさらに細かく分けると、乳酸球菌と乳酸桿菌には、それぞれ数種類のホモ発酵型菌(主に乳酸だけをつくる)と、ヘテロ発酵型菌(乳酸のほかに酢酸や炭酸ガスをつくる)があり、酢酸菌は2種類以上、酵母は数種類以上が検出されますので、ケフィア粒は30種類を超える微生物の複雑な集合体です。このケフィア粒の微生物叢を構成する菌の種類や割合などは、産地によって微妙な違いが認められています。ケフィア粒は、牛乳の中で発酵を進めながら増殖し、しだいに大きくなり、株分かれしていき、大きく育ったものはカリフラワーほどにもなります。

ケフィラン 

一般に乳酸菌のようなグラム陽性菌の菌体細胞壁にはそれぞれ特別な多糖類ペプチドグリカンがあり、それが免疫や生理活性に関係しているバイオジェニックスの一種です。ケフィア粒の構成成分は糖質57%、たんぱく質35%、脂質2%、灰分6%で、一般の菌体成分と比較すると糖質の含量が非常に多いのです。これは、ケフィア粒では、粘性の多糖類を多量に生成するためです。ケフィランはケフィア粒のまわりのネバネバの莢膜性多糖のことです(図)。ケフィラン生成菌は、最初ラクトバチルス・ケフィール(L. kefir)であると考えられていましたが、この乳酸桿菌はケフィランをそれほど多くつくりません。1986年、東北大学の足立達、伊東倣敏、戸羽隆宏らの研究グループは、ワイン含有ホエイ培地を開発し、デンマーク・ハンセン社のケフィア粒からケフィランを多量につくる乳酸桿菌の分離に成功し、ラクトバチルス・ケフィラノファシエンス(L. kefiranofaciens)と命名しました。この研究のおかげで、.ケフィラノファシエンスを用いてケフィランを高収率で製造できるようになったのです。

光岡先生スライド⑥

プロフィール
光岡 知足 (みつおか ともたり) 氏

東京大学 名誉教授

光岡 知足(みつおか ともたり)

東京大学農学部獣医学科卒業。同大学院博士課程修了。農学博士。理化学研究所主任研究員、東京大学教授、日本獣医畜産大学教授、日本ビフィズス菌センター理事長を歴任。

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