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赤ワインポリフェノールで健康と疾病予防

ポリフェノールは様々な食品、特に緑茶に含まれています。赤ブドウに含まれるポリフェノールの効果は、その健康や長寿に対する有益な効果について、盛んに研究されています。1970年代以来、ワインを毎日適度に飲用することによって、心血管疾患を減らすための保護効果が得られることが、科学的研究によって明らかにされています。ワインに含まれるポリフェノールは、その抗酸化作用で知られており、タンニン、ポリフェノール、アルコールとの微妙な相互作用によって、様々な方法で作用して心臓発作や脳卒中を防ぎます。フランスの心臓学者であるJean-Paul Broustet博士によると、冠動脈の健康へのリスクを推定で24.7%減少させることができます。適量のアルコール摂取によって、保護性の高密度リポタンパク質(LDLコレステロール)のレベルが上がります。ワインには、血栓防止作用や抗炎症作用があります。ワインは血液の循環を最適化する一酸化窒素の産生を促進し、有益な抗酸化作用もあります。

栄養と健康についての有名なフラミンガム研究によると、アルコール節制は冠動脈疾患の危険因子にもなります。この結論は、多くの研究によって支持されています。しかし、これは重要なことですが、アルコールを多く摂取すればよいと結論づけてはいけません。一日にアルコール約20gを摂取する人は、全く摂取しない人よりも冠動脈疾患のリスクが20%低いのですが、一方で72g/日を超えると、摂取しない人よりもリスクが高くなります。この効果は多岐にわたるメカニズムによって生み出されますが、脂質プロファイルの変化、凝固の変化、血管拡張(動脈狭窄、もしくは拡大)、遺伝子活動、炎症とグルコース代謝などが挙げられます。さらに、ワインは他のアルコール飲料よりも効果的であることが複数の研究で示されています。赤ワインのポリフェノールには、抗酸化作用だけでなく、広範囲に及ぶ効果があります。ポリフェノールを豊富に含む食品は、およそ500におよぶ遺伝子に影響を及ぼしますが、これらは心血管機能の多岐にわたる側面の調整に関与しています。動脈硬化病変の発症も減らすことができます。

レスベラトロールは、強力な抗酸化作用と抗炎症作用を持つポリフェノールです。 レスベラトロールが心血管の健康に与える効果は広く宣伝されていますが、動脈硬化関連疾患患者を対象とした臨床試験については、わずか数件しかありません。International Heart Journalに発表された研究によると、日本の研究者が、レスベラトロールによってII型糖尿病患者における動脈の柔軟性が改善し、酸化損傷が低減したことを明らかにしました。この研究は50人のII型糖尿病患者を対象とし、すべての参加者は12週間にわたって100mgのレスベラトロールを含む栄養補助食品、もしくはプラセボ錠のいずれかを摂取しました。研究者は、体重、包括的な代謝検査、ヘモグロビンA1c(HbA1c、長時間にわたる血糖値調節マーカー)、コレステロールおよび血中脂質、酸化ストレスマーカー、血圧、および動脈硬化検査(CAVI)を評価しました。CAVIの上昇は、心血管疾患、脳卒中、血管機能障害と関連しており、すでに顕著になっているリスク要因から独立した、将来の心血管イベントの予測因子です。すべての患者は、同じ食事を摂り、同じ運動ルーチンを実施しました。12週間後、CAVIと収縮期血圧はレスベラトロール群において、プラセボ群と比較して有意に低下しました。

レスベラトロールと他のポリフェノールにも、糖尿病患者の血糖値の調節に役立つという利点があると考えられます。9件の無作為化比較対照試験のシステマティックレビューでは、レスベラトロールは少なくとも100 mg/日の投与量で、II型糖尿病患者の空腹時血糖値を有意に低下させました。また、レスベラトロールは血圧、空腹時インスリン値とインスリン抵抗性指数(HOMA-IR)も低下させました。HOMA-IRは、インスリンを分泌する膵β細胞の機能とインスリン抵抗性を評価する方法です。この研究では、International Heart Journalに掲載された先行研究で空腹時血糖値を低下させることを明らかにした研究と同じように、100mgの投与量を設定しました。レスベラトロールは、様々な作用機序によって、糖尿病患者に利益をもたらすことができます。一酸化窒素の可用性を高めることによって、血管拡張が容易になります。一酸化窒素は、動脈血の組織への利用を可能にする重要な要素です。

フランスの腫瘍学者、Henri Joyeux博士は、定期的な適量のワインの摂取によって、一部の特定の癌の罹患率を低下させられることを発見しました。赤ワインには、骨粗しょう症の予防に役立つ、同化しやすい形質のカルシウムが含まれています。レスベラトロールによって、乳がん患者全体の半数以上に見られる変異タンパク質の凝集を阻止する方法を示した研究もあります。脳の老化を遅延させ、認知症患者の脳の炎症を抑制し、がんを予防することは、レスベラトロールに期待される健康効果の一部にすぎません。カナダの研究者達は、レスベラトロールの使用によって、神経細胞死を予防できることを明らかにしました。中国の研究者達は、化学的に誘発したパーキンソン病の実験動物の症状を、レスベラトロールで改善できることを証明しています。その効果は少なくとも部分的にはレスベラトロールの抗炎症作用によるものでした。

レスベラトロールは、運動の効果を高めることができます。主任研究員Jason Dyck氏は、アルバータ大学(カナダ)の医歯学部で小児医学と薬理学分野の研究に従事していましたが、彼の研究チームは臨床検査で高用量のレスベラ トロールによって、臨床モデルの身体機能、心機能、筋肉強度が改善されることを明らかにしました。Dyck氏によると、人々が激しい運動をしている時でなくても、運動に似た効果が得られました。Dyck氏は、「我々は、レスベラトロールによって集中的な持久力トレーニングの場合と同じ結果が得られることを発見し、興奮しました。我々はレスベラトロールの持つ可能性を見出し、『ピルによる運動能力の改善』を特定できたと考えました。」

チームの最新の研究成果は、2017 年 4 月にAmerican Journal of Physiologyの査読論文で出版されました。 レスベラトロール投与は、腸内細菌叢の変化、骨格筋のインスリン感受性、全身グルコースのより多くの利用、基礎代謝率の上昇への転換と関連していました。この研究が示していることは、レスベラ トロールによって、心不全患者のような運動能力が制限されている人々にとって、運動の効果を最大限活用するために役立ちますが、ただし、これはジムの代わりになるわけではないということです。アルコールを摂取しない人達は、レスベラトロールのような赤ワインのポリフェノールは、赤ブドウの皮から抽出したブドウジュース、ブルーベリー、クランベリー、ピーナッツ、ココアからも摂取することができます。

プロフィール
Dan Kenner, Ph.D., L.Ac.

Acupuncture and Integrative Medical College
(AIMC Berkeley)

Dan Kenner, Ph.D., L.Ac.

1979年に明治東洋医学院専門学校(日本)を卒業後に鍼灸師の国家試験に合格。大阪医科大学ペインクリニックおよび近畿大学医学部付属病院で研修を受ける。National University of Naturopathic Medical Sciences(米国)で自然療法医療科学(ナチュロパシー)のPh.D.を取得。現在、NHF(米国国民保険連合)およびBarkeley鍼灸統合医療専門職大学院(米国)において委員を務め、多くの著書がある。

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