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酵素のはたらき

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ストレスと免疫

身体に対するストレスの影響は、1930年代から科学的に研究されてきました。緊急事態に備えた、ホルモンのカスケードによる内分泌系に対する影響はよく知られています。副腎からのアドレナリンとノルアドレナリンの分泌は、ストレスに対する反応として最もよく知られており、「闘争・逃走反応」を引き起こします。別の副腎ホルモンであるコルチゾールは「ストレスホルモン」とも呼ばれます。ストレスが続くと、健康を脅かすことになります。ストレス、心理状態、健康の間の心身関係は、かつては曖昧な偽科学として否定されていましたが、近年では、ストレスが健康に与えるダメージを確認する科学的データが豊富に存在しています。一部の専門家は、ストレスが癌や心臓病を含むあらゆる疾患の90%もの原因を占めていると主張しています。

これは、白血球を減少させる抗炎症ホルモンであるコルチゾールが体内に充満することによるものです。ある特定の種類の白血球は、恒常的にストレスによる影響を受けます。この白血球は「ナチュラルキラー」細胞(NK細胞)と呼ばれ、正常な老化した細胞、ウイルスに感染した細胞、癌細胞にかかわらず、異常な細胞を破壊する働きがあります。NK細胞活性の低下は、コルチゾール高値が腫瘍の発生や増殖を促進し、感染や組織損傷の割合を増加させる原因の一つです。NK細胞は、細胞傷害性T細胞のように顆粒で満たされた大きなリンパ球です。NK細胞は、腫瘍細胞や他の異常細胞、広範囲の感染性微生物を選択的に標的化します。細胞傷害性T細胞とは異なり、標的細胞を攻撃して破壊する前に、特異的な「抗原」を認識する必要はありません。また、マクロファージ細胞とは異なり、NK細胞は標的細胞を貪食して取り込むことはありませんが、標的細胞に付着して標的細胞の膜を侵食する化学物質を注入し、破裂します。多くの慢性疾患や変性疾患において、NK細胞機能のレベルは、疾患の進行や患者の予後の重要な指標であることが証明されています。NK細胞に対するストレスの影響は、必ずしもNK細胞の細胞数を減少させるのではなく、その活動を弱めることです。ストレス下ではNK細胞は通常より不活性になり、異常細胞が破壊や除去されなくなるため、これらの異常細胞が体内に蓄積すると考えられます。

NK細胞活性の低下は、長期化するPTSDの精神的・身体的影響の重症度や罹患期間と強く相関することを示した研究が複数あります。NK細胞は、PTSDに関連する心理的損傷と明確に相関し得る唯一の免疫系パラメータである場合もあります。さらに重要なことは、PTSDは長期間にわたって免疫を抑制することが知られているため、健康に長期的な影響を及ぼす可能性があるという事実です。PTSDの既往歴のある被験者は、最初の心的外傷後、何年も経過しても有意に低い免疫能を示しました。このことは、埋没したはずの心的外傷でさえ、癌または他の重大な疾患の原因となったり、補因子にもなる可能性があることを意味しています。

さまざまな「ストレッサー」が、NK細胞の機能を抑制すると考えられます。例えば、事故、手術、治療、栄養失調、心的外傷、深い悲しみ、ホルモンバランスの乱れなどによる身体的損傷が例として挙げられるでしょう。ハリケーンや地震などの災害被災者を対象とした研究では、NK細胞の活性が低下しています。NK細胞活性は、リンパ球数やCD4/CD8比が変化しなくても、抑うつ、不安および疲労などの負の心理状態によって影響を受けます。自己意識および自己批判でさえ、NK細胞活性を低下させることが示されています。

アドレナリンとノルアドレナリンによって駆動される交感神経系は、ストレスとNK細胞活性の関係を解明するために重要なメカニズムです。サブスタンスYと呼ばれる神経ペプチドは交感神経系を活性化し、NK細胞活性を著しく抑制します。ノルアドレナリンも、NK細胞活性とb-アドレナリン作動性活性化を阻害することが示されており、この場合、アドレナリンは心血管系を活性化し、しばしばストレス誘発性の変化を伴いますが、NK細胞の正常機能に対して即時的で顕著な悪影響も及ぼすようです。

NK細胞の活性は、様々な要因によって良い影響を受けることもあります。例えばマッサージはNK細胞活性を増加させることが分かっています。日常のマッサージの効果は、免疫不全のAIDS患者でさえ見られました。韓国における試験では、培養腫瘍細胞に向けた気医から発せられた気が、治療群のみでNK細胞活性を有意に増加させることが示されました。1セット30秒ずつで、3分から5分までの「気」の照射はNK細胞活性を増加させるのに最適であることが明らかになりました。

生活習慣もNK細胞活性を維持し、増加させます。臨床試験では、毎日朝食と十分な睡眠をとり、ストレスを減らし、タバコを最小限に減らす、もしくは禁煙し、禁酒もしくはアルコールの摂取をできる限り減らすことをはじめとする健康的な生活習慣を送る被験者は、NK細胞活性が有意に高いことが分かりました。

NK細胞活性の増強によって免疫を強化するもう一つの方法は、栄養補助食品の使用です。NAC(n‐アセチルシステイン)、ビタミンEおよびビタミンCのような抗酸化物質の使用は、NK細胞活性を改善することが明らかになりました。バイオブランのような生物学的応答修飾物質は、免疫と生理機能に与える影響について活発に研究されてきました。バイオブランはNK細胞の活性を高めることが分かっています。このことは、寿命が伸延している現代においてとても重要です。免疫系が高齢者の寿命を維持できるように、免疫系の活動を保護し、サポートすることが今日ますます必要となってきているのです。

 

プロフィール
Dan Kenner, Ph.D., L.Ac.

Acupuncture and Integrative Medical College
(AIMC Berkeley)

Dan Kenner, Ph.D., L.Ac.

1979年に明治東洋医学院専門学校(日本)を卒業後に鍼灸師の国家試験に合格。大阪医科大学ペインクリニックおよび近畿大学医学部付属病院で研修を受ける。National University of Naturopathic Medical Sciences(米国)で自然療法医療科学(ナチュロパシー)のPh.D.を取得。現在、NHF(米国国民保険連合)およびBarkeley鍼灸統合医療専門職大学院(米国)において委員を務め、多くの著書がある。

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