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飢えて死ぬ者よりも、食べすぎて死ぬ者のほうが多い

国連食糧農業機構(FAO)の最近の発表によれば、2009年の推計として世界の飢餓人口は、前年よりおよそ1億人も増加して10億2000人に達しました。
初めての10億人突破です。世界の人口は、最近のデータで67億5000万人ですから、何と4人に1人が飢えに苦しんでいることになります。

また、別の調査によれば、世界で1000万人から1500万人もの子供が餓死していると言われています。これは4~5秒に1人の計算になりますが、栄養状態が劣悪である子供の数は、餓死者の10倍にもなるという調査結果もあり、大人も含めるとさらに大きく膨らみます。

飽食の時代が長く続き、大量の食糧を捨てている日本にとっては、想像もつかない信じ難い数字です。

一方、食に起因する生活習慣病や肥満などで苦しんでいる人も、世界に10億人いるといわれます。過不足という世界規模の食の不均衡は、人類の将来を考える上でも大きなテーマです。

このことわざが創られた当時のスペインや世界の食糧事情がどうであったか定かでありませんが、飢餓と過食・生活習慣病を予言したスペイン人の先見性には感心します。餓死と飽食死。比較や理屈はどうであれ、「食べ過ぎて死ぬ」ことを考えることは、健康維持を考える上で必要ではないでしょうか。

廃棄王国日本

捨てるという行為は、昔の日本では大した問題にならないことでしたが、大量生産・大量消費の時代になって社会問題化してきました。産業廃棄物などもそうですが、食料の大量放棄も見逃せない問題です。

いま、日本では1年間におよそ9000万トンの食料を消費していますが、その60%近くは海外からの輸入に頼っています。

ざっと6000万トン近くになりますが、一方で廃棄される食料の量は1900万トン以上で、輸入量の三分の一を捨てていることになります。廃棄食料の中で900万トン近くはまだ食べられる状態であるという調査データもあります。

廃棄される1900万トンの食料は、1日の消費エネルギーを1800キロカロリーとして計算すると4000~5000万人の年間消費食料に相当することになります。世界の食糧援助の量が740万トンであることから考えると、このフードロスの多さは異常と言わざるを得ません。

食料不足ではない

世界に飢えている人が多いというと、すぐ食料不足という言葉が出てきます。果たして世界の食料は不足しているのでしょうか。世界には「世界中の人々を養うのに十分な食料がある」とはよく聞かれる真実です。

世界中で生産される食料をカロリー計算して、さらにその数を世界の人口で割ると、1人当たり2700キロカロリーもの摂取が可能というデータもあります。この数字は、成人の必要摂取カロリーを超えています。問題はそれが正しく行き渡らないところにあります。

家計レベルでは食糧を自給できる分は小量で、買わざるを得ない状況のため貧富の差が出てきます。日本では25%に過ぎないといわれるエンゲル係数が、開発途上国などでは90%を超えているとさえいわれます。

Table for Two

すでに多くのマスコミで紹介された「Table for Two」という日本生まれの国際奉仕活動があります。2007年に設立されたNPO法人が運営していますが、事務局が指定した肥満を防ぐ低カロリーメニューを食べると、代金のうち20円が世界食料計画(WFP)などを通じて途上国の学校給食費などにあてられるというものです。

この運動は、自らの健康対策が必然的に途上国の飢餓の解消につながるという一挙両得の面を持ち、多くの企業の社員食堂に活動の輪が広がっているそうです。事務局のホームページによれば、すでにアフリカ・ウガンダの約350人の1年分の給食費を確保されています。

団欒から個食へ

経済の高度成長期を境にして、日本の食生活は変貌をとげました。価格の安い輸入食材や簡便な食材・惣菜の登場、ファーストフードチェーンの乱立などが、個食化を推し進める結果となりました。

元来、食事・団欒は家族の大事なセレモニーでした。確かな食材で、心を込め、手間隙をかけて調理し、家族そろってじっくりと時間をかけて食べる。この食の原点をいまこそ見直すときではないでしょうか。

世界が頼り

最近よくニュースになる食料自給率ですが、これは日本のみで計算している数値で、農林水産省が所轄しています。平成20年度の日本の食料自給率は、カロリーベースで41%です。対前年比で1%増となっていますが(2年連続の1%アップ)、ここ10年近くは40%前後で推移しています。

自給率は、国内農畜産物の豊凶状況や国際価格の変動によっても左右されます。世界で長年にわたって自給率が100%を超えているのは、オーストラリア、カナダ、フランス、アメリカの四カ国です。

鳩山政権は、10年後には食料自給率を50%に引き上げる目標をマニフェストに掲げていますが、この実現のためには農畜産業の振興だけでなく、食料廃棄についても改めて考えなくてはならないでしょう。

エネルギー不足

過食・飽食の時代といわれて久しいですが、さて日本人はカロリーを摂り過ぎているのでしょうか。中高年男性には「食べ過ぎ」に、若い女性には「過剰なダイエットによる痩せすぎ」に警鐘が鳴らされがちですが、実際には性別年代を問わず、エネルギー摂取量は推定必要量に足りていないというのが現状です。

高齢化に伴って国民全体の摂取量平均値が下がることは理解できますが、国民健康・栄養調査によれば、いわゆる働き盛りの年代ですら必要量を下回っているのです。

「日本人のエネルギー摂取量と必要量」
性別   年代     摂取量(キロカロリー)     必要量(キロカロリー)
      18~29歳     2,227               2,650
男子   30~49歳     2,226               2,550
      50~69歳     2,225               2,300
      18~29歳     1,701               2,050
女子   30~49歳     1,749               2,000
      50~69歳     1,799               1,900

食生活と肥満

肥満は過食と運動不足が原因といわれます。しかし、前述のように日本人の多くはエネルギー摂取が過剰ではないことから、問題は食事の内容にあると考えられます。

平成19年の国民健康・栄養調査結果では、肥満についてすべての年齢階級の男性において肥満者の割合が、20年前、10年前に比べて増加しているとしています。女性については、30~60歳代において肥満者の割合が20年前、10年前よりも減少しています。とくに20~40歳代は低体重(痩せ)が増加の傾向にあるとしています。

食生活に関しては、男女共にエネルギー摂取量は減少傾向である一方、脂肪エネルギー比率は増加し、30%以上の者の割合を20歳以上で見ると、男子で約20%、女子で約30%となっています。逆に、野菜摂取量は約290グラムと、「健康日本21」が目標値とする350グラムを下回っています。

食塩摂取量(平均)が、男子12.0グラム(目標値10グラム未満)、女子10.3グラム(目標値8グラム未満)と高いことも問題です。

メタボ列島

生活習慣病の代表選手のようにいわれる糖尿病ですが、先の国民健康・栄養調査結果は、平成19年のデータによれば、糖尿病が強く疑われる人(約890万人)と糖尿病の可能性が否定できない人(約1320万人)を合わせると2210万人になると発表しています。国民の5人に1人が「糖尿病の疑いあり」となります。

また、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)については、40~74歳の年齢階級において、「メタボが疑われる者」と「予備軍と考えられる者」を合わせると、男子で2人に1人、女子は5人に1人が該当するとしています。まさにメタボ列島といったところです。

内臓脂肪型肥満

肥満は、体脂肪の合成・蓄積が進行して形成されます。ある人間ドックで受診者を調査した結果では、男子の20%、女子の12%が肥満と判定されたそうです。10人以上が肥満というわけです。

肥満の中でも、「内臓脂肪型肥満」は要注意です。これは、皮下脂肪とは違って、肝臓や腸管など腹部内臓の周囲に脂肪がつく(内臓脂肪)症状で、高脂血症や高血圧症、糖代謝異常、動脈硬化などの生活習慣病の原因になる危険性が極めて高いのです。

肥満や脂肪肝は、ストレスも起因するといわれています。過度のストレスは、自律神経系や副腎皮質ホルモンなどの内分泌系の変調をもたらし、これが肥満などに影響するというものです。

生活習慣病

平成8年12月に、厚生省(現厚生労働省)が成人病に代わる名称として使い始めたのが生活習慣病です。生活習慣病は、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣がその発症・進行に関与する疾病群として定義されています。

① 食生活が関与するもの: 2型糖尿病、肥満、高脂血症、循環、大腸がん
② 運動が関与するもの: 糖尿病、肥満、高脂血症、高血圧症
③ 喫煙が関与するもの: 肺がん、循環器病、慢性気管支炎、肺気腫、歯周病
④ 飲酒が関与するもの:アルコール性肝疾患
このほかにも、脳血管性障害や悪性腫瘍なども生活習慣病といわれています。

生活習慣病は子供にも

文部科学省の統計によれば、体重が標準より20%以上重い「肥満児傾向児」の割合は30年前に比べて2倍近くに増えています。小学校高学年では、10人に1人が肥満であり、さらに肥満の子供の70%は大人になっても肥満状態であるとしています。

都立病院小児科のある医師は子供を調査した結果として、心筋梗塞や糖尿病になる危険性の高い「メタボリックシンドローム」の割合が1.4%であり、その一歩手前の状態は約40%であると発表しました。

この傾向を、日本人の摂取エネルギーの量は減っているが、食事が欧米化した結果ファーストフードをよく摂るなどして脂質の摂取量が増えた結果としています。

肥満を防ぐ

万病の元になりうる肥満ですが、これを防ぐのは言葉で言えば簡単です。生活習慣の見直しです。欧米化し過食化した食習慣を和食にして少量化すること、適度の運動を続けること、趣味を楽しむなどしてストレスをためないこと、睡眠を十分にとることなどです。

運動でカロリーを消費する場合の目安ですが、仮に300キロカロリー減らすには、体重70キロの人の場合で普通のウォーキングを約80分といわれます。

健康管理の数値

85cm・90cmと言う数字に見覚えがあると思いますが、これらは内臓脂肪型肥満の可能性(危険性)を判断する数値で、腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上のときは要注意となります。

また、BMIという言葉も最近マスコミに登場しますが、これはBody Mass Indexの略で肥満度を表す単位です。

肥満度(BMI)=体重(kg)÷身長(m2 つまり、体重を身長の二乗で割ったもので、この数値が25以上であれば肥満症と診断されます。

一日の適正摂取エネルギー量の求め方は、次のようになります。
 身長(m)×身長(m)×22 = 標準体重(kg)
標準体重(kg)× 25~35(キロカロリー)=適正エネルギー量

最近では、自動車までが穀物を食べ始めました。バイオ燃料の登場です。1994年に出版された「だれが中国を養うのか?-迫りくる食糧危機の時代」(レスター・ブラウン著)は、2030年までに中国の輸入だけで世界市場に出ているすべての食料が食べつくされてしまうと予測し大きな話題になりました。
健康問題もさることながら、食糧問題は人類の将来をトータルに考える上でも大きな課題といえます。