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健康を保つことは、自己に対する義務であり、また社会に対する義務でもある

いま世界では、毎年1000万人もの人ががんと診断され、その半数を超える600万人が亡くなっているといわれます。

日本でも、年間およそ60万人ががんになり、32万人もの人が亡くなっています。専門家の中には、近い将来日本人男性の2人に1人、女性に3人に1人ががんに罹るとの予測を立てている人もいます。

アメリカでは、1971年に「国家がん法」が制定され、以来国を挙げてがん征圧に力を入れています。研究のバックアップをはじめ、禁煙促進、食生活改善、健診の普及などといった施策・活動により、90年代後半からがんによる死亡数が減少しています。

日本では、平成19年4月1日に「がん対策基本法」が施行されました。
この法律では、基本施策として、1)がんの予防及び早期発見の促進、2)がん医療の均てん化の促進等、3)研究の促進等 の3つを挙げています。

また、国、地方公共団体、医療保険者、国民、医師等のそれぞれについて、責務を定めています。国民の責務については、第6条で以下のように述べています。

「国民は、喫煙、食生活、運動その他の生活習慣が健康に及ぼす影響等がんに関する正しい知識を持ち、がんの予防に必要な注意を払うよう努めるとともに、必要に応じ、がん検診を受けるよう努めなければならない。」

健康日本21

今後ますます進む高齢化や、生活習慣病をはじめとする疾病構造の変化に伴って、国民の健康増進がますます重要になっていくことから、政府は健康づくりや疾病予防を積極的に推進するための国民健康づくり運動として、平成12年に「健康日本21」を開始しました。

その中で、健康寿命の延伸、生活の質の向上を実現するための医療制度改革の一環として、「健康増進法」を公布しました(平成14年)。国民の健康増進を目的としたこの法律でも、国民の責務を規定しています。

第2条 「国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない。」二つの法律とも、健康維持のための国民の義務を明文化していることに大きな特徴があります。

国民の義務

健康維持が自分や社会に対する義務であるとは、ややオーバーな気がしないでありませんが、義務といえば、日本国憲法でも国民の義務を唱っています。

第3章「国民の権利及び義務」の中で、3つの義務をあげています。
1)「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育はこれを無償とする。」(第26条2 教育の義務)
2)「すべて国民は勤労の権利を有し、義務を負ふ。」(第27条 勤労の義務)
3)国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」(第30条 納税の義務)

養生の心がけ

江戸時代に、儒学者の貝原益軒が書いた「養生訓」は、健康な生活を送るための暮らし方について解説したものですが、総論の中に養生の心がけについて触れています。「どんなことでも、頑張るほど効果が上がる。

春に植物の種をまいて、育った苗を夏の間によく手入れすれば、秋には豊かな収穫ができる。これは、人の健康についても同じことで、健康法をよく考えて実行すれば、常に健康でいられ、長生きすることができ、人生を楽しむことができる。これは自明のことであり、疑うことがあってはならない。」

「若いときからの養生」についでは、こう述べています。「植物が枯れて衰えていくのは悲しいものだし、自分の体が衰弱するのはもっと悲しい。しかし、自分の体を衰弱しないように心がけないような人がいる。なんて愚かなことであろうか。自分の体を守り長生きしたいのなら、幼い頃より健康を保ち続ける方法を学び実践することが大事である。」

自己責任

一時期、自己責任論が話題になりました。2004年の、イラクでの日本人人質事件。2005年の、マンションの耐震偽装問題。2008年の、派遣切り問題、などは、記憶に新しいところです。

そもそも自己責任とは、自分がやったことに対しては、他人のせいにしないで自分で責任を負うという考えで、他者に対する責任転嫁を戒める意味がこめられています。

自分の健康管理を怠った結果、病気なったり体調を崩したりしたら、これは自己責任以外の何者でもありません。政治が悪い、社会のせいだ、などと責任転嫁するのは、とんだお門違い。いちゃもん、言いがかり、クレーマーそのものです。

日本では、悪い結果が生じた場合、責任者が辞任したり、降格、減俸、休職などによって責任をとることが多いですが、これは昔の「切腹」に由来しているといえましょう。

欠陥商品など企業の不祥事が起きたとき、新聞におお詫び広告が出て、トップがテレビで頭を下げる風景は日常茶飯事ですが、問題を起こした政治家が、「お詫びしたいと思います。」と言ってのけるのは気になります。「思います」では、ただ思うだけで、実際にお詫びしていることにはなりません。

タバコと自己責任

アメリカは、訴訟大国といわれます。権利を主張するという国民性か、自分を守るのは自分だけという思想か、あるいは弁護士が訴訟を煽るのか、ときどきとんでもない事件がニュースを賑わします。

なかでも、「電子レンジ猫事件」は、典型的な例として語り継がれています。雨でずぶ濡れになった猫を電子レンジで乾かそうとして、死なせてしまった老婦人が、メーカーを相手に訴訟をおこしたものです。

取り扱い説明書に、「動物を入れないでください」という注意書きがなかったことがいけない」というのが理由です。日本では、製品の欠陥によって生じた被害から消費者を救済しようという趣旨で、1995年に「PL法」(Product Liability)が制定されています。

さて、タバコ訴訟ですが、アメリカでは、個人だけでなく、集団、州政府などが、次つぎとタバコ関連企業を訴えています。40近くの州政府と、喫煙によって健康を害したとする個人が、損害賠償と治療に要した医療保健経費の補償を求めて訴えていたケースでは、1997年に双方が合意して和解案が成立しています。

その主な内容は、タバコ会社側は、州政府に対する医療保険経費の補償や全国的な禁煙プログラムの実施に関わる経費等として、何と今後25年間で3685億ドル(約40兆円)を支払うというものです。

アメリカでは、現在300件以上のタバコ訴訟が係争中といわれます。喫煙が健康を害することは多くの人が認めるところですが、とくにがんや心臓病を引き起こすばかりか、妊婦や胎児に悪影響を与えることもわかってきています。生活習慣病、なかでもメタボリックシンドロームを防ぐ健康生活に欠かせない「一無、ニ少、三多」の一無は、禁煙のことです。

国民医療費

厚生労働省の発表によれば、2007年度の国民医療費、つまり病気やケガの治療で全国の医療機関に支払われた医療費の総額は、34兆1360億円。国民1人当たりでは26万7200円となり、いずれも過去最高の金額です。

診療報酬の引き下げで4年ぶりに減少した2006年度に比べて、全体で1兆84億円、1人当たりでは7900円の、いずれも3%増となりました。国民所得比は、2006年度の8.87%から9.1%に上昇。2年ぶりの9%台となりました。

国民医療費は、1990年度は20兆6074億円、2000年度は30兆1418億円でした。政府が法律を作るなどして医療や健康管理の見直しを進めているのは、こうした医療費の増大化を抑えるのも目的のひとつです。

疾病が変わった

日本の疾病構造は、昭和30年代から変わりました。それまでは、当時国民病と呼ばれていた結核が中心で、感染症時代でした。その後は、非感染症時代となって現在に至っています。脳卒中、心筋梗塞などの心臓病、悪性腫瘍(がん)が三大死因となっています。

厚生労働省(当時の厚生省)は、平成8年12月に従来の「成人病」の名称を「生活習慣病」に変更。「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症、進行に関与する疾患群」と定義しています。

健康を保つとは、生活習慣病を予防することとも解釈できます。国民の健康増進には、もちろん国も注力していますが、日本生活習慣病予防協会等の団体も積極的な活動をしています。

同研究会は、「生活習慣病の一次予防を中心に、その成因、診断、治療、リハビリテーションに関する知識の普及啓発、生活習慣病に関する調査研究を行うことにより、国民の健康の増進に寄与すること」を目的にしています。

同協会では、主な生活主観病として、以下のものを挙げています。脳出血、脳梗塞、高血圧、心筋梗塞、狭心症、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺扁平上皮がん、大腸がん、アルコール性疾患、糖尿病、高脂血症(脂質異常症)、痛風、歯周病。

「未病」という症状

近頃よく見かける「未病」という言葉。日本未病システム学会では、「自覚症状はないが、検査で異常がある状態」(西洋型未病)及び「自覚症状はあるが、検査で異常がない状態」(東洋型未病)と定義しています。

同学会では、「病気」については、「自覚症状もあるが検査でも異常がある状態」としています。未病の概念は、前述の「養生訓」に書かれていますから、江戸時代にはあったことになります。

未病を、病気に向かって進んでいる状態と解釈すれば、早い段階でそれに気づき最善の手を打つことが大切です。もちろん、日頃生活習慣に気を配って、未病にならないようにすることは、もっと大切です。

生活習慣病健診などで数値の異常が認められたら、自覚症状がなくてもその数値改善に向けて生活習慣を改めていく必要があります。因みに、健診の「要再検査」とは、「一時的な変動かどうかの確認のために、もう一度同じ検査が必要」という意味であり、「要精密検査」とは、「治療が必要かどうかを確認するために、より詳しい検査が必要という意味です(財団法人日本予防医学協会)。

健康を保つ

生活習慣病、なかでもメタボリックシンドロームは、年齢に関係なく命までも奪いかねず、この対策こそ健康を維持して快適な毎日を送る望ましい方法となります。

メタボリックシンドローム予防のライフスタイルとして注目されているのが、「一無、ニ少、三多」です。一無は、禁煙。ニ少は、少食・少酒。三多は、多動(運動)・多休(休養・睡眠)・多接(多くの人・事物に接し、趣味を楽しむ)。食事だけでなく、生活習慣全般の見直しということになります。

健康維持のために、特定保健用食品(トクホ)などのサプリメントを摂取する人も、最近は多くなっています。自分の健康は自分で責任をもつ。健康を保つことは、自分だけでなく社会に対しても義務であることを忘れたくないものです。