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健康豆知識
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寝る子は育つ

夜遅くまで営業していたり、24時間営業を売りにする店が増えて、日本中が眠らなくなりました。あきらめて明日の朝まで待たなくても、欲しいものが深夜でも手に入るのは便利ですが、人々の生活様式がだんだん夜型に変わっていく気がします。

夜更かしの子供が増えている、とも言われます。テレビは朝までやっているし、インターネットはいつでも繋がるし、携帯電話は手元にあるし、これでは、子供にとっても、大人にとっても、決して健康的とは言えません。

私たち人間は、地球に住む動物の1種類で、決して特別な生き物ではありません。暗くなったら眠り、明るくなったら起きる。昼間は動き、夜は休む。この生命体の原点を、改めて考えたいものです

ショートスリーパー

眠ることに関して有名なエピソードは、やはりナポレオンをおいて他にはいません。1日に3時間しか眠らなかったという言い伝えです。しかしながら、ものの本によれば、3時間しか寝なかった代わりに、昼寝をしっかりとっていたとうことです。

ナポレオンは、連日夜遅くまで酒を飲み、脂っこいものを食べていたと言いますから、今で言うメタボリックシンドロームだったかもしれません。昼寝は焼け石に水で、結局は夜の暴飲暴食が死期を早めたのでしょう。夕飯は早めに済ませて、早く寝る。寝る子も、寝る大人も育つのです。

偉人と睡眠の関係では、レオナルド・ダ・ビンチはたった90分、トーマス・エジソンは4時間しか寝なかったそうです。昼寝大好き人間としては、イギリスの元首相チャーチルの話は有名です。国会議事堂の中に、なんとベッドを置いていたそうですが、ナポレオンのように毎晩メタボ食を摂っていたかどうかは、定かではありません。

1927年(昭和3年)、チャールズ・リンドバーグが、単独で無着陸の大西洋横断飛行に世界で始めて成功しました。回想録「翼よ!あれがパリの灯だ」で有名な5800キロ余の飛行ですが、33時間30分にもわたる飛行中、一番悩まされたのは「睡魔」であったと、その中に書いています。居眠り操縦は、危険この上ありませんから、必死に眠さと戦ったことでしょう。

6時30分起床

NHK放送文化研究所が行った生活時間調査によれば、日本人の平均睡眠時間は7時間22分(2005年)。これは、2000年の調査(7時間23分)とほとんど変わりません。生活パターンが変わっていないということでしょうか。

この調査では、平均起床時刻は6時30分。ここでおもしろいのは、早起きと朝寝坊が都道府県別に分類できることです。早起きのベスト5は、青森、福島、秋田、富山、茨城、岩手。逆に朝寝坊は、京都、大阪、東京、沖縄、北海道となります。

この違いについて、農業従事者や高齢者が少なく、日の出時刻が遅い県ほど朝寝坊になり、その逆であれば早起きの県になる、とこの調査は解説しています。

睡眠と養生

貝原益軒は、「養生訓」の中で、睡眠についても教訓をたれています。曰く、睡眠を長くとるのはよくない。睡眠を長くとると、元気を奪われてしまう。睡眠を短くするのはつらいことであるが、努力して睡眠時間を短くすれば、習慣となるであろう。

貝原益軒は、睡眠を飲食の欲、好色の欲と合わせて三欲とし、これを我慢せよと強調しています。睡眠の欲を堪えて眠りを少なくすることが養生の道であり、少なくすることによって病気にかからなくなるのは、元気がよく循環するからであるとし、逆に睡眠が多いと元気が停滞して病となる、とさえ言っています。

また、夜更けて床について寝るのは良い。昼寝はもっとも有害である、とも述べています。

睡眠と養生について1713年に著されたこの教訓書を、現代に生きる私たちはどう解釈し、どう実践したらいいのでしょうか。

睡眠は健康のため

厚生労働省は、「健康日本21」の睡眠について設定された目標に向けて具体的な実践を進めていく手立てとして、「健康づくりのための睡眠指針」をまとめました。

この指針では、成人を対象として、睡眠の時間を予防・改善するための情報を7つの柱として整理し、各自が自分の生活に中に取り入れられそうなものを自分の生活に合わせて実践してほしいとして、「快適な睡眠のための7箇条」を策定しています。

1 快適な睡眠でいきいき健康生活
快適な睡眠で、疲労回復・ストレス解消・事故防止。
睡眠に問題があると、高血圧、心臓病、脳卒中など生活習慣病のリスクが
向上。
快適な睡眠をもたらす生活習慣
~定期的な運動習慣は熟睡をもたらす。
~朝食は心と体のめざめに重要、夜食はごく軽く。

2 睡眠はひとそれぞれ。日中元気はつらつが快適な睡眠のバロメーター。
自分にあった睡眠時間があり、8時間にこだわらない。
寝床で長く過ごしすぎると熟睡感が減る。
年齢を重ねると睡眠時間は短くなるのが普通。

3 快適な睡眠は、自ら創り出す。
夕食後のカフェイン摂取は寝付きを悪くする。
「睡眠薬代わりの寝酒」は、睡眠の質を悪くする。
不快な音や光を防ぐ環境づくり、自分にあった寝具の工夫。

4 寝る前に自分なりのリラックス法、眠ろうとする意気込みが頭を冴えさせる。
軽い読書、音楽、香り、ストレッチなどでリラックス。
自然に眠たくなってから寝床に就く。眠ろうと意気込むとかえって逆効果。
ぬるめの入浴で寝付きをよく。

5 目が覚めたら日光を取り入れて、体内時計をスイッチオン。
同じ時刻に毎日起床。
早起きが早寝に通じる。
休日に遅くまで寝床で過ごすと、翌日の朝がつらくなる。

6 午後の眠気をやりすごす
短い昼寝でリフレッシュ。昼寝をするなら、午後3時前の20~30分。
夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響。
長い昼寝はかえってぼんやりのもと。

7 睡眠障害は、専門家に相談。
睡眠障害は、「体や心の病気」のサインのことがある。
寝付けない、熟睡感がない、充分眠っても日中の眠気が強い時は要注意。
熟睡中の激しいいびき、足のむずむず感、歯ぎしりも要注意。

羊が1000匹

疲れを翌日に残さず、健康を維持するためには、熟睡することが大事です。熟睡、快眠。そのためには、工夫が必要です。ふつう、眠気をもたらすものとして「単純」「退屈」「無意味」の三つが言われています。

これらの動作をしていると、飽きてしまって、眠くなってしまうということでしょう。昔から言われている「羊を数えていれば眠れる」という教えも、理にかなっていると言えます。

眠気をもたらす3大要素のほかにも、「適度の振動」も考えられます。電車の中でついウトウト、という経験をお持ちの方も多いことでしょう。飲みすぎた後の乗り過ごしは、関係ないでしょう。ぐっすり眠るには、規則正しい生活が第一。それに、適度の運動が加われば、申し分ありません。

12のアドバイス

厚生労働省の研究班は、「睡眠障害対処のための12指針」を策定しています。それは、以下のようなものです。

1. 睡眠時間は人それぞれで、日中の眠気で困らなければ良い。
2. 刺激物は避け、寝る前は自分なりのリラックス法を続ける。
3. 眠たくなってから床につく。
4. 同じ時刻に毎朝起床する。
5. 光の利用でよい睡眠。
6. 規則正しい3度の食事、基礎的な睡眠習慣。
7. 昼寝は午後3時前に20~30分。
8. 眠りが浅いときは、積極的に遅寝早起きをする。
9. 睡眠中の激しいいびき、呼吸停止、脚のぴくつき・むずむず感や要注意。
10. 充分眠っても日中の眠気が強いときは、専門医に相談する。
11. 睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと。
12. 睡眠薬は、医師の指示で正しく使えば安全。

レムとノンレム

睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠の二つに分けられます。レム睡眠は夢を見る睡眠で、ノンレム睡眠は夢を見ない睡眠ですが、もちろん眠っている最中に本人に識別できるはずはありません。睡眠は、ノンレムの浅い眠りから始まって、だんだん深くなり、最後にレム睡眠となってサイクルが終わります。

夢を見ることの多いレム睡眠は、寝ている間に何回も繰り返されて長くなっていき、これが精神的健康に重要だと言われています。一方、不眠症の人はレム睡眠の段階が短く、不安感がたまってしまうのです。

人は、ほとんど毎晩夢を見るそうです。記憶に残らなかったり、すぐ忘れてしまうので気づかないだけです。誰しも、心の奥に持っている願望が、目覚めているときは意識がコントロールしていますが、眠るとそのコントロールが緩んで、願望が夢という形になってしまうのです。

キリンも眠る

眠るのは、何も人間だけではありません。動物も眠ります。動物の一日あたりの推定睡眠量は、一般的に、草食物の睡眠時間は短く、肉食動物は長いと言われます。草食動物は、肉食動物に食べられる心配がるので、身を守るために絶えず警戒しなければならず、睡眠が浅く、短いのです。

睡眠時間が最長といわれるのは、フタツユビナマケモノで、20時間、キタオポッサム、ミズオポッサムなどが19時間。短い方では、キリンが20分、シマウマが1時間、ウマ2時間、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ロバ3時間などです。

人間は、もっとも完成した睡眠サイクルをもつ動物ですが、哺乳類には完全なノンレム睡眠・レム睡眠があります。魚や両棲類などは、休息はしていてもノンレム睡眠・レム睡眠はありません。鳥類などは、ノンレム睡眠と、ごく部分的にレム睡眠があると言われています。

寝だめはだめ

毎日忙しく仕事をしていると、休みの日にまとめて睡眠をとりたいと思いがちですが、寝だめは却って逆効果であるという研究結果が発表されています。ある大学の精神神経学の研究室が行ったもので、寝だめをする人ほど不眠や抑うつを訴える割合が高いことが明らかになったということです。

人間には体内時計があり、約25時間周期でリズムを刻んでいます。睡眠もこの時計によってコントロールされているのですが、寝だめはこのリズムを崩してしまうのです。

長時間寝たのに、気分が冴えないばかりか、逆に頭が重かったり、体がだるかったり、という状態になってしまうのは、体内時計が狂ってしまうからです。休日は、遅くまで寝ているよりも、早く起きるくらいの方が健康のためにいいことを覚えておきたいものです。

本当に寝る子は育つのか

寝る子は育つというのは正しい、と科学的に照明されています。子供については、非常に重要な成長ホルモンは、昼間起きているときよりも夜寝ているときの方が多く分泌されます。睡眠時間が短いと、成長ホルモンの分泌が悪くなって、身長の伸びに悪影響を及ぼします。

ちなみに、成長ホルモンが発達するのは高校生の年代で、小学生は神経系統、中学生は呼吸器・循環器系統が発達・発育すると言われています。

睡眠は、私たちが生きていく上で大切なものです。これも、正しい生活習慣の上にたって考えたいものです。毎日の規則正しい生活の中で、就寝・起床の時間を決めることが大切ではないでしょうか。睡眠を研究テーマにしている学者・専門家もたくさんおられますし、睡眠文化研究所などの専門機関もあります。