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健康格言から学ぶ
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酒は百薬の長

酒にまつわる諺・格言は、古今東西を問わず実にたくさんあります。これも、酒が生活の中で身近な存在であることと、「酔う」という作用に起因するからでしょう。

現に、諺辞典を見てみると、酒や酒飲みを肯定するもの、否定するものなど、まさに百酒繚乱です。「酒は憂いの玉箒」「酒は詩を釣る針」などといった、酒を肯定する美しいものから、「酒、人を飲む」「酒は百毒の長」などといった否定型まで、実に多様です。

ざっと見てみても、肯定と否定が拮抗しているようです。しかしながら、その長たるものといえば、「酒は百薬の長」をおいて他にはないでしょう。

酒は、飲まないより飲んだほうが

「百薬」と言われる半面、「百毒」「気ちがい水」とまで蔑視され、評価が二分される酒ですが、度を過ごさず適量であれば、飲酒はそれなりの効用が考えられます。

有害なLDLコレステロールの増加を抑え、善玉のコレステロールであるHDLコレステロールを増加させ、動脈硬化の予防につながるといった医学的な効用があります。

このほか、気分がリラックスしてストレスが発散されたり、人間関係がスムーズにいくといった日常生活の潤滑油の働きをしてくれるのが「適量の酒」です。ポリフェノールの働きで心筋梗塞などの予防に役立つという情報によって、赤ワインブームに火がついたのは、記憶に新しいところです。

しかしながら、こうした効用が出るのは、あくまで適量を守ってこそ。せっかくの百薬の長も、度を越えて大量に飲み続けると、健康を害することになります。肝硬変や膵炎などを引き起こすばかりか、高血圧にもなりやすくなります。翌日に残らない程度で、自分の適量を守って楽しい酒にしたいものです。

ビールはかっこ悪い

最近、販売量において「第3のビール」が発泡酒を抜いたことが大きく報じられました。価格の問題や趣味の多様化などで、ビールに変化がおきているのでしょう。若者がビールを敬遠し始めたことも、大きな話題になっています。

「とりあえずビール」というのはおじさんの習慣で、若者は「とりあえず清涼飲料」「いきなりカクテル」ということでしょうか。「ビールはかっこ悪い」という言葉を、時々若者から耳にします。

ビールといえば、よくニュースなどで引き合いに出される東京ドームですが、大手ビールメーカーの研究所の発表によれば、2007年の世界主要国のビール消費量は、約1億7552キロリットルで、これは大瓶に換算すると、約2773億本となり、22年連続で増加しているそうです。このビールを全部東京ドームジョッキに注いだとすれば、ざっと142杯となります。国別では、1位が中国、2位アメリカ、3位ロシア。日本は7位(前年6位)でした。

日本のビール消費量については、2005年のデータでは、634.3万キロリットルで、東京ドーム5杯超。ビール消費量が伸びていないのは、少子高齢化やアルコールの好みの多様化などが影響していると、さきの研究所は分析しています。

国民一人当たりのアルコール飲料消費量を国別に見ると、日本は年に7リットル程度。ヨーロッパなどの10カ国以上が10リットルを超えていますから、多いとはいえないかもしれません。多い国では、嗜好品としてではなく、日常の飲料としてワインを多く飲んでいるようです。

飲んだら食べない、食べながら飲む、飲んだ後食べる

飲酒についての好みは、十人十色。一人静かにしんみり型から大勢でがやがやタイプ、家で家族と、など。飲み方については、竹輪1本で日本酒2升などという伝説の酒豪はさておき、つまみは何もとらずにただひたすら飲む人、よく食べよく飲む人、はじめのうちはいっしんに飲んで後でこってりラーメンを食べる人、など。体のことを考えたら、少しずつ食べながら、少しずつ飲む。腹八分目、アルコール適量で、食べ過ぎない、飲みすぎないことが大事です。

休肝日、休刊日

新聞の休刊日に、手持ち場沙汰でイライラする人が多いと聞きます。休刊日に限って大きな事件が起きたりしますし、だいいち毎日の習慣になっている新聞がないということは、精神的にも不安になります。イライラしてストレスを貯めるより、休刊日くらいは俗世間から離れるのも、素敵な生き方ではないでしょうか。

さて、飲酒については、一年365日休まずに飲むことを自慢する人もいます。健康診断の前日だけ禁酒するという人もいます。こういう猛者にとっては、適量がどの程度か計り知れませんが、適量の基準は人によって違います。

健康診断の調査票に、一日あたりの飲酒量を記入する欄がありますが、これをもとに医師に相談して自分の適量を決めるのもいいでしょう。たとえ、適量を厳守するにしても、健康のために欠かせないのは休肝日。多くの医師は、週2回以上の休肝日を勧めています。

γ―GTP

飲酒といえば、すぐ気になるのが肝臓、肝機能です。そして、その判断材料として引き合いに出されるのがγ-GTPです。γ-GTPとは、肝臓や腎臓、膵臓などにある、たんぱく質を分解する酵素のひとつです。

この数値が基準を超えたから、アルコールを控えた方がいいと、医師から指示された経験を持つ方も多いことと思います。γ-GTPの値と飲酒量とは非常に深い関係のあることは、ご存知の通りで、アルコール摂取量が増えれば、この値は上昇します。

しかしながら、γ-GTPの検査値は個人差が大きいといいますから、検査結果に一喜一憂する前に、自分の正常値はいくつか、医師に相談して決めておいたほうがいいでしょう。

アセトアルデヒド

アルコールは、そのほとんどが十二指腸と小腸で吸収されます。そして、肝臓に進みます。肝臓の中で分解して、アセトアルデヒドになり、さらに分解して酢酸になり、やがて水と炭酸ガスになります。

このアセトアルデヒドという物質は有害で、二日酔いや悪酔い、吐き気、頭痛などといった症状はこの物質が原因で起こります。飲んで顔が赤くなるのも、この物質に起因します。アセトアルデヒドには、発ガン性もあるといわれています。

飲酒が起因する疾病

独立行政法人国立健康・栄養研究所が行なった「飲酒と血圧上昇の関連」についての調査は、「日本人男性における日本酒換算13合程度以上の飲酒は、血圧の上昇度に強く関与する」と結論づけています。

飲酒と血圧に関しては、いままで多くの研究がされていますが、今回のものは多変量解析法という新しい方法で7年間にわたって行なったものです。血圧の上昇と関連する飲酒量については、いままでは1日2~3合(週14~21合)以上とされていましたが、今回の調査で、それより少ない飲酒量でも長期の血圧の上昇度が高まることが判明したわけです。

飲酒と血糖値・糖尿病との関連についても、いろいろな研究がされていますが、アルコールが即糖尿病の元凶であるという結論にはなっていないようです。糖尿病などの疾病は、食事をはじめとする生活習慣に起因することが多く、そのため、習慣的な飲酒、度を越えた飲酒などによって適正な食事がとれなくなることが、血糖値のコントロールの乱れにつながりかねません。

飲酒が過ぎると、中性脂肪の値を高めてしまう恐れもあります。中性脂肪は、増えすぎるとお腹の脂肪として蓄えられて、肥満やメタボリックシンドロームの原因になってしまいます。

世界保健機構(WHO)の最近の研究発表では、アルコール(エタノール)を、ガンを引き起こす元凶であると指摘しています。アルコールの分解過程で働くアルデヒド分解酵素(ALDH2)の一部が欠損し、働きの悪い人は、飲酒量に比例して食道ガンになる危険性が高まり、それは最大で酵素が正常な人の12倍にもなるとしています。

アルコール摂取が健康に及ぼす影響については、アルコールが高エネルギーであることを肝に銘じるべきです。1グラムのアルコールは、約7キロカロリーのエネルギーを供給します。日本酒1合には、およそ23グラムのアルコールが含まれています。

健康日本21

厚生労働省が進めている「21世紀における国民健康づくり運動」(「健康日本21」)では、アルコールの項目を設けて、3つの基本方針を掲げています。

1.多量飲酒問題の早期発見と適切な対応
2.未成年者の飲酒防止
3.アルコールと健康についての知識の普及

「現状と目標」の項目の中では、「節度ある適度な飲酒」として、1日平均純アルコールで約20グラムであるとし、この旨の知識を普及するとしています。換算の目安として表示している表によれば、種類別の純アルコール量は、以下のようになっています。

ビール(中ビン1本500ml)         20g
清酒(1合180m)               22g
ウィスキー・ブランデー(ダブル60ml)  20g
焼酎(35度1合180ml)            50g
ワイン(1杯120ml)              12g

国民一般への情報提供の項目では、「国民一般に対しては、アルコールと健康の問題について適切な判断ができるよう、『節度ある適度な飲酒』、など正確な情報を十分に提供する必要がある」としています。