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健康豆知識
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園芸療法

花の嫌いな人は、まずいないと思いますが、買ってきて活けるだけでなく、自分で育てる人が増えて、ガーデニング(園芸)ブームが根強く続いていることは、休日の園芸店の賑わいからもうかがうことができます。

実際、きれいな花を見たり植物に接したりすれば、嫌なこと、悲しい出来事を忘れ、心が明るく豊かになったり、落ち着いた気持になったりするのは、万国共通です。

こうした、花や緑を育てることによって、心や体を良い状態に持っていこうというのが、園芸療法(Horticultural Therapy)です。
これは、植物を育てて花を咲かせたり、果実を収穫したりすることが目的ではなく、心身の状態を良くするための手段として花や植物を利用するもので、癒しや体の機能の回復などの療法的効果がますます注目されています。

従来、園芸をはじめとする農作業が心身の健康増進に有用であることは、古くから認められている事実ですが、土に直接触れることや始終手や指を動かすことは、リハビリの面からみても意義のあることで、彫刻家など手を使う職業の人が比較的長命であることも、そこに理由があるかもしれません。
それに加え、園芸療法は、花が咲き実が育つまでの植物の成長を楽しみ、勇気づけられるわけですから、心が満たされることは言うまでもありません。

現在の園芸療法が本格的に採り入れられるようになったのは、1950年代の第二次世界大戦後のアメリカだといわれます。全国のリハビリの施設や病院で、心の傷を負って戦場から生還した帰還兵など、心身に障害を持った人々に適用されて、徐々にその効果が認められて広まっていったのです。
そして、1970年代には、アメリカなどで「園芸療法協会」が設立されています。これにより、「園芸療法士」という資格が正式に認められ、この資格を持った多くの人が活躍しています。

日本では、「園芸療法士」は国家資格制度として、まだ認められていませんが、団体や企業などで独自に規定やカリキュラムを作成して認定書を発行しているところもあります。
本来、「園芸療法士」は、医師の指示にしたがって園芸療法を行うものですが、ほかにも、企業や家庭、学校、地域社会などでの園芸指導を求められることが多く、正式な資格認証と併せ今後が期待されます。

大学においても、アメリカは何歩も先んじており、「園芸療法士」の資格を取得するための養成コースをもっているところも、いくつかあります。
日本の大学でも、この分野に着目し積極的に進出しているところが増えています。東京農業大学では、人間と動植物のかかわりを多面的に追求することを目的として「バイオセラピー学科」を設置。

この学科は、障害のある人々に対し生物を介在させた療法を研究する「生物介在療法分野」(園芸療法学、動物介在療法学)のほか、人と自然が末永く共存できる環境や生活の質の向上を目的とした植物とのかかわりを研究する「植物共生分野」(植物共生学、人間植物関係学)、人間の心と生活空間を癒す野生動物や伴侶動物との共生を探る「動物共生分野」(野生動物学、伴侶動物学)の3分野で構成されています。