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本当の血液サラサラとは

テレビ番組で

しばしば健康問題をテーマにしたテレビ番組をみることがあります。そのとき、「血液がサラサラ」あるいは「血液がドロドロ」という言葉を耳にしませんか。これは、血液の流れが良い状態と悪い状態を表現しているようです。しかし、医学的には決して正しい表現ではありません。ちなみに、貧血が進行して病的な状態でも血液はサラサラになります。

ある人から採血して得られた血液を機械に注入し、画面で赤血球が流れている場面をご覧になった方もおられるでしょう。そして、赤血球同士がくっついて連なっていると、「血液の流れが悪いですね」とコメントされていることがあります。しかし、赤血球は流れが遅いところでは互いにくっつく(凝集する)性質があるのです。したがって、これをもって健康的か否かは判断できません。科学的に正しい方法で血液の流れやすさが評価されなければならないのです。

血液の粘度

血液の粘度は、血液の流れやすさの指標であり、さまざまな要因によって規定されています。まずは赤血球の量です。人間の血液の約45%は細胞で構成されていますが、このほとんどが赤血球です。赤血球は酸素を運搬する重要な役割を果たしていますが、この量が増えれば血液粘度が増加します。次に、この赤血球の変形しやすさ(変形能)とくっつきやすさ(凝集能)です。赤血球自体が変形しやすくなれば細い血管内でもスムーズに通ることができ、したがって、血液の粘度が低下します。また、先にお話ししましたが、互いにくっつきやすくなれば、血液粘度は増加します。

そして最後に、血漿とよばれる血液中の液体成分の粘度が影響します。血漿には多くのたんぱくが含まれています。例えば血液中にコレステロールが多く含まれると血漿の粘度は増加します。このように、さまざまな病気によって血漿の粘度が変化することがあるのです。

生活習慣病と血液の粘度

糖尿病で血糖が高い状態が続くと、赤血球の変形能が悪くなる(変形しにくくなる)のです。また、オメガ3脂肪酸を摂取すると、反対に赤血球変形能が改善すると言われています。このように、食生活の変化などによって血液粘度は変化するのです。食生活の変化によって心臓や脳血管などの病気が起こるメカニズムをお分かり頂けたでしょうか。

食生活に気をつける

日々の食生活は血液の流れに大きな影響を及ぼします。オメガ3脂肪酸は魚に多く含まれます。伝統的な日本食が体に良い理由の一つです。それでは納豆を食べるとどうでしょうか。納豆菌を培養して精製物から取り出したNKCPという物質を飲んだ人の血液を調べたところ、飲む前に比べて粘度が低下していました。やはり血液の流れを良好に保つようです。皆さんも日頃の食生活に気を付けて下さい。

プロフィール
一杉 正仁 (ひとすぎ まさひと) 氏

滋賀医科大学 教授

一杉 正仁(ひとすぎ まさひと)

1994年、東京慈恵会医大卒。川崎市立川崎病院勤務を経て東京慈恵会医大大学院修了、同大助手、獨協医科大学法医学講座准教授を経て、現職。国立大学法人滋賀医科大学医学部社会医学講座 法医学部門教授。医師、医学博士。日本法医学会法医認定医。日本法医学会評議員。

専門は血栓症突然死の病態解析、バイオレオロジー、予防医学。国際交通医学会東アジア地区担当理事、日本バイオレオロジー学会理事、日本交通科学会理事、日本医学英語教育学会副理事長などを務める。2010年、International Health Professional of the Year, 2010 受賞。いわゆるエコノミークラス症候群の原因究明、納豆による血栓症予防についての研究で広く知られており、代表著書に「ナットウプロテアーゼ」などがある。

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