HOME > なるほど健康塾 > ドクターから健康アドバイス > 免疫力はNK活性で分かる

  • なるほど健康塾
  • ドクターから健康アドバイス
  • 健康豆知識

なるほど健康塾

ドクターから健康アドバイス

専門医の未病をテーマとしたエッセイ

掲載2

免疫力はNK活性で分かる

究極の選択

最近続いて悲しいことがあった。一つは実父の死であり、もう一つは同級生の死である。共通点は二人ともガンであった。

同級生は私の勤務する病院でなくなっただけに悔しい。バリバリの国際営業マンであり、笑顔が憎めない男であった。胃ガンからガン性腹膜炎を併発し、手術では既に手遅れの状態であった。やはりガンは怖い。

しかるに2008年の日本人の死因を調べるとガンがトップでその後に心臓病、脳卒中と続く。日本人の30%はガンで死んでいることになる。さらに2025年にはこのガン死は総死亡率の二分の一になると予想されている。これは日本人の二人に一人はガンで死ぬという予測なのだ。

1990年代にアメリカのレーガン大統領がガン撲滅対策宣言を出し、巨額の研究開発費が投入された。そして世界の医学者がこのガンに挑戦しているが現状は厳しい状況と言えるであろう。

確かにガン細胞をターゲットとする分子標的抗体療法も開発されては来ているが、その恩恵に浴する人はラッキーな運のいい人である。手遅れになればどんな治療法も効果は薄く、辛い期間を延ばすだけである。

一方高齢時代の病気の代表に認知症がある。この認知症も現在200万人と増えて来ている。しかし、まだ治療法に決定打はない。

このままでは将来はガンで亡くなるか認知症で亡くなるかの究極の選択に迫られる時代である。人間誰しも寿命と言う限界はあるが、果たしてガンになるか認知症になるかどちらが善いかと問われるとはその選択は難しい。

天寿ガンという生き方

では、人類はガンから逃れないかと言うと私はそうではないと考えている。第三の手がある。実は天寿ガンというのがある。天寿ガンとは苦しまずに、またガンとは知らずに天寿を全うされて亡くなられた方をたまたま解剖するとガンがあった、と発見されるガンである。英語ではラテントガン(潜在癌)という。これなら良いではないだろうか。

ここに5名の方の表があるのでお見せしよう。これらのケースは生前にガンが発見されていたが苦しまれないし、高齢のためこれといった治療もしないで放置し、最後はガンではなく肺炎で亡くなられた方達である。ガンの苦しみもなくガンとの共生でいずれも88歳(米寿)以上生きられている。(表-1)

(表-1)【 天寿ガンの人々 】
fukuofigu2

どうしてこのような共生が可能であったのか、その正確な答えは難しいところではあるが、私は免疫力のなせるわざと考えている。

免疫力はNK活性で分かる

ここで言う免疫力とは自然にガン細胞をつぶしてくれる力を言う。この免疫力の主役はナチュラルキラー細胞(NK細胞)であり、このNK細胞の活性力でもって測定されている。生きているリンパ球系細胞を血液から分離して培養しガン細胞を破壊してくれる力が測定出来る。やはりこの力は若者が強い。

15歳では平均して45%であるが50歳を過ぎると20%に落ちる。このNK細胞活性を高めておくのがガンの予防になることは間違いない。なぜなら60兆個ある私たちの身体の細胞は1日で約2%のものが新陳代謝で死滅し且つ再生を繰り返している。2%だけでも1兆2000億個である。

このうち突然変異で5000個から7000個の出来そこないのが出来る。これがガン細胞だと考えてよい。このガン細胞が毎日発生している事になる。だから誰でもガン細胞は作られているのだと思えばそれなりの覚悟が出来るではないか。ガンから逃れられているのはこのNK細胞がしっかりしていて新たに出来たガン細胞をつぶしてくれているお陰と言わざるをえない。

しかし、老化やストレス、環境の悪さ、食生活のまずさ、毒などでこのNK細胞がへばってくるとつい発生したガン細胞を見逃してしまう。これが怖い。最初は1個のたわいもない細胞でも10回、20回、30回と細胞分裂をするごとに倍々的に増殖し大きくなる。30回の分裂で約10億個になる。10億個でも大きさは約1gである。

時間的にはこの期間に何か手が打てそうな気がするが、気がつかなければそれまでである。やはり自分は例外ではなくガンになるかも知れないという謙虚な心構えが必要であろう。このNK細胞活性は一般のクリニックでも大手の検査会社を通じて測定可能である。我と思わん方は一度受けられてみてはどうであろうか。

プロフィール
福生 吉裕(ふくお よしひろ)氏

(財)博慈会老人病研究所 所長

福生 吉裕(ふくお よしひろ)

(財)博慈会老人病研究所所長 医学博士

1972年 日本医科大学医学部卒業後、第二内科学教室入局
1978年 微生物免疫学にて医学博士号取得
1990年 日本医科大学 第二内科助教授
1995年 中国 長春中医学院客員教授
2001年 財)博慈会老人病研究所所長、兼日本医科大学客員教授

日本未病システム学会常任理事、日本老年医学会指導医・評議員、日本内科学会認定医、動脈硬化学会評議員、専門領域は動脈硬化、高脂血症の臨床および細胞生物学を中心に免疫と動脈硬化との関係の基礎研究を行う。膠原病、老人病の臨床も行い、現在は主に未病と抗老化を研究。

[学術論文]
主な著書に「病気の秘密は血液にあった」、「免疫から見た動脈硬化」他多数。

バックナンバー

専門医の未病をテーマとしたエッセイ

・掲載6 7.8%のエニグマ

・掲載5 この世には二度と用なし秋の風

・掲載4 IQ84

・掲載3 ヨハンセンの気持ち

・掲載2 免疫力はNK活性で分かる

・掲載1 健康戦略としての未病

ドクター 一覧に戻る