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自然治癒力を高める東洋医学の考え方[1]

掲載6

天寿がん:体にがんがあっても天寿を全うできる

昔は、90歳以上の超高齢者が、がんで死ぬことは稀といわれてきました。がんになりやすい人は若いうちにがんになって死亡し、がんになりにくい人が天寿を全うできると考えられていたからです。しかし、最近では超高齢者におけるがん死亡数は着実に増えてきています。

その理由として、1)がん以外の病気で死ぬことが少なくなった、2)生活環境の改善によりがん発生の年齢が高齢へシフトしてきた、3)がんの早期診断や治療の進歩による延命効果により、高齢者のがんが増えた、4)病院で死ぬ高齢者が増えたため、がんの診断率が上昇した、などが挙げられています。

例えば、生来健康で普通に生活していた90歳代の方が、次第に食欲が低下し痩せてきて、症状が現われて数ヵ月後に苦痛もなく静かに息を引き取るという場合があります。通常なら老衰で片付けられるところですが、CTなどの検査で、胃に大きな進行がんが見つかり、食欲低下と痩せの原因は胃がんであり、これが死因と判断されるような例は、最近数多く経験されるようになりました。

高齢者のがんは一般に増殖が遅く、転移をしにくいおとなしいがんが多いと言われています。したがって、がんは数年あるいは十年以上前から診断できるくらいの大きさで存在し、徐々に大きくなって、食欲低下や痩せが原因で老衰のように苦痛もなく亡くなられることも多いようです。

たとえ体内にがんがあっても、それが臓器の機能障害を引き起こすほど大きくなるまでは生命に危険はありません。たとえがんがあっても、がんの増殖を遅らせ、体力や抵抗力を高めることができれば、天寿まで延命する可能性もあるのです。

これからの高齢化社会においては、小さながんを片っ端から手術や化学療法で取り除くような治療法は問題があるという指摘もあります。進行がんや再発がんの治療においては、がんを根絶させることではなく、如何にがんと共存できるかという観点からの発想も大切です。

がんを持ったままでも天寿で自然死するのが、がんの再発予防や治療の目標であり理想であるという考えは、自然の摂理に従って生命を生かしきる道をさぐる東洋思想とも一致しています。

がんと共存し、がんを持ったままで寿命を全うするためには、がん細胞をおとなしくすると同時に、体の抵抗力や治癒力を高めることが大切です。がん細胞をむやみに攻撃するだけでなく、体に備わった抵抗力や治癒力を高めることがポイントになります。そのような効果をもった漢方薬や健康食品をうまく利用することが天寿がんの達成にも役に立つと思います。

プロフィール
福田 一典(ふくだ かずのり)氏

銀座東京クリニック 院長

福田 一典(ふくだ かずのり)

昭和28年福岡県生まれ。昭和53年熊本大学医学部卒業。熊本大学医学部第一外科、鹿児島県出水市立病院外科勤務を経て、昭和56年から平成4年まで久留米大学医学部第一病理学教室助手。その間、北海道大学医学部第一生化学教室と米国Vermont大学医学部生化学教室に留学し、がんの分子生物学的研究を行う。
平成4年、株式会社ツムラ中央研究所部長として漢方薬理の研究に従事。平成7年、国立がんセンター研究所がん予防研究部第一次予防研究室室長として、がん予防のメカニズム、および漢方薬を用いたがん予防の研究を行う。平成10年から平成14年まで岐阜大学医学部東洋医学講座の助教授として東洋医学の教育や臨床および基礎研究に従事した。現在、銀座東京クリニック院長。

<主な著書等>
「がん予防のパラダイムシフト--現代西洋医学と東洋医学の接点--」(医薬ジャーナル社,1999年)、「からだにやさしい漢方がん治療」(主婦の友社,2001年)「見直される漢方治療~漢方で予防する肝硬変・肝臓がん」(碧天舎,2003年)など。

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