HOME > なるほど健康塾 > ドクターから健康アドバイス > 医食同源とサプリメント:食養生に生かす機能性食品

  • なるほど健康塾
  • ドクターから健康アドバイス
  • 健康豆知識

なるほど健康塾

ドクターから健康アドバイス

自然治癒力を高める東洋医学の考え方[1]

掲載4

医食同源とサプリメント:食養生に生かす機能性食品

従来食品は、「栄養源(一次機能)」と「食べる楽しみ(二次機能)」の二つが重視されてきました。しかし、最近の研究では、食品には、免疫系や内分泌系や神経系などの生体機能に対して調節機能を持つ成分が含まれていることが証明されています。食品は栄養面だけでなく、病気の予防、治療、病後の回復などにも寄与していることが明らかになっています。

中国では少なくとも二千年以上前から、経験に基づいた独自の栄養学が伝えられ、食物や料理法に関する書物が多数残されてきました。これら中国伝統の栄養学は、食物が体内に入ったときにどのような作用をするのか、その効能・効果について記されているのが特徴です。たとえば、ネギは発汗・利尿作用があり、梨は咳止めの効果を有し、ホウレンソウは補血作用があるなどです。

漢方薬で使用される生薬の薬効も、このような食材の効能の知識の延長上にあり、日々の食事も漢方薬による治療も、医食同源の思想のもとに同じ考え方で成り立っています。

『黄帝内経』という中国医学の概念の基礎を作った書物には、「五穀、五畜、五果、五菜、これを用いて飢えを満たすときは食といい、それをもって病を治すときは薬という」と記述されています。摂取する食物によって心身を養う「食養生」によって病気を予防し治療する医食同源思想が東洋医学の基礎になっています。

西洋の食品の三次機能の捉え方と、東洋の医食同源の考え方は少し異なります。それは西洋医学の医薬品と東洋医学の漢方薬の違いとも共通しています。近代西洋医学では、再現性と効率を重んじ、作用の強い、効果が確実な薬が良い薬であるという価値観があります。したがって、単一な化合物の中に特効薬を求める方向での薬の開発が行われ、食品の三次機能の研究からも、病気の予防や治療に有効な成分を分離し、それらをサプリメントとして開発することが主体になっています。

一方、東洋医学では、体全体のバランスを考えながら、体に備わる自然治癒力を高めるという観点から、食物や薬用植物の利用法を追及しています。つまり有効成分を分離するのではなく、種々の有効成分を含む食物や薬草を組み合わせることにより、体に対する害を少なくし、効き目を増強する方法や知恵を蓄積してきました。

東洋医学の食養生には、五味(甘・辛・鹹・苦・酸)の調和、陰陽や寒熱のバランス、季節に従い自然のままの食事(一物全体食、身土不二)など様々な知恵が蓄積しています。しかし、東洋医学の食養には、観念的要素が多く物質的根拠をもった説明に乏しい、という欠点もあるように思います。

一方、西洋における栄養学および医学は、食品の三次機能に気付いたあと、膨大な科学的検証を行って、病気と食事の関係について、物質的根拠をもって明らかにしています。食事と病気との関係や、食品の三次機能についても、科学的にまとめられ、メカニズムと物質的根拠に関しては西洋医学・現代栄養学のほうが優れているようです。この点において、東洋医学の食養は現代栄養学に遅れをとってしまった感じがします。

しかし、西洋の栄養学は具体的な数値をあげて普遍性を追及するあまり、個人の体質や状況に応じた工夫が実践しにくい感じがします。食物の摂り方はその人の体質、年齢、気候、土地の風土などによりさまざまであり、万人同一というわけには行きません。

東洋医学が有する食養に関する経験や伝統的な知恵を生かしながら、さらに現代栄養学の科学的知識によって裏づけされたサプリメントや機能性食品(健康食品)を活用すれば、より効果の高い科学的な医食同源が実践できるように思います。サプリメントを健康に役立てるには、東洋医学の医食同源や食養生の考え方を持つことが大切です。

プロフィール
福田 一典(ふくだ かずのり)氏

銀座東京クリニック 院長

福田 一典(ふくだ かずのり)

昭和28年福岡県生まれ。昭和53年熊本大学医学部卒業。熊本大学医学部第一外科、鹿児島県出水市立病院外科勤務を経て、昭和56年から平成4年まで久留米大学医学部第一病理学教室助手。その間、北海道大学医学部第一生化学教室と米国Vermont大学医学部生化学教室に留学し、がんの分子生物学的研究を行う。
平成4年、株式会社ツムラ中央研究所部長として漢方薬理の研究に従事。平成7年、国立がんセンター研究所がん予防研究部第一次予防研究室室長として、がん予防のメカニズム、および漢方薬を用いたがん予防の研究を行う。平成10年から平成14年まで岐阜大学医学部東洋医学講座の助教授として東洋医学の教育や臨床および基礎研究に従事した。現在、銀座東京クリニック院長。

<主な著書等>
「がん予防のパラダイムシフト--現代西洋医学と東洋医学の接点--」(医薬ジャーナル社,1999年)、「からだにやさしい漢方がん治療」(主婦の友社,2001年)「見直される漢方治療~漢方で予防する肝硬変・肝臓がん」(碧天舎,2003年)など。

バックナンバー

糖質制限食のすすめ

・掲載12 糖質制限のための食事

・掲載11 糖質は必須栄養素ではない

・掲載10 糖質を減らすと寿命が延びる

・掲載9 糖質や甘味を減らすと食事摂取量が減る

・掲載8 糖質と甘味は中毒になる

・掲載7 糖質摂取を減らすと太りにくくなる

・掲載6 糖質を減らせば老化しにくくなる

・掲載5 糖質が増えると欧米人は肥満になり日本人は糖尿病になる

・掲載4 農耕が始まり糖質摂取量が増えた

・掲載3 人類は糖質で太る体質を持っている

・掲載2 人類は肉食で進化した

・掲載1 なぜ糖質制限が議論されるのか

自然治癒力を高める東洋医学の考え方[2](インタビュー)

・掲載5 癌治療におけるサプリメントと役割

・掲載4 ホリスティック医療の重要性

・掲載3 自然治癒力はどこまで期待できるか自然治癒力を上げる方法

・掲載2 癌治療における西洋医学と東洋医学の理想的な関係

・掲載1 東洋医学との出会い、なぜ、癌代替医療に取り組むのか

自然治癒力を高める東洋医学の考え方[1]

・掲載6 天寿がん:体にがんがあっても天寿を全うできる

・掲載5 プラシーボ効果と心身一如:心が治癒力を左右する

・掲載4 医食同源とサプリメント:食養生に生かす機能性食品

・掲載3 病気は正気と病邪のせめぎ合い

・掲載2 「未病を治す」は全ての病気の予防の原則

・掲載1 「虚を補う」視点の大切さ~老化とは「虚」に傾く過程

ドクター 一覧に戻る