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糖は健康維持や慢性病の予防に最も重要な非必須栄養素か?

酸素や水以外に、人間が生存するために必要とする最も重要な栄養素は、ビタミン、ミネラル、必須脂肪酸とアミノ酸です。私たち人間の身体は、これらの栄養素を合成することができないため、食事から全て取得する必要があります。基本的な健康状態を維持して疾患を防ぐために、これらの栄養素それぞれの必要最低量の摂取が必要です。例えば、壊血病を防ぐためにビタミンCを摂取する、などがその例として挙げられます。しかし、健康状態を最適に保つためには、最低限以上の必須栄養素に加えてその他の栄養素の摂取も望ましいと考えられています。

世界中の科学者たちが、多岐にわたる栄養素が様々な代謝経路や遺伝子を介して、どのような影響を私たちの細胞や臓器系に与えているのか研究しています。前回、私達は異なる種類のショ糖、もしくは糖類について話し合い、糖の種類が健康および病気においてどのような役割を果たすことができるのかについて検討しました。多糖類(複雑な生化学的構造を持つ糖)は、今日販売されている多種多様な栄養補助食品の中で人気が高まっている栄養素の1つです。アミノ酸(たんぱく質)、脂質(脂肪)、ビタミン、ミネラル、そして数百種類のファイトケミカルと同様に、これらの多糖類は生きている細胞の生化学反応を担う生理活性物質を生産する役割を果たしています。Kornfeld(1985 年)は、すべての機能細胞内のバイオアッセンブリラインの一歩一歩着実な工程について詳細を明らかにしました。 最も重要なことは、すべての細胞における生合成で第二段階のステップが行われる際、糖たんぱく質と糖脂質の合成を開始するために、小胞体において9分子のマンノース(最も重要な多糖類)が必要になります。このプロセスは、多糖類が代謝されてエネルギーを供給するだけでなく、小胞体とゴルジ体におけるグリコシル化反応 (すなわち、アミノ酸鎖または遊離脂肪酸鎖への糖類添加)に使用されることを示しています。糖たんぱく質や糖脂質における多糖類のコーディング能力の重要性は、Acta Anatomicaに掲載された1998年からの糖鎖全般についての特集のレビュー記事において明らかにされています。小胞体の3つの鎖にマンノースの9分子を加えることによって、生命プロセスの指示が伝達される細胞間ドメインが確立します。ゴルジ体では、他の多糖類を添加するとマンノース単位が変換され、宿主の身体の防御、修復、成長、治癒、および恒常性のための情報コードを提供します。このドメインは、人間の身体を構成する数兆の細胞の活動を調整するための基本となるサイトです。

この身体機能の基本となる生化学によって、食品から多糖類が供給され、広範囲にわたる健康維持の効果がもたらされているのです。さらに、栄養補助食品に含まれる多糖類の量は、食品に含まれる量に比べてミカエリス-メンテンの式の利点があり、どの程度の量の栄養素を摂取するとより多くの生理活性化合物が合成されるかを特定することができています。つまり、これによって遺伝子に組み込まれた先天的な身体の防御と修復の機能が高められて、より効果的に病原体に対抗して健康を維持することができるのです。

これらの多糖類は、米ぬか、アロエ、ヤマノイモなど様々な植物に由来しており、様々な研究者によって特徴づけられています。その中でも、様々な健康障害に対して多岐にわたる免疫調整効果が報告されている非常に強力な多糖類の2例は、アロエのポリマンノースと米ぬかアラビノキシラン(加水分解米ぬか)です。エースマンナン(アロエ由来ポリマンノース)は、抗ウイルス細胞を活性化させるための生化学的機能を高めることが明らかになっています。エースマンナンは、人間の体内における細胞活動に対する効果も確認されています。その効果には、抗菌、抗腫瘍、傷の治癒、細胞内の安定性、バランス、ストレスにさらされた細胞の適応性、減少したグルタチオン(主要な細胞間抗酸化とマルチシステムのバランスをとる化合物)の合成を高める働きなどがあります。私たちの研究室では、中等度・重度アルツハイマー病患者の被験者について試験を行い、エースマンナンが主要成分で多糖類を基本とした処方の認知能力および免疫調整に対する効果について報告しました。投与期間の12ヵ月後、被験者の認知機能、炎症の状態、および幹細胞の増殖において臨床的、統計的に有意な改善を示しました。アロエベラ抽出物の様々な機能を探索した際に、各分画がユニークな分子および薬理学的なプロファイルを有していたことが発見されました。その中で、恒常性作用を示した分画もあり、抗炎症作用(例えば誘導型一酸化窒素合成酵素および腫瘍壊死因子の抑制)を示す分画もありました。つまり、同じ植物の別の分画で、異なる複数の、場合によっては対照的でもある効果が見られたのです。これらの新しい分画や培養技術は、植物エキスの治療効果の背景にある作用機序と化合物の解明に役立ちます。また、これらの技術は、相克効果を有するアロエベラの特定の分画の分離に役立ち、おそらく複数の研究において最小限の効果を説明することができるでしょう。

エースマンナンと同様に、米ぬかアラビノキシランは細胞レベル、動物、人間において盛んに研究されており、幅広い作用が明らかになっています。多くのin vitroおよびin vivoの研究において、米ぬかアラビノキシランが免疫系機能、特にナチュラルキラー(NK)細胞活性に対する生物学的応答修飾効果を有することが示されています。他の研究では、同様の米ぬかアラビノキシランを中心とした食品をヒト被験者に経口投与した際、投与前と比較してNK細胞の傷害活性が優位に上昇したことがわかっています。米ぬかアラビノキシランは、用量依存的にマクロファージの貪食能と一酸化窒素の放出を高め、フリーラジカルを除去します。私たちの研究室では、米ぬかアラビノキシランがNK細胞の傷害活性を強化し、12のうち9のサイトカインと成長因子を優位に変化させ、成人健常者に対する安全性と忍容性が確認された免疫調節物質であることを実証しました。

米ぬかアラビノキシランは、おそらく最も幅広く研究されている多糖類のひとつです。その実質的な効果は、他のどのようなファイトケミカルにも匹敵し、分類生化学用語で「必須」には分類されないものの、野菜を中心とした食生活や毎日の運動のような他の健康増進方法と組み合わせることによって機能が期待でき、健康維持に非常に重要なのです。

エースマンナン、米ぬかアラビノキシランのような多糖類は、これまで報告されているように免疫調節作用を有し、健康に役に立つと考えることができます。これらの多糖類は、毎日の摂取量を一定に保つことも重要です。もちろん、様々な由来の異なる多糖類を補うことによって、多くの健康上の作用がある多岐にわたるファイトケミカルを摂取することができるのです。

プロフィール
John E. Lewis氏

マイアミ大学 Associate Professor

John E. Lewis

マイアミ大学医学部精神・行動科学科Associate Professor、同補完統合医療センターDirector of Research、医療ウェルネス学会顧問を務める。テネシー大学ビジネス学科学士(1990年)、テネシー大学運動生理学修士(1992年)、その後、マイアミ大学教育心理学博士号(1995年)を取得。

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