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健康な生活のための食生活、栄養と運動

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食事の内容と質は健康を左右するか?

どのような食品をどれくらいの量を食べれば、適切な身体組織を維持するだけでなく、日々健康に過ごすことができるのか、様々な議論がされています。西欧の諸国の多くが拡大する肥満に直面する中で、どうすれば適切に、そして自分に合った方法で体重を減らすことができるのか、未だに答えを見いだせずにいます。 ただ一つ明らかなことは、運動のみで体重を減らすことはできないということです。 過体重の人が、必要な期間、適切な強度で毎日運動をして十分なカロリーを消費し、健康的な体重を達成することは不可能に近いのです。 したがって、健康的で持続可能な体重を達成するためには、運動を続けることよりも食事の量と内容がはるかに重要です。

栄養の種類については、ホルモン反応を活性化させて高血糖、高トリグリセリド血症、高インスリン血症を発症させたり、ホルモンに影響を与えてインスリン抵抗性、メタボリックシンドロームを引き起こし、そして結果として肥満や2型糖尿病、心血管疾患につながる食品があることが明らかになっています。果糖、ブドウ糖、異性化糖(例えば果糖ブドウ糖液糖)などの単糖は、これらの代謝異常につながる代表的な例で、身体に役立つ植物性栄養素や、他の栄養としての価値を全く含んでいませんが、残念なことに、近年はこれらの糖類があらゆる種類の製造・加工食品に広く使用されています。これらの糖類には、栄養としての価値がありません。つまり、「過剰摂取でありながら栄養不足」という現象を加速させ、その結果、現在世界を悩ませている肥満の蔓延を招いているのです。しかし、私たちの体はブドウ糖、つまり「血糖」を活用することによってエネルギーを供給しているため、炭水化物を摂取することはとても大切です。複合糖質(多糖類やオリゴ糖)を、通常の食事で十分に摂取することは大切で、これらの糖類の多くは野菜、穀物、ナッツ、種などから摂ることができます。果物に含まれる果糖は、メタボリックシンドロームのリスクに関係することが明らかになっていますが、ビタミンCやカロチノイドのような、他の食材にはあまり含まれない大切なビタミンや、ミネラル、ファイトケミカルを豊富に含んでいます。したがって、新鮮な果物や冷凍の果物は、これらの大切な栄養素を得るための健康的な食事の一部です。

脂肪の種類も、同様に問題となります。トランス脂肪酸が動脈硬化につながることを明らかにした文献はますます増え続けていて、そのうえ、実際に発がん性がある可能性もあります。トランス脂肪酸は、室温で固形になるように(部分的に)硬化した液体油脂です。したがって、これらの脂肪は生産者にとっては生産コストが低く、パン、ケーキ、クッキーなどの食品の消費期限を長く設定することができるため、一般的に使用されています。トランス脂肪酸に関連する問題に対して消費者の意識が高まったため、米国では政府が、食品会社に自社の商品にラベルを添付して製品中のトランス脂肪酸量を表示するように要求しました。しかし、このラベルの規定には抜け穴が一つあります。米国では、トランス脂肪酸が一食分あたり 0.5g未満の場合は、トランス脂肪酸含有量が「0」とラベルに表示することができるのです。したがって、「部分硬化油脂」もしくは「硬化油脂」等が原材料のリストに記載されているかどうかを確認する必要があります。原材料リストに記載があれば、製品中にトランス脂肪酸が含まれていることがわかります。飽和脂肪酸は、主に心血管疾患のリスクを増加させ、それに加えて様々な種類のがんなどの疾患に関連することが過去の事例や研究から明らかにされています。

オメガ3脂肪酸などの多価不飽和脂肪酸は、心臓や脳の健康から精神疾患の改善まで、あらゆる利点があるという認識がますます高まっています。一価不飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸と比較して健康的に優れた利点がある脂肪酸です。全ての種類の油脂はおよそ9カロリー/グラムであるため、適正な体重管理のために必要な一日のカロリー量を管理する際には、食事にどれくらいの油脂が含まれているかを考慮する必要があります。さらに、心臓や脳の健康への影響を考えると、適切な種類の油脂を選ぶことは、食事の際に考慮すべき点の中でも特に大切であると言えるでしょう。

最後に、私たちが摂取するたんぱく質の種類も、新陳代謝の一部や健康の問題に大きく関わっているのです。カゼインは、牛乳中のたんぱく質の約80%を占めますが、ヒトや動物における発がん性が発見されています。加工した赤身の肉(特に焼いたり、揚げたり160℃以上の高温で調理したもの)は、WHO(国連保健機関)によって、特に発がん性が高く、食生活において完全に避けることが出来なくても、控えるべきであると報告されています。調理した動物性食品(たんぱく質や脂質の栄養源)から、新しい発がん性物質が確認されています。たとえば、複素環式アミン(HCAs)と多環芳香族炭化水素類(PAHs)は、筋肉が強火で調理されるときに形成される化学物質です。HCAとPAHは、私たちのDNAの中で望ましくない変化を引き起こす変異原性であることが明らかになっています。トリメチルアミン(TMA)を含む食品化合物は肉、牛乳などの動物性食品に含まれますが、これらは腸内細菌のTMAリアーゼによってTMAに変換され、吸収された後にほとんどがフラビンモノオキシゲナーゼ3によって有毒なトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)に変換されます。TMAOは動物の体内でアテローム性動脈硬化を引き起こし、冠状動脈性心臓病患者において上昇します。ホスファチジルコリンは、主に卵、赤身の肉、魚に含まれ、TMAOの主要な材料です。ホスファチジルコリンを多く摂取することは、全ての疾患、特に心血管疾患による死亡率と関連付けられています。したがって、主に植物(野菜、ナッツ、種子、穀物、果物)からたんぱく質を摂取することによってこれらの問題を回避し、心血管疾患、がんや様々な慢性疾患のリスク上昇を回避することができるのです。植物性の食品(野菜や果物)は、新鮮なものを食べるように心掛けましょう。もし調理をする場合は、加熱時間が長くなり過ぎないように気をつけましょう。

つまり、「内容や質に関係なく1カロリーは1カロリー」という言葉は、1日の摂取量を計算して、基礎代謝(安静時に消費するカロリー量)に活動中の消費カロリー量を加えた値をと比較するときに限って有効なのです。理論的には、毎日の摂取カロリーが消費カロリーよりも少なく、継続して目標を達成すれば体重を減らすことができる、ということになります。しかし、理想的な健康状態のためには、摂取カロリー量だけではなく、食事を構成する食材や全体のカロリー摂取量に気を配る必要があります。望ましい体重と健康状態のために最もお勧めすることは、適度な量(基礎代謝量と活動中の代謝量を合せたものを超えない)の食事を摂り、(1)フルクトースが多いコーンシロップのような単糖、(2)トランス脂肪、(3)動物性たんぱく質を制限、もしくは完全に避けることです。これらの方針を実施することによって、確実に適正な体重を維持して、心血管疾患、2型糖尿病や、様々な種類のがんのような、肥満と関連付けられる慢性疾患のリスクを軽減することができるでしょう。

プロフィール
John E. Lewis氏

マイアミ大学 Associate Professor

John E. Lewis

マイアミ大学医学部精神・行動科学科Associate Professor、同補完統合医療センターDirector of Research、医療ウェルネス学会顧問を務める。テネシー大学ビジネス学科学士(1990年)、テネシー大学運動生理学修士(1992年)、その後、マイアミ大学教育心理学博士号(1995年)を取得。

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