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減量と適切な体型維持のためのサプリメントと栄養―科学的な観点から―

過去 30 年の間、米国では肥満の蔓延を克服することができませんでした。 1980年、米国人の過体重(BMI> 25 kg/m2)は47%未満であり、肥満(BMI>30 kg/m2)は15%未満でした。現在、米国人の約70%が過体重で、男性の35%以上、女性の40%以上が肥満という状況に陥っています。米国における肥満による年間死亡数は120,000を超え、過体重/肥満は公衆衛生の脅威としてはタバコに次いで2番目、そして主な予防可能な死亡理由の一つとなっており、過体/肥満の人口は、喫煙者、貧困、大量飲酒の人口よりも多くなっています。

肥満の人や軽~中等度の過体重の人は、2型糖尿病、高血圧、冠動脈疾患のような慢性疾患の危険性が高くなり、これらの多くは比較的高い罹患率や死亡率と関連付けられています。 これらの合併症の条件の多くに関連するリスクは、緩やかな減量によって低減する可能性があります。 臨床研究では、5~10%の最小限で継続的な減量によって、肥満関連疾患のリスクを低減もしくは克服することができると示唆されています。体重管理の方法は、短期的には成功しても、継続的な体重の維持は難しい場合が多いでしょう。ウェイトサイクリング(体重減少と増加を繰り返す)と体重のリバウンドは、体重減少治療後に多く見られる失敗例です。つまり、治療による減量の維持は、肥満の克服において顕著な重要課題なのです。

従来の西洋医学では、胃バイパス手術などの限られた選択肢のみによって過体重や肥満に最小限の介入をしています。さらに、従来の医療では、食欲の抑制や他の薬剤によって安全に過体重や肥満を治療する、という要求を満たすことは難しいようです。従って、多くの消費者は体重の問題だけではなく、他の様々な疾患や体調不良によって栄養補助食品に依存するため、米国では2012年には栄養補助食品の売上が$350億にも上っています。減量のための栄養補助食品は数多く販売されており、1種類の栄養素のものから様々な異なるビタミンの組合せ、栄養素と非栄養素の素材を組み合わせたものまで、様々な配合のものがあります。 さらに、減量のための植物由来、もしくはその他の栄養補助食品には、明らかにされていない、もしくは未同定の有効成分が含まれています。たとえば、カフェイン、カルニチン、緑茶、共役リノール酸、クロムは、脂肪代謝に効果があることが明らかにされている希少な栄養素ですが、カフェインと緑茶だけについては脂肪代謝向上の可能性を立証するデータがあります。緑茶抽出物の脂肪代謝と減量に対する効果は複数の試験で明らかになっているものの、その全容が明らかになっているわけではありません。恐らく、試験デザインの矛盾や、緑茶抽出物が脂肪代謝に与える作用機序が漠然としており、証明することが難しいからです。 その他の宣伝されている減量サプリメントは科学的根拠にも乏しく、そのうちの多くがある程度の効果がある可能性があっても、マーケティングが科学的正当性を凌駕し続けているようです。

そのうえ、過体重や肥満の人の間ではサプリメントの使用率が高く、効果的な減量に対する有効性についての知見が少ないにも関わらず、減量方法としての相乗的な利用例の観点からサプリメントの投与方法について確認した臨床試験はほとんどありません。栄養剤を含む栄養補助食品は、低カロリーの食事療法においての栄養のバランスを確保するために役に立ちますが、減量のための栄養補助食品の利用についての科学的根拠に基づいた臨床試験ではなく、今後のさらなる研究が必要とされています。したがって、栄養補助食品と減量の領域については広く研究が進められており、過体重/肥満の消費者に対する決定的な結論はまだ得られていません。

肥満の人たちが減量をして健康的な体格を達成するために最も効果的な栄養戦略として、非常に低カロリーの食事療法が挙げられるでしょう。 低カロリーの食事療法では、減量をしながら除脂肪組織量の低下を最小限に抑制するために、たんぱく質を多く摂取して炭水化物を最小限に減らし、1日800カロリー以下とします。その際に、十分な栄養状態を維持するために微量栄養素、電解質、および必須脂肪酸のサプリメントを摂取します。 しかし、これらの食事療法は標準ガイドラインでは、主治医の監督の下でのみ実施されるべきであるとされており、通常の体重管理にはお勧めできません。これまでの研究で、低カロリーの食事療法が減量に及ぼす効果は短期的に好結果であることが明らかになっているものの、12ヵ月以上の持続性があるかは分かっていません。それにも関わらず、最近の研究では、行動変容のみの場合よりも低カロリーの食事療法に行動変容を組み合わせることによってより長期的な減量効果が得られ、副作用も少ないことが示唆されていますが、一般的に推奨されている方法に比べて十分に活用されていないことも明らかになっています。

つまり、肥満は現在も従来の治療法では解決されていない、拡大し続けている顕著な問題なのです。消費者は減量をサポートするために栄養補助食品に頼っていますが、緑茶抽出物について多少の科学的根拠が明らかになっていることを除けば、いずれの栄養素や配合も身体組成を改善に役立つという決定的なデータはありません。それにも関わらず、低カロリーの食事療法は感情的、心理的サポートのような適切な行動変容と組み合わせれば、長期的な減量を達成するための効果的な方法であると考えられるのです。一度健康的な体重を達成すると、健康的な食生活、主要な栄養補助食品、そして継続的かつ集中的な運動プログラムに対するバランスのとれたアプローチについて考えるようになります。健康的な体重を達成することは可能ですが、そのためには時間をかけてこれまでの習慣や望ましくない生活パターンを排除する規律と一貫性が必要なのです。

 

プロフィール
John E. Lewis氏

マイアミ大学 Associate Professor

John E. Lewis

マイアミ大学医学部精神・行動科学科Associate Professor、同補完統合医療センターDirector of Research、医療ウェルネス学会顧問を務める。テネシー大学ビジネス学科学士(1990年)、テネシー大学運動生理学修士(1992年)、その後、マイアミ大学教育心理学博士号(1995年)を取得。

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