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「フレイル」ってなに?~自立した老後を過ごすための予防、診断、対策~③

社会的フレイルは、健康に影響を与える社会的リスク要因の結果であると考えられています。しかしながら、身体的フレイルに関しては、多くの研究によってその特徴が整理されてきていますが、社会的フレイルについては、その概念・定義は統一されておらず、体系的な検討がなされていません。今回は、藤原佳典氏(東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム研究部長)の講演「社会的側面から見たフレイル~外出と交流のススメ~」に基づいてお話します。

社会的脆弱性

社会的脆弱性とは、「個人の健康状態に影響を与える社会的状況」と理解され、居住形態(独居)、読み書き(コミュニケーションの広がりの評価)、配偶者の有無、ソーシャルサポート・ネットワーク(友人、親戚や近所づきあい)、電話などの使用、外出、活動状況などから総合的に評価します。この得点が低いほど社会的脆弱性が高いとされます。

社会的脆弱性が高い高齢者では、様々な健康被害を負う可能性が高いことが報告されており、特に死亡率を高めるという報告が多くあります。ある大規模な研究では、身体的フレイルがない高齢者であっても、社会的脆弱性が高い場合は、5年後の死亡率が約22%も高かったことが明らかにされています。

社会的フレイル

想定される社会的フレイルの定義は、社会関係・社会環境を基盤とした、「ソーシャルサポート受容の低さ」、「社会的孤立状態」、「閉じこもりの傾向」の3つの要素に集約されると藤原氏は指摘します。例えば、65歳以上の心筋梗塞入院患者194人を対象とした研究では、情緒的サポートが欠如している人は、有している人に比べて死亡率が2.9倍高かったことが報告されています。また、1ヵ月の間にめったに外出しない高齢者では、外出する高齢者に比べて2年後の死亡率が2倍高くなることが明らかになっています。また、1日1回未満の外出頻度の高齢者は、それ以上の外出頻度の高齢者に比べて、7年後の生活機能障害の発生率が約7倍であったことが報告されています。実際に、社会的孤立状態に加えて閉じこもり傾向が重積することにより、それぞれ一方だけが該当するより死亡率が高くなることが示されています。

外出頻度低下と孤立の重層効果

外出頻度低下

第152回老年学・老年医学公開講座 資料より

社会的フレイル予防の方略

社会的フレイルを予防・改善するためには、「交流」を促すだけでは不十分であり、「外出」も併せて促すことが必要であると藤原氏は指摘します。身体的にフレイルであるが故に、外出したり、交流したりする機会が減って、社会的フレイルに陥る人もいるかもしれません。そう考えると、身体的、精神的、社会的フレイルを一つの統合的機能低下と捉え、すべての機能(要素)に刺激が与えられるようなアプローチを展開することがフレイル予防に重要であると言えるでしょう。例えば、社会的関係性の向上を目的としたサロン活動であっても、心身機能への負担を高くする試みや、身体的活動が生じるような地域活動を含めるなどの工夫、多角的な活動が必要だと言えるでしょう。