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「フレイル」ってなに?~自立した老後を過ごすための予防、診断、対策~②

② 脳のフレイル:加齢による物忘れと認知症の違い 

最近よく聞かれる「フレイル」とは、加齢とともに心身の活力が低下し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの危険性が高まった状態です。2018年11月28日に実施された「第152回老年学・老年医学公開講座 『フレイル』ってなに?~自立した老後を過ごすための予防、診断、対策~」に基づいて、3回にわたってお話します。第2回目は、石橋 賢士氏(東京都健康長寿医療センター研究所 神経画像研究チーム)の講演「脳のフレイル:加齢によるもの忘れと認知症の違い」に基づいて、脳のフレイルと認知症の予防についてご説明します。

加齢によるもの忘れと認知症

成人脳にある約1000億の神経細胞は、脳が活動する源です。なんらかの原因で神経細胞の数が減少すると、脳の活動は低下します。脳機能を「正常」「境界」「認知症」レベルに分けると、加齢によって神経細胞は減少しますが、原則として「境界」レベルを超えることはありません。一方で、脳の病気である認知症では、進行性に脳機能は低下し、「境界」レベルを超えて「認知症」レベルに達すると、明瞭な症状が出現します。加齢による物忘れと認知症の違いについて、要点を整理すると以下のようになります。

加齢によるもの忘れと認知症

(講習会資料より)

この場合、最も大きな違いは「⑥進行」の違いです。加齢による場合は、数年経っても、物忘れの程度はあまり変わりませんが、認知症の場合、1年で憎悪します。したがって、心配がある場合は、1年前はどうであったか考えてみてください。

脳のフレイルや認知症の予防と進行を遅らせるために

高齢者の脳の状態を「健康」、「脳のフレイル」、「脳機能障害(認知症)」の3つに分けたとき、「脳のフレイル」は、 認知症へ移行しやすい状態であるとともに、生活習慣の改善などにより、「健康」へ戻り得る脳の状態です。

これまでに世界中で行われた研究から、「心身の健康的な生活が、どの程度認知症を予防することができるのか」について明らかにされています。認知症の原因は、中年期以降の肥満、高血圧、難聴、そして高齢期以降の糖尿病、社会的孤立、運動不足、うつ、喫煙などであると指摘されます。具体例を挙げると、難聴を適切な補聴器などによって改善させると、高齢者の認知症患者が9%減少することになります。つまり、これらの日常生活が改善されると、高齢で発症する認知症患者は35%減少することが示されたのです。

認知症の危険因子

(講習会資料より)

フレイルの概念を脳に当てはめたとき、加齢による物忘れは「脳のフレイル」状態にあると言えます。脳のフレイルや認知症は、ある程度の予防が可能であり、また、認知症となっても早期発見・早期介入により、進行を遅らせることが可能です。

そのために、認知症について学ぶこと、生活習慣の改善、生活習慣病の予防や管理、運動、頭の体操、社会交流が重要となります。